「寺社本所vs武家」という単純な構図では説明しきれない中世荘園制

とてもわかりやすくて勉強になりましたので、まとめてみました。
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鈴木和裕【受験屋日本史.com】 @kazu_mha

「寺社本所領とは、北朝方の寺社・本所が保有する一般に領家職以上の荘園・公領の権益であり、武家領とは、北朝方の武士が保有する現地管理権を中心とした荘園・公領の権益である」って??「領家職以上の権益」と「現地管理権」はどう違うのか?対比になっていない感じが…。

2013-12-29 12:41:41
うさたろう @usataro1999

@kazu_mha 武士による荘園侵略という従来の理解を否定し、荘園制存続という理解の下で在地を掌握しているか否かという点で両者を区分しようとしているのではないでしょうか。記述としては正確だと思うのですが、そのためにわかり易さが犠牲になっている観が。

2013-12-29 13:42:20
鈴木和裕【受験屋日本史.com】 @kazu_mha

@usataro1999 「武士の荘園侵略」を否定するのはわかるのですが、その記述の前に「室町幕府は…各地の武士を、「寺社本所領」・「武家領」と呼ばれる所領の給付・預け置きを媒介として軍事編成」とあって、「寺社本所領」と武士や「武家領」との関係がわかりにくいのです。

2013-12-29 14:05:28
鈴木和裕【受験屋日本史.com】 @kazu_mha

@usataro1999 ちなみに『荘園研究史ハンドブック』(東京堂出版)の清水亮氏の執筆分です。

2013-12-29 14:08:58
塚原哲也 @tsukatetsu

@kazu_mha そこは、工藤敬一、高橋典幸、そして伊藤俊一各氏の議論を参照するとよいと思います。なお、室町時代の荘園制については呉座勇一氏がいま刊行中の週刊朝日百科のなかで(何巻だったかは失念^^;)コンパクトに解説されてます。

2013-12-29 14:32:41
塚原哲也 @tsukatetsu

@kazu_mha たぶん記載はないと思うけど、本所一円地という用語は高校教科書にも出てくるから、僕はそれと対にしながら使うことが多いです。

2013-12-29 14:40:14
塚原哲也 @tsukatetsu

@kazu_mha 寺社・本所が領家職・本家職をもち、現地に代官を派遣する形で実効支配を維持している荘園・公領じゃないのかな。僕はそう理解しています。

2013-12-29 14:42:46
Yuichi Goza @goza_u1

@tsukatetsu @kazu_mha 23号・室町2ですね。「寺社本所領」・「武家領」の説明をしていると字数オーバーしちゃうんで、そこは省略しちゃいましたが。もともと幕府が役賦課の都合で設定した区分なんで、荘園領有体系を説明する上では使いにくい概念ではあります。

2013-12-29 14:55:33
Yuichi Goza @goza_u1

@tsukatetsu @kazu_mha 非常に大ざっぱに説明するならば、寺社本所領とは、幕府方の武士が地頭職など現地管理権を保有していない(保有するべきでない)所領のことです。

2013-12-29 15:01:20
塚原哲也 @tsukatetsu

@goza_u1 @kazu_mha なるほど。ということは、寺社・本所が代官を派遣して実効支配しているとは限らないわけですね。

2013-12-29 15:06:34
Yuichi Goza @goza_u1

@tsukatetsu @kazu_mha 実効支配できてない場合、幕府に訴えるわけです。で、幕府が所領返付命令を出す。

2013-12-29 15:21:52
塚原哲也 @tsukatetsu

@goza_u1 @kazu_mha それでも実効支配を回復できないことがあると思うのですが、その時はどうなるんでしょうか?

2013-12-29 15:24:04
Yuichi Goza @goza_u1

@tsukatetsu @kazu_mha そのまま押領状態が続くでしょうね。もしくはその押領者と何らかの形で妥結するか、守護方の支援を仰ぐか。

2013-12-29 15:28:01
塚原哲也 @tsukatetsu

@goza_u1 @kazu_mha 押領状態が続いてしまう場合、それでも幕府・守護方としては在地の代官・沙汰人層を押さえていれば問題ないという話になる、と考えておいていいのですか。

2013-12-29 15:50:37
Yuichi Goza @goza_u1

@tsukatetsu @kazu_mha だと思います。寺社本所の荘園領主権が貫徹するかどうかは、幕府の地方支配には直接影響しません。寺社本所に文句を言われるから対応しているだけです。

2013-12-29 16:23:24
Yuichi Goza @goza_u1

@tsukatetsu @kazu_mha ただ、押領状態といっても、何の理由もなく武家勢力が侵入してくるわけではなく、「武家勢力を代官に起用したら、年貢をちゃんと送ってこない」みたいなパターンが多いんですね。しかも、寺院内部の抗争と連動していて、一方が武家代官と提携したりする。

2013-12-29 16:26:13
Yuichi Goza @goza_u1

@tsukatetsu @kazu_mha 近年の研究が「武家による荘園侵略」という言い方をしなくなったのは、1つには「寺社対武家」という単純な構図では説明しきれない複雑な現実があるからだと思います。

2013-12-29 16:27:43
塚原哲也 @tsukatetsu

@goza_u1 @kazu_mha なるほど。代官が寺社・本所の意向通りに動くとは限りませんね、確かに。後者は鎌倉末期の悪党について高橋典幸氏が指摘している事態と同じですね。

2013-12-29 16:58:21
Hirochika Watanabe @HattoriJihoh

@goza_u1 @tsukatetsu @kazu_mha 悪党問題は基本的に徳政とは関係ありません。問題は徳政にあるのではなくて鎌倉時代を通じて打ち続いた深刻な飢饉にあります。この辺りは磯貝冨士男さんや西谷地晴美さんの論文が重要です。

2013-12-29 18:09:21
塚原哲也 @tsukatetsu

@HattoriJihoh @goza_u1 ご教示、ありがとうございます。ただ、本所敵対の悪党の発生要因として、代官・沙汰人層を含む荘家の内部対立と寺社・本所の内部抗争の連動を指摘したのが高橋典幸氏の議論だったように記憶しているのですが、これも徳政問題なのですか。

2013-12-29 20:25:42
Yuichi