大罪戦闘企画

第二二公演《 》
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華夏の勇者 @battle_atom

それなら、今回の【舞台】の中心っていうのは、あの二人だろうな。 一歩、二歩と、特に隠れたりもせずに歩いていって。 近づくほど強くなる匂いに、涎が止まらなくなってくる。 喧嘩してる二人の近くまでいくと、挨拶。あの人たちに聞こえる様に、大きく。 「こんにちは!僕、です!」

2013-12-11 22:53:35
【魔王】 @Tokimine_Seo

剣に一瞬の衝撃が奔り、それから女の腕が重たげにそれを持ち上げた。蹴られた、離れた、響く音は剣の範囲ではない。ずがん、と大地に突き立て一度刃をおろし、蹴り出そうとサンダルを履いた足に力がこもる。踏み込みで土が削れる。 ――その時、聞いた。

2013-12-11 23:05:28
【魔王】 @Tokimine_Seo

おおきく、おおきく、白色の静寂が揺らぐ。目の前の「音」とは比べものにならない。激しく揺さぶられる。 瞬時に足にこめた力は返る。正面に向いていた力を無理やり捻じ曲げ、より大きい「音」へ強く蹴り出した。 鈍重な刃は、力任せに横薙ぎに振り抜かれる。

2013-12-11 23:05:32
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

おや、と思う。あちらから近づいて来た上に、そう思った時には、女はそちらに向かって身体を向けていて。 なんだ、と、本当に小さく、手元だけに零す。肩に刃を担いだまま、振るうそれを眺めた。

2013-12-11 23:17:52
華夏の勇者 @battle_atom

「わ、わ、わ…っ!」 挨拶、したら。二人のうちの、雌、女の人の方が思いっきり、その大きな刃を振るってきた。 あんまりにも吃驚したもんだから、無理に後ろに飛びずさっちゃって、少しだけバランスを崩してしまった。 転びはしなかったけど、少し危なかった。

2013-12-11 23:27:01
華夏の勇者 @battle_atom

女の人の持つ、大きな大きな刃、随分と切れ味がよさそうなそれで、肉を切ってみたら、きっと楽しいだろうな、…なんて。 そんなことをちょっとだけ考えながら、女の人の目の前と、もう一人の獲物、彼の目の前に、それぞれ一つづつ、【口】を作った。

2013-12-11 23:28:55
【魔王】 @Tokimine_Seo

何かを切り裂いた。振り抜いた剣が一度どんと土に着く。波紋のように、先ほどの「音」が広がっている。まだ揺れている。 もう一度、今度は反対側から。大きく一歩を踏み出し近づいて、女の細腕で、大剣が横薙ぎに振り抜かれる。

2013-12-11 23:47:19
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

みやるうちに、何かが眼前に現れる。ちらと向けた視線、女が斬る、ならと思って口を開いた。 「——『何も要らない』、そうだろ?」 力ある言葉を。恐らく何かを——こちらの肉か何かを食おうとする意志の、その根本を揺るがす言葉を。作り出した本人に効かずとも独立したこれには力を発するだろう。

2013-12-12 00:20:26
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

——全て、『強欲(己)』の『支配下(所有物)』だ、容れ物の中で争う必要があるものか。 やりたいのならやれば良いが、袋の口から手を伸ばそうと言うのなら、相応の対処をしなくてはならないだろう。 声を上げたのは次は自分だから、きっと此方に来るのだろうと、思いながら革の巻かれた柄を握る。

2013-12-12 00:20:27
華夏の勇者 @battle_atom

あ、切られた。 真っ二つになって、掻き消えた僕の【口】。 もう片方の、男の人の前に作った【口】も、どうしてか、彼を食べようとしない。 あれれ、おかしいな。 気になったけど、でも、そっちに意識を裂いてる暇はないみたいで、女の人は、再びその刃を振るってきた。

2013-12-12 00:40:43
華夏の勇者 @battle_atom

それは大きく、長いから、軽く後ろに下がったところできっと刃先にかかってしまう。 だったら、しゃがむしかないよね。しゃがんで、刃を躱す。でも、それでもやっぱり、綺麗に避ける事は出来なくて、切れた僕の髪がパラパラと舞った。 (バランス、ちょっとだけでも、崩す、出来ないかな…)

2013-12-12 00:41:43
華夏の勇者 @battle_atom

しゃがんだままの体制だと、次の動きがしにくいのはわかってたから、それならせめてと思って、手を彼女に向かって、真っ直ぐに伸ばす。 ただの、悪あがき。 …その手のひらには、三つめの、小さい【口】を作って。

2013-12-12 00:42:57
【魔王】 @Tokimine_Seo

振った剣が再びどん、と地に落ちる。まだ音がする、もう一度。――と、剣を持ち上げようとした時、また音がした。一度は消えた波紋が大きく静寂を波立たせて広がっていく。目の前ではない。 一瞬動きを止めたその時に、左腕の静寂が揺れた。客観的に見るならば、「喰われた」。痛み。波。揺れている。

