概要和訳「ETV6-NTRK3は、放射線由来の甲状腺癌に共通の染色体再配置である」

18
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

散発性甲状腺乳頭癌7例で見つかったETV6-NTRK3再配置のうち、6例ではETV6のエクソン4とNTRK3のエクソン14が関与しており、残りの1例ではETV6のエクソン5とNTRK3のエクソン14(ETV6e5-NTRK3e14)が関与していた。。

2013-12-16 17:47:05
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この7例のどれもで、放射線被ばく歴の記録はなかった。 チェルノブイリ事故後の甲状腺乳頭癌の再分析では、ETV6e5-NTRK3e14はみられなかった。

2013-12-16 17:47:50
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

チェルノブイリ事故後の甲状腺乳頭癌62例のヨウ素131の平均甲状腺被ばく量は1.27Gyだった。ETV6-NTRK3陽性の9例でのヨウ素131の平均被ばく量は2.27Gyだった。

2013-12-16 17:48:25
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

これらの患者の事故当時年齢は0.5〜17.2歳(平均8.1歳)で、手術時年齢は14.2〜35.1歳(平均23.9歳)、被ばくと手術の間の期間は、平均15.8年だった(表1)。 http://t.co/xEejGNqLKk

2013-12-16 17:50:01
拡大
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

多変量解析(手術時年齢、性別、居住地で調整)では、ETV6-NTRK3再配置を持つ甲状腺癌では、ヨウ素131被ばく量増加と相関性がみられたが、統計的有意性(p=0.126)はボーダーライン上であった(表2)。 http://t.co/OvqyqqZ97w

2013-12-16 17:50:30
拡大
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

これらの変数調整後の線量反応は図2Bに示されている。 http://t.co/yBuZxxwx1u

2013-12-16 17:51:29
拡大
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ETV6-NTRK3再配置を持つ甲状腺癌がRET/PTCやPAX8-PPARγなどの他の染色体再配置を持つ甲状腺癌と同じグループに分類されたら、再配置は点突然変異より統計的にもっと有意な線量反応(p<0.0001)を示した(表2)。 http://t.co/s5UcvJvyCL

2013-12-16 17:53:34
拡大
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

病理組織学的特徴:ETV6-NTRK3再配置が見つかったチェルノブイリ事故後の甲状腺乳頭癌9例のうち6例(67%)は濾胞型乳頭癌(図3A)、残りの3例は古典的乳頭型乳頭癌と分類された(図3B)。全9例で充実性増殖パターンがみられた。 http://t.co/p6uhOagIMF

2013-12-16 17:57:57
拡大
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

散発性甲状腺乳頭癌の中でETV6-NTRK3再配置を持った7例のうち、4例(57%)が古典的乳頭型乳頭癌、3例(43%)が濾胞型乳頭癌と分類された。古典的乳頭型乳頭癌4例では濾胞状構造がかなり見られたが、散発性甲状腺乳頭癌のどれにも、明らかな充実性構造はみられなかった。

2013-12-16 17:58:59
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

放射線誘発性甲状腺癌はすべて診断時にステージ1だったが、散発性甲状腺癌では、5例がステージ1、2例がステージ3だった。

2013-12-16 17:59:18
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

試験管内のETV6-NTRK3再配置誘発 二本鎖DNA切断の誘発は、γH2AX核フォーカス生成によりモニターされた(図4B)。 http://t.co/bHLNHj1DnK

2013-12-16 18:00:37
拡大
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

放射線照射を受けなかった細胞では再配置は出現しなかったが、ガンマ線照射とヨウ素131照射の両方で、ETV6-NTRK3再配置が発生した(図4C)。 http://t.co/hQrUXfvNrW

2013-12-16 18:01:21
拡大
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ETV6e4-NTRK3e14結合とETV6e5-NTRK3e14結合の両方が放射線照射によって誘発されたが、ヨウ素131とガンマ線照射両方で、ETV6e4-NTRK3e14の方が多かった。

2013-12-16 18:01:44
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ディスカッション この論文では、初めて、甲状腺癌でETV6-NTRK3染色体再配置の出現が報告されたが、これはこのコホートの中では、RET/PTC再配置の次に良くみられるタイプの再配置だった。

2013-12-16 18:02:56
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

またこの研究では、ヨウ素131とガンマ線の両方により、ETV6-NTRK3再配置がヒト甲状腺細胞で直接誘発可能なことが分かった。

2013-12-16 18:03:56
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

12番染色体のETV6遺伝子と15番染色体のNTRK3遺伝子の結合は、1998年に先天性線維肉腫で初めて見つかった。それ以来ETV6-NTRK3再配置は、急性骨髄性白血病、慢性好酸球性白血病、先天性中胚葉性腎腫、乳腺分泌癌や唾液腺MASCなどの他のタイプの腫瘍で見つかっている。

2013-12-16 18:04:29
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

様々なタイプの腫瘍でのETV6-NTRK3結合のほとんどは、最初に先天性線維肉腫で同定された、ETV6のエクソン5とNTRK3のエクソン13での結合である。ETV6のエクソン4がNTRK3と結合しているが短めの再配列は、急性骨髄性白血病と慢性好酸球性白血病で見つかっている。

2013-12-16 18:05:43
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この研究では、放射線誘発性および散発性の甲状腺乳頭癌におけるETV6-NTRK3再配置が、他の腫瘍でと異なり、NTRK3のエクソン13に結合部を持つのが報告されている。

2013-12-16 18:06:18
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この研究結果は放射線被ばく由来の甲状腺乳頭癌とETV6-NTRK3再配置を結びつける証明を提示している。 まず、この再配置は、米国の一般集団での甲状腺乳頭癌においてよりも、チェルノブイリ事故でヨウ素131に被ばくした患者での甲状腺乳頭癌での出現率がかなり高い。

2013-12-16 18:07:43
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

次に、チェルノブイリ事故後の甲状腺乳頭癌では、ボーダーライン上とは言え、統計的に有意な関連が、ヨウ素131被ばく量とETV6-NTRK3再配置の出現率の間に見られた。最後に、試験管内実験では、両タイプのETV6-NTRK3再配置がヒト甲状腺細胞で放射線により誘発された。

2013-12-16 18:08:23
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ヨウ素131とガンマ線の両方が、培養されたヒト細胞でこの再配置を効率的に誘発した。これはチェルノブイリ事故後にヨウ素131に被ばくした患者のみならず、外部照射放射線治療の後の甲状腺癌もこの再配置を持つかもしれないことを示唆する。

2013-12-16 18:08:45
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

この研究内でのチェルノブイリ事故後の甲状腺癌のうち、ETV6-NTRK3陽性の甲状腺乳頭癌は、ヨウ素131の平均被ばく量が2.3Gyの人達でみられたが、これは、他の癌遺伝子によって発癌する甲状腺乳頭癌の患者の平均被ばく量よりも高い。

2013-12-16 18:09:16
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

ETV6-NTRK3陽性甲状腺乳頭癌の患者の平均年齢は事故当時8歳で手術時24歳と、被ばくと甲状腺手術の間の平均期間が16年となる。このコホートは1998年から追跡調査されている。故にETV6-NTRK3再配置が事故後12年以内発癌の甲状腺癌でも一般的に出現したかは不明である。

2013-12-16 18:11:54
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

表現型的には、放射線誘発性および散発性の癌でETV6-NTRK3再配置を持つものは、濾胞型乳頭癌か古典的乳頭癌だった。充実性増殖パターンが、放射線誘発性の甲状腺乳頭癌でこの再配置を持つものだけでみられた顕微鏡的特徴だったというのは、注目すべきである。

2013-12-16 18:12:25
Yuri Hiranuma @YuriHiranuma

チェルノブイリ後の甲状腺癌での充実性増殖パターンが、散発性甲状腺乳頭癌と比較して一般的に存在し、RET/PTC3再配置と関連しているのは、過去に示された。

2013-12-16 18:14:25