英国からソ連にレンドリースされたヴァレンタイン戦車に対する評価を見つけたんですが、ちょっと興味深い話があるので見てみましょ
2013-09-15 17:04:07英国からソ連へとレンドリースされたヴァレンタイン戦車に対する、第131独立戦車大隊の評価 ・利点 1.火力が優れている。 迫撃砲でソ連製50mm弾を用いると、英国製弾薬より200~250m長い射程を得られる。鹵獲したドイツ製弾薬も使用可能である
2013-09-15 17:07:16(ソ連のヴァレンタイン戦車に対する評価続き) 2.装甲は距離45~50m以遠から発射された徹甲弾に対し乗員を保護する 3.操縦しやすく、静かに動く。弾力のあるサスペンションのために高精度の更新間射撃が可能である 4.エンジンは経済的で信頼性が高い 5.この戦車は小さいが強力である
2013-09-15 17:10:03(ソ連のヴァレンタイン戦車に対する評価続き) ・欠点 1.滑りやすい地盤での走行性能が悪い 2.履帯が脆弱。リンクとピンが頻繁に折損する 3.ギアボックスは頻繁に故障する 4.起動輪と誘導輪が脆弱 5.防盾の形状に問題。跳弾が起きづらいため戦車の弱点となっている
2013-09-15 17:12:25(ソ連のヴァレンタイン戦車に対する評価続き) 6.脆弱な個所:サスペンション、防盾、エンジングリル 7.予備部品の不足が適宜の修理と戦場復帰に影響を及ぼす 8.榴弾がない 結論:この戦車は有用で、現代戦の要求に適合している。乗員は容易に熟達でき、赤軍装備として適当である
2013-09-15 17:17:07(ソ連のヴァレンタイン戦車に対する評価続き) ・提案 1.履帯4~5枚毎にスパイクを溶接し、滑りやすい地盤での性能を向上させるべき(この対策は実験で良い結果を得た) 2.履帯の品質、特にピンの質を向上させるべき 3.大量の予備部品、とくに履帯とピンを供給するべき
2013-09-15 17:19:45(ソ連のヴァレンタイン戦車に対する評価続き) 4.ソ連製50mm迫撃砲弾を使用するべき(この対策は実験で良い結果を得た) 5.主砲向けの榴弾を開発するべき 6.武装の予備部品を供給するべき
2013-09-15 17:21:31全体にわりと興味深い話なのですが、人によっては、まず所々に出てくる50mm迫撃砲とは一体何なのか疑問に思うかも知れません。これは以前にも触れた、「2inch bomb thrower」という固定装備の迫撃砲なんですね
2013-09-15 17:23:52「2inch bomb thrower」は英軍戦車に特有の装備で、大抵はこのように砲塔上面の開口部から発射されます http://t.co/7uYCAWWSAQ これはチャーチルの例
2013-09-15 17:25:40内部にはこのように付いてます(チャーチルの適当な画像がなかったのでクロムウェル) http://t.co/slupum2WgR 画像中央右上、斜めについたピストル状のものですね http://t.co/pY0CozvOo2 仰角は固定ですが、ガスポートで射程を調整できます
2013-09-15 17:27:50ヴァレンタイン歩兵戦車構造はよく知らないのですが、2インチボムスロワーは砲塔上でなく砲塔前面右側に防盾とは独立して付いてるんでしょうか? http://t.co/MzAZeeKodA 仰角を変えられそうに見えるので、ひょっとするとガスポートでなく仰角で射程を調整したのかも
2013-09-15 17:31:22で、前置きが長くなりましたが本題。英軍戦車の2インチボムスロワーは、歩兵用の2インチSBML迫撃砲と基本的に同じ弾薬を用います。しかし戦車に対しては榴弾は配備されず、発煙弾のみが配備されたと言われているのです http://t.co/DLuQTOcFBC こちらはその発煙弾
2013-09-15 17:33:46件のレポートでは、ヴァレンタイン歩兵戦車の2インチボムスロワーに赤軍の50mm迫撃砲弾薬が適していたとしています。しかし赤軍の50mm迫撃砲には発煙弾は無いようなのです。とするなら、赤軍はヴァレンタイン歩兵戦車のボムスロワーから榴弾を撃っていたことになる……というわけです
2013-09-15 17:39:57さらにレポートによれば、独軍の5cm迫撃砲弾もまたヴァレンタイン歩兵戦車で使用可能であったとされています。ですが、独軍の5cm迫撃砲にもやはり発煙弾は無く榴弾しかありません。 (Wgr36(UB)という微量の発煙剤入り榴弾はありましたが、純粋な発煙弾ではありません)
2013-09-15 17:47:05つまり、どうやらソ連にレンドリースされたヴァレンタイン歩兵戦車は、もともと発煙弾発射用に装備された2インチボムスロワーを、普通の榴弾を撃つ迫撃砲として使っていたらしいという事になります。榴弾を欠いている英軍戦車故の苦肉の策なのかも知れませんが、なかなか面白い話です
2013-09-15 17:49:52迫撃砲の弾薬互換性の高さも驚くべきものがあります。独軍の5cm迫撃砲と赤軍の50mm迫撃砲はクローンみたいなものですがら互換性があるのは当然としても、それらの弾薬が英軍の2インチ迫撃砲でも使えてしまうというのは、なんともはや
2013-09-15 17:51:25英軍戦車の2インチボムスロワーが榴弾を持っていたかどうかは以前ここでも色々話しましたが、まさかソ連がそれをやっていたとは思いもしませんでしたよ
2013-09-15 17:52:36資料がないので何とも言えませんが、ひょっとするとヴァレンタイン以外のレンドリース英国戦車でも、2インチボムスロワーからの榴弾発射をやっていたんでしょうか。チャーチルにもボムスロワーは付いていたわけですし。マチルダには無いのかな?
2013-09-15 17:57:58あるいは、ひょっとしてひょっとすると、ソ連でのマチルダの不評(曰く「とにかくクソみたいな戦車」)には、ヴァレンタインのように主砲の代わりに榴弾を発射できるものを持っていなかったという所もあるのかも知れません
2013-09-15 18:09:23