【第一部-参】誰かを見つめる時雨と夕立 #見つめる時雨

時雨×夕立
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誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

背中に手をまわし、泣き止む気配のない夕立を抱きしめる。あ、ティッシュ渡してあげた方がいいかな…でも届きそうにないや、ごめん。僕の服、思いっきり濡らしていいから。好きなだけ、泣いて。 ……しばらくそうしていると、少しずつ夕立が落ち着いてきた。

2013-12-26 20:31:21
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「……落ち着いた?」 夕立の背中を優しく撫でる。すると夕立が深呼吸をした。だいぶ落ち着いてきたみたいだ。 ……少しして、夕立が口を開いた。 「時雨…夕立、時雨のこと……好き……」

2013-12-26 20:37:31
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「うん、僕も夕立のこと、大好きだよ。僕の大切な…姉妹鑑だもの」 …夕立の動きが一瞬止まった。 でも少しするとまた、僕の胸に身体を預け直した。 「…夕立って温かいね」 夕立の頭に頬を寄せる。 「……時雨も…とっても温かいっぽい……」 ……良かった。これで僕たちはまた……

2013-12-26 20:43:26
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「時雨…もう変なことしないから…今日も一緒に寝て欲しいっぽい…」 夕立が小声で言う。それは耳を澄まさなければ聞こえないくらいの… 「ふふ…夕立は甘えんぼだね……」 「ぽい……」 夕立が僕の背中をキュッと掴む。僕は微笑み、それに答えるように夕立の頭を撫でた…

2013-12-26 20:49:17

少しして…

誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

廊下の窓から空を眺める。すこし曇っていたけれど、僕の気分は清々しかった。 「時雨」 そんな僕に誰かが声をかける。優しくて甘い、花の香り。そして微かに混じる、扶桑の香り。 「…良かった、仲直りできたのね」 僕の顔を見て察したようだ。…ずっと、気にかけてくれてたんだ。

2013-12-26 22:03:03
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…うん、ありがとう、山城」 僕の笑顔を見て、山城も笑顔になる。僕はそれを見るだけで、幸福感に包まれた。やっぱり僕は、この人の笑顔が好きだ 。

2013-12-26 22:10:05
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「でも……」 山城が急に眉をハの字にする。…どうしたんだろう? 「何で私に相談してくれなかったのよ…相談してって言ったのに…そりゃ、扶桑姉様の方が頼りになるかもしれないけど…」 もしかして山城……相談してもらえなかったことに、いじけてる? 「ねえ、山城…」 「ふーんだ」

2013-12-26 22:15:11
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「ぷっ……ふふ、あはは」 あまりの可愛らしさに、僕は思わず笑ってしまった。 「笑わないでよ…時雨のくせに…」 「ごめん、ごめん…だって山城……」 「……でも、やっぱり時雨は笑顔の方が似合ってるわ…」 山城が僕の頭に手を置いた。 「よく頑張ったわね、時雨…」

2013-12-26 22:20:49
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

山城が僕の頭を撫でる。もう…なんだかくすぐったいよ、山城… 「……今日は早く寝なさいね。おやすみ、時雨」 「うん、おやすみ、山城……」 僕は山城の姿が見えなくなるまで、ずっと小さく手を振っていた。

2013-12-26 22:26:52
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

頭にはまだ山城に撫でられた感触が残っていた。僕はしばらく廊下で、その余韻に浸っていた。どうしよう、顔が熱いな……。 ……僕は、山城の笑顔が好きだ。 山城のちょっと子どもっぽいところが好き。 でもやっぱり大人で、優しく包んでくれるところが好き。 僕は、山城が好き…

2013-12-26 22:30:22
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「はぁ……」 胸がキュッと締め付けられる。僕はあと何回、この気持ちを味わえばいいんだろうね…… 「……そろそろ戻らないと。夕立が待ってる」 僕は、僕と夕立の部屋へ向かって、歩き出した

2013-12-26 22:33:49