「デイドリーム・オブ・ジ・インフェクション」その4・その5

ニンジャスレイヤーの二次創作。完結編。
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hatikaduki @hatikaduki

ひと気の無いザシキ・バー。インフェクションはここでひとりうつむいて座っていた。(何故だ…何故このような目に…) 1

2013-12-03 21:40:34
hatikaduki @hatikaduki

インフェクションにはここがいったい何なのかわからない。わからないが、己の精神がここに閉じ込められているという事は理解していた。そして恐ろしいことに、インフェクションは外で何が起こっているのか、自分が今何をされているのかをほとんどすべて把握していたのだ。 2

2013-12-03 21:44:58
hatikaduki @hatikaduki

(やめろ、やめてくれ!いったいなぜこんなことになってしまったのだ…)理由を求めたインフェクションの思考は、一人のニンジャにたどり着く。美しいニンジャだった。そのやせた肢体と酷薄な美貌は蛇を思わせた。その細い指先と、赤い唇。 3

2013-12-03 21:49:54
hatikaduki @hatikaduki

そのニンジャは特殊なネンリキの使い手だったが格闘能力はあまり高くなく、似たタイプのインフェクションが指導を行うことになったのだった。彼は極めて有能で、ともにいくつかのミッションもこなした。だがある日、彼はインフェクションに別れを告げた。侮蔑の言葉とともに。 4

2013-12-05 00:28:50
hatikaduki @hatikaduki

「ホホホホホ、メンター殿。あなたは、あなたはまるでなっていない!」そのニンジャ、ウォーロックは嘲笑しながらインフェクションに告げた。「ニューロンに作用するジツはもっと奥深いものです。ビョウキ・ジツ?無駄遣いも甚だしい!」 5

2013-12-05 00:27:23
hatikaduki @hatikaduki

激怒したインフェクションはウォーロックへビョウキ・ジツを仕掛け、その後の記憶が無い。気がつくと数時間がたっていた。(あの時、自分は奴に何をされたのだ…?)これもまたわからない。ただ、その数時間の間にインフェクションが歩いているのを見かけた、と言うものもいた。 6

2013-12-05 00:26:37
hatikaduki @hatikaduki

ウォーロックはそれっきり姿を消した。インフェクションは困惑し、そして悲しんだ。ソウカイヤに逆らったニンジャに未来は無い。いずれ捕殺されるもの、そう思っていたのだ。ところがそうはならなかった。ウォーロックは帰ってきた。シックスゲイツの6人の一人として! 7

2013-12-05 00:25:08
hatikaduki @hatikaduki

ニンジャスレイヤー、そしてドラゴン・ドージョーとのイクサで大量欠員を出したシックスゲイツの6人はマルノウチ抗争の時とは大きく変わっていた。そのうちコッカトリスとクイックシルヴァーはよく知るニンジャだ。だが後のダイダロス・ヘルカイト・ソニックブーム・ウォーロックはみな若い。 8

2013-12-03 22:10:52
hatikaduki @hatikaduki

ザイバツと休戦協定を締結し、ドラゴン・ドージョーを滅ぼした今、シックスゲイツの役割もまた大きく変わろうとしている。大規模な集団戦闘から、暗殺等のさまざまな政治工作、そして膨大な数にのぼる所属ニンジャの管理と指導へと。 9

2013-12-03 22:16:39
hatikaduki @hatikaduki

次期シックスは最古参コッカトリスがリーダーか?バカな…いずれウォーロックが実権を握ることになろう。対抗馬がいるとすれば、ヘルカイトか。ヘルカイト!奴を仕込んでいたガーゴイルはどうなった?おそろしい…おそろしい…。 10

2013-12-03 22:21:26
hatikaduki @hatikaduki

怒りと焦燥、そして嫉妬に駆られたインフェクションはリー先生の脳改造実験に志願した。ジツを強化し、出世し、己の価値を見せ付けるために。だが結果はこれだ。狂人ども!そもそも術後のコッカトリスを見て思いとどまるべきだったのだ。蛇との融合が奴に与えたのはいい影響ばかりではない…。 11

