白象さんのBionの「グリッド」に関する覚書

縦軸(β→α・・)に目が行きがちなグリッドの水平軸について言及されています。あとで考えるためにまとめました。変形と一緒に考える、のは確かに重要かもしれない。
4
白象 @elephantcalli

ビオンは「経験から学ぶ」を1962年に、「精神分析の要素」を1963年に執筆、1965年に「変形」、1970年に「注意と解釈」を著すが、すでに1963年時点で変形の概念とOの概念を整えていた。グリッドもその姿を現しており、垂直軸に要素の発達を、水平軸に要素の使用を置いていた。

2013-12-12 18:16:03
白象 @elephantcalli

グリッドの水平軸は分かりにくいのだが、グリッドを変形と共に論じることで、とりわけ描かれたひなげしとその現実化とが同一であると認識すること、キャンパス上で交差する線路が現実化において並行することを認識することで、その意味が描画的に明らかになる。

2013-12-12 18:20:28
白象 @elephantcalli

1列には「定義的仮説」が来る。S-HTPを施行した時に、あるいはLMTを行った時に、要素がそこにただ並んでいるように見える状態、意味が感じられず、ただそれがそこに一緒に存在していること、それを指している(のだと思う)。奇怪な対象とも類似するが、それは1行に相当する。

2013-12-12 18:26:58
白象 @elephantcalli

なぜなら奇怪な対象は要素の発達の水準として原初的なものであり、つまりβであるからだ。奇怪な対象であることは意味を持ちうる。ただそこに時間的、空間的に結合されたものとして置かれるという形で使われているとしても、それが全てではない。

2013-12-12 18:28:47
白象 @elephantcalli

花びらを描き、茎を描き、色を塗り、かたちを重ねることでヒナゲシの草原を表現することができるとして、それがただ描かれているだけであるように感じられる時、グリッドにおける位置は1列になる。それが表現として意味を為すにしたがって、グリッド内での位置は動かされる。

2013-12-12 18:32:09
白象 @elephantcalli

2列目にはψが抵抗の印として置かれた。ヒナゲシの絵がマイナスの意味を込めて描かれる時、そこにマイナスの意味がある時、グリッドにおける位置は第2列になる。こうした説明が読む人に伝わるものを持たない時、垂直軸において概念であるとしても、水平軸においては第1列に過ぎない。

2013-12-12 18:34:34
白象 @elephantcalli

第2列に置かれるのは、叙述(statement)が実際のところ第2列とは何かについて語っていない時である。ヒナゲシのヒナゲシ性が否定されている時、あるいはもしかしたらヒナゲシを描くことによって何かが書かれていない時に、絵は第2列に置かれる。

2013-12-12 18:36:27
白象 @elephantcalli

ビオンは情緒的体験としてのOがそのように心的要素になり、あるいは使用されることを変形と呼んだ。変形の過程はTαとして、変形による生成物はTβとして名付けられた。精神分析はフロイト以来創造性や芸術についても語ってきたがフロイトのそれは芸術の源泉についてのものであった。

2013-12-12 18:38:57
白象 @elephantcalli

自我はその源泉を無意識から汲み取る。つまり願望充足がその源泉であるとした。シーガルは源泉ではなくその水準に注目し、それが抑うつポジションにあると言った。オグデンやボラスは芸術を生み出す様式の中に自我の作用を読み取った。ビオンはおそらくグリッドを通して、これに触れている。

2013-12-12 18:42:26
白象 @elephantcalli

つまり描かれた絵が芸術であるとは、その絵の使用において定義的仮説や抵抗を超えた何かであり、その深さにおいてC行より先の何かであることを述べているものとして理解できる。芸術作品に触れた時の体験と、そうでないものとの差異を、グリッドはそのように説明しうるように思える。

2013-12-12 18:45:02
白象 @elephantcalli

グリッドは理論ではなく、思考でもない。たんに、分析の中で起きていることを振り返って考え、記憶し、伝えるための道具であるとビオンは言う。そのようにして何かの体験が、なぜそうなのかを説明する時にグリッドは使用される。けれども、同時に変形とOとがなければ説明すらできないかも知れない。

2013-12-12 18:46:47
白象 @elephantcalli

1963年のグリッドにおいて、第5列は「審理」ではなく、「エディプス」であった。それはその後、より広範な名称として「審理」へと改められて、「変形」に含まれた。

2013-12-12 18:48:11
白象 @elephantcalli

おそらく芸術とは、この種類のTβの使用であり、芸術に触れるとは、この種類の変形の生成物に触れることなのだろう。

2013-12-12 18:59:02