寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」

宗教学者 島薗進氏の連続ツイートをまとめました。
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島薗進 @Shimazono

1寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界―「弱者」とボランティア 倫理観を作り上げる」http://t.co/QhYcdW17f7 東日本大震災後の日本で「寄り添い」の語で捉えられているものを、フランスでは「ディスポニーブル」という言葉で表しているらしい。

2013-09-23 15:16:03

聖地ルルド傷病者巡礼の世界 ―「生の困難」に解放感もたらす
専修大非常勤講師 寺戸淳子氏
2013年9月12日付 『中外日報』(論・談)

島薗進 @Shimazono

2寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「ルルドでは、誰一人逃れることができない(特に肉体の)苦しみ(「障害」を負う可能性は誰にでもある)が私事とされ「秘匿」義務を背負わされることで生じる、さらなる苦しみの問題が浮き彫りにされているhttp://t.co/QhYcdW17f7 

2013-09-23 15:16:47
島薗進 @Shimazono

3寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者の…」「ルルドは奇蹟の聖地である以上に、「治らない人々」の聖地なのである」「知的な障害がある子供たちや癌患者を中心とする巡礼団を生み、「表に出てはいけない」存在にされてきた(彼らの尊厳のためにじろじろ見てはいけないという「配慮」の対象とされてきた)」

2013-09-23 15:17:33
島薗進 @Shimazono

4寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「人々が、誰憚ることなく姿を現すことによって、それまで「見てもらえなかった(見てほしかった)」人にも、他者の生の困難に「目を背けてきた」人にも、同じように解放感をもたらしているのである」「このようにルルドでは、誰一人逃れることができない」

2013-09-23 15:17:55
島薗進 @Shimazono

5寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「(特に肉体の)苦しみ(「障害」を負う可能性は誰にでもある)が私事とされ、「秘匿」義務を背負わされることで生じる、さらなる苦しみの問題が浮き彫りにされている」。そこに「ディスポニーブル」であろうとする「支援者」の姿勢が生まれる。

2013-09-23 15:18:16
島薗進 @Shimazono

6寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「ディスポニーブル」とは「空きがある、自由に処分できる」ことや「在庫品」を意味し、「他者の求めにすぐに応える準備がある」心身の構えを指す。ボランティアの人々は、病や障害のある人々との旅を通してこのような構えの必要性を痛感していったと

2013-09-23 15:18:33
島薗進 @Shimazono

7寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「考えられるが、興味深いのは、この心身の構えがルルドを訪れる他の人々の言動にも感じられることである。先述の「傷病者のスペクタクル」が単に倫理的に許されるだけでなく、積極的に評価される理由は、ここにあると思われる」。

2013-09-23 15:18:47
島薗進 @Shimazono

8寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の…」ではなぜ、「弱者」とされる人々は、他の人々をディスポニーブルにすることができるのだろうか。キリストが語ったとされる言葉に、「心の貧しいものは幸いである」(マタイ5章3)という謎めいたものがある http://t.co/QhYcdW17f7

2013-09-23 15:19:48
島薗進 @Shimazono

9寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「この「貧しさ」を「のりしろ」と言い換えると、イメージしやすくなる。のりしろは、満たされていない隙、つまり貧しい部分だが、満たされていないからこそ他者を受け入れる空きスペースとして働く。神との関係でいえば、満たされた、隙のない」

2013-09-23 15:21:47
島薗進 @Shimazono

10寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「自分一人で何もかもできる人間よりも、のりしろの広い人間の方が神に満たされやすい、だから幸いだ、と考えられる」「だが貧しさは他者につけ込まれる隙でもあり、そのままでは危険である。また、ボランティアをしている人々も、自分たちが」

2013-09-23 15:22:11
島薗進 @Shimazono

11寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「傷つきやすく弱い(ヴァルネラブル)立場にある(偽善ではないかと非難されたり自己批判したりする、など)という実感を抱くといわれるが、それもまた、「空き=隙」を自分の中に保持しているからではないかと考えられる。

2013-09-23 15:22:26
島薗進 @Shimazono

12寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「だが人は誰でも、何もできない赤ん坊から始まり、やがて年老いて何もできなくなって死んでいく。生産的でいられる時期は人生のほんの一時に過ぎない。つまり、非生産性を認めない社会で一生幸せでい続けられる人は一人もいないのである」。

2013-09-23 15:22:40
島薗進 @Shimazono

13寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」「ルルド傷病者巡礼の世界は私たちに、「隙(のりしろ)のない社会」と「隙(のりしろ)のある社会」のどちらが望ましい社会なのか、非生産的な人間の居場所がないような、隙を認めない社会でいいのかと、問うているのである」。

2013-09-23 15:22:57
島薗進 @Shimazono

14寺戸淳子氏「聖地ルルド傷病者巡礼の世界」この文章から連想されるもの。ジャン・バニエのコミュニティhttp://t.co/W75GE2OUxH 、釜ヶ崎の本田哲郎神父や想田和弘氏「精神」の世界 http://t.co/TXbS7SUcT8 そして宮沢賢治「雨ニモマケズ」の意義。

2013-09-23 15:23:36

【暴力とゆるし②】

まとめ 【暴力とゆるし②】 宗教学者 島薗進氏による、第2弾です。 知的ハンディの人びとの共同体ラルシュの創始者で独自の思想家でもあるジャン・バニエは「弱い」人「貧しい」人こそ「開かれる」あり方を教えてくれるという。9.11を念頭に平和を論じた『暴力とゆるし』の紹介 です。 2602 pv 20 1 user 37

精神科医療と死生学の接点