2013-12-03 22:28:44
hatikaduki @hatikaduki

後悔と絶望がインフェクションの精神を覆う。だがそのとき、インフェクションはザシキ・バーの片隅に開いた黒々とした穴に気がついた。「何だ、これは…?フーム、フム、フム」 12

2013-12-03 22:33:33
hatikaduki @hatikaduki

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2013-12-03 22:37:57
hatikaduki @hatikaduki

「ノウハウもあるようだしこの研究、君が完成させてみたまえ。資料をもっていっていい」リー先生はユージェニーに言った。「かまわんよ、どうせこの実験はディセンションの脳への影響の調査の副産物に過ぎんのだから」 14

2013-12-03 22:41:41
hatikaduki @hatikaduki

「まあなんてことでしょう!ではキョートにちょうどよい実験施設がありますから、そこで実験を続けてみますわ」「成果を形に落とし込むのは君の方が得意だろうからねェ」「では共同研究という形で…」言葉を交わす2者、その向こうにヤクザ達と多足虫を観察するトリダ、そしてインフェクション。 15

2013-12-03 22:46:36
hatikaduki @hatikaduki

「可哀想だが彼は廃棄処分だろうねェ」リー先生が言う。その時だ。トリダが何かに気づいて声をあげた。「先生、患者に変化が…」「なんだって?」歩み寄ろうとするリー先生。だが突如として叫び声が上がる!「アバッ、ヤ、ヤメロー!」インフェクションではない、ラジコン化されたヤクザだ! 16

2013-12-03 22:51:49
hatikaduki @hatikaduki

「ヤヤッ!」リー先生が刮目する!更に昏睡状態のインフェクションの喉からもヤクザと同期した叫びが出はじめる。「ヤメロー!ヤメロー!」更に更に、唐突に痙攣し始めるトリダ!「アババババ!アバーッ!」その隣にいたクローンヤクザもだ!「アバババッ!」「アバババッ!」ケオス! 17

2013-12-03 22:56:48
hatikaduki @hatikaduki

「これは…パラサイト・ムシ!」ユージェニーが気づいた。トリダの持っていたケースから多足虫が姿を消している。多足虫は更に別のヤクザにも取り付いていく。「「ヤメロー!ヤメロー!」」「アバババッ!」「アバババッ!」「アバババッ!」ケオス!多足虫は遂にリー先生とユージェニーを狙う! 18

2013-12-03 23:01:00
hatikaduki @hatikaduki

「アッ!」だが、そう一声残してトリダとクローンヤクザ達はくずおれた。危ういところでユージェニーが装置の電源を切り、リー先生がインフェクションに電気ショックを与えたのだ。やがて何事もなかったかのようにトリダ達が目を覚ます。「アレッ、僕は、い、一体」 19

2013-12-03 23:05:19
hatikaduki @hatikaduki

そしてインフェクションもまた目を覚ましたのだ。その目が開き、そして眼前の混乱した光景を見る。「おお…。これは…、このジツは…」インフェクションの覚醒を見たリー先生がニヤリと笑った。「イヒッ!」 20

2013-12-03 23:09:48
hatikaduki @hatikaduki

「デイドリーム・オブ・ジ・インフェクション」その4終わり このままその5に続く

2013-12-03 23:12:41
hatikaduki @hatikaduki

インフェクションの身体能力は実験の後遺症により、いまや一般の人間ともさほど変わらないレベルとなってしまった。しかしインフェクションが新たに得たジツは強力かつ極めて特殊であり、それは低下した身体能力を補って余りあるものであった。 1

2013-12-03 23:17:57
hatikaduki @hatikaduki

パラサイト・ムシによってコントロールされた人間は精密な動きは出来ぬが、銃の引き金を引くくらいはやってのける。インフェクションは人ごみにまぎれ、時には光学迷彩を用いてその身を隠しながらコントロール・パラサイト・ムシを放ち、要人暗殺やその他の政治工作にその力を振るった。 2

2013-12-03 23:22:17