2013-12-12 01:13:22
【魔王】 @Tokimine_Seo

一番大きい「音」はどこだ。腕、違う、目の前の波紋はもう小さい、声、身体を反転、足は地を蹴る。両腕は大剣の柄を強く握り込む。左腕から血が噴き出すのも構わずに、握りしめた大剣を力いっぱい、半ば引きずりながら横薙ぎに振るう。 「音」のした方へ。

2013-12-12 01:13:26
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

ああ、やっぱり来たか。何をそんなに必死になっているのかと、ほんの少し不思議に思う。何を欲しているのかも分からなければ、反する言葉も向けられない。横薙ぐ刀身をやはり後退して避ける合間に肩に担いだ刃を下ろし、柄を返して片刃を天へ向ける。 切っ先が上着の裾を攫って切り裂く。瑣末な変化。

2013-12-12 01:28:58
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

気にも留めずに地を蹴る。移動の方向を反転、間合分の距離を詰め左の刃を掬い上げるように逆袈裟に——振り抜いたそれで腕の片方でも落とせば、面倒な得物も取り落とすだろうと。

2013-12-12 01:28:59
【魔王】 @Tokimine_Seo

波がひとつ、消えた。痛みはむしろ強くある。けれど音が消えた、それは喰われた傷のあった左腕が消えたことを意味していて。 身体がより重たくなる。しかし、女は動くことをやめない。静寂を求めて、音を消さんと瞳はより鋭く見開かれる。今にもちぎれそうな目尻を、いっそちぎらせようとばかりに。

2013-12-12 01:43:38
【魔王】 @Tokimine_Seo

左腕は失われた。しかし、右腕はある。重い剣を、右腕で掴み、全身でその重さを支え、憤怒を込め力の限り振り下ろす。 叩き壊す。叩き折る。叩き斬る。――叩き潰す。 静寂を侵す者に、制裁を。

2013-12-12 01:43:42
華夏の勇者 @battle_atom

ぶわり、と口の中に広がる血の味。 バランスを崩す事は出来なかったけど、手の【口】はちょっと齧る事くらいは出来たんだろう。口の中にあふれ出すその味は、美味しい。 齧った女の人はといえば、そのまま僕を狙うのかと思えば、クルッて向きを変えて、男の人の方へ向かっていった。

2013-12-12 12:07:18
華夏の勇者 @battle_atom

何でなのかは分からないけど、でも、さっき僕の【口】に何かしらの仕掛けをしたあの人の動きが見れるのなら、いいかな。 獲物を正確に狩るなら、ちゃんとその獲物の事を知らなくちゃ。 でも、もしもの時の為に、今まで作った【口】は皆消して、すぐに僕の傍に出せるようにしておく。

2013-12-12 12:07:49
華夏の勇者 @battle_atom

男の人に向かっていった彼女の、左腕かな?が、ぶつりって、切れる。 男の人が持ってた、刃物のせい。そっか、二人とも、刃物で喧嘩、するんだ。 女の人は、腕が切れたのにも関わらず、重たい刃を振り下ろす。 …彼は、どう動くんだろう。真っ直ぐに、その方向を見据えて。

2013-12-12 12:08:24
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

目を細める。片手でもこれかと、振り上げられた大剣に、踏み込んだ勢いを僅かでも殺してしまった事をほんの少し悔いた。そのまま女の背の方へと抜ける、合間に右腕に鋭い痛み。上腕がざっくり、そうとだけ認識して草を踏み方向を真反対へ。重い刃を振り落とした背を、強かに蹴り飛ばす。

2013-12-12 20:12:04
【魔王】 @Tokimine_Seo

背中に衝撃。前のめりに突き飛ばされる感覚。身体は反射で剣を離し、残された右手を突き出す。しかし片腕で突き飛ばされた身体を支えられるわけもなく、雑草の上に惨めに転がる。 一瞬の間もなく身体を起こした。痛みなどまるでないように。 限界まで見開かれた白い瞳は瞬きひとつせず。

2013-12-12 23:28:55
【魔王】 @Tokimine_Seo

背を蹴っていった「音」を追う。離して地面に落ちた剣はいつの間にか消え去り、再び無事な右手の中に収まっている。 だくだくと流れる血液が緑を濡らす。右手に剣を引きずり、左手から血の足跡を残しながら駆ける。

2013-12-12 23:28:59
ゆきみかなめ@準備中 @Kaname_role

——頭でも落とさない限り止まらないんじゃないか。痛みを感じないのかも知らないが、何事も無く跳ね起きるのを見て思わず閉口した。女の腕、断ち切ったそれは草の上に転がっていて、女はそれも無視して此方へと走って来る。 『流血は要らない』、口の中でだけ呟く。血は止まっても痛みは消えないが。

2013-12-13 13:37:49