【竹の子書房】 愛の力士・餅肌山物語

禁断の力士BL物です。竹の子書房の面々は、参加自由です。 設定としては、餅肌山は横綱・美男子・餅肌・そっぷ型(筋肉質体形)得意技は特にないが、あらゆる決まり手を使う。 餅肌山の永遠の恋人は菊乃海関。既に死亡している。 餅肌山に片思いしているのが血糖龍。でっぷりと肥え太り、飽食のイボイノシシと呼ばれている。 後は、どうしようと自由です。よろしくお願いします。
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つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

唐突ではありますが、餅肌山物語を始めます。需要の有無は気にしません。 #tknk

2010-10-16 11:26:53
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

意外な事に餅肌山はそっぷ型である。つまりは筋肉質なのだ。横綱の地位は、元々の優れた素質を人並み外れた練習量で磨き上げた証拠と言える。餅肌山のライバルの一人に、血糖龍がいる。こちらは名が示す通りの、でっぷりと肥え太ったあんこ型だ。千秋楽結びの一番、両力士は満を持して土俵に上がった。

2010-10-16 11:27:14
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

整った顔、きめ細やかな肌を持つ餅肌山は、闘う五月人形と呼ばれている。当然、女性からの声援が多い。対する血糖龍は、その体型だけを武器とする不器用な力士だ。しかもそろそろマゲが結えなくなるぐらい、頭髪に不自由している。加えて肌も汚い。飽食のイボイノシシと呼ばれる所以だ。

2010-10-16 11:27:33
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

飽食のイボイノシシは、ゆるゆると相手に擦り寄り、ぐだぐだと相手に覆い被さり、その結果として浴びせ倒しを決まり手にするのが常だ。このように血糖龍は、やる気をひた隠す力士であるが、こと餅肌山戦に関しては凄まじい闘気を見せた。ゆらゆらと湧き上がる闘気は、条件が整えば蜃気楼を生んだ。

2010-10-16 11:28:16
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

立会うまで気を練り上げるのが仕切りである。現在は四分が限度であるが、両者の闘いには四秒で充分であった。血糖龍のがぶり寄りを餅肌山は腰を落として受け止める。本来ならば『ガツッ』と音がするのだが、この場合は『べたぁっ』である。人が出せる音ではない。血糖龍は、そのまま上体を預けた。

2010-10-16 11:29:19
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

技とも言えない攻撃であるが、格闘技にとって体重は一つの強力な武器だ。並の力士は血糖龍の体重を支えきれずに崩れ落ちた。が、餅肌山はベンチプレスで180kgを上げる筋力を誇る力士だ。軽々と血糖龍を受け止める―筈だったが、今回は様子が違った。血糖龍が何やら餅肌山に囁いている。

2010-10-16 11:29:38
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

餅肌山の顔色が変わる。真っ白い顔が上気する有様は、女性のみならず中年男性すら虜にした。「餅肌山関。わしはもう我慢できないでごわす。どうしてわしの愛を受け止めてくれないでごわすか」「笑止!わしは菊乃海関に来世も預けた身。今更、他の男に肌は許せん」血糖龍の頬を大粒の涙が濡らした。

2010-10-16 11:29:57
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

その熱い涙が餅肌山の背中に落ちた。(こいつ、泣いてるのか…)強いけれど餅肌山は優しい男である。束の間、気持ちが揺れた。その一瞬を見逃す血糖龍ではない。というか、たまたまだとは思うが。血糖龍の弛みきった脂肪が餅肌山に絡みついていく。国技館に観客の悲鳴が満ちた。

2010-10-16 11:30:20
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

「ぬぉぉぉぉっ!」悲鳴をこじ開けたのは、他ならぬ餅肌山の気合いであった。悲鳴が歓声に変わる。餅肌山は、角界一の体重を誇る血糖龍を頭上に差し上げたのだ。さすがに足元をふらつかせながら、土俵際まで歩く。「そこ空けてくだせぇ」観客を避難させると、餅肌山は血糖龍を桟敷に投げ捨てた

2010-10-16 11:30:47
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

失神した血糖龍に憐憫の眼差しを投げ、餅肌山は勝ち名乗りを受けた。花道を引き上げる背中に観客がぺたぺたと触ってくる。餅肌山恒例の勝利のぺたぺたロードである。陶器のような感触に、感極まって泣き出す女性もいた。「横綱、今日は危なかったんじゃないですか?」インタビューが始まった。

2010-10-16 11:31:11
つくね乱蔵・厭系実話怪談作家 @t_ranzo

「ぜはぜは。そうっすね、強かったっすよ、血糖龍関は。でも」「でも?」「わしは血糖龍関のようなあんこ型には負けられんでごわす」 ―ごめんね、血糖龍。君には抱かれたくないよ。だって、餅があんこに包まれたらオハギになっちゃうじゃん。甘い物が嫌いな餅肌山は、胸の中で呟いた。

2010-10-16 11:31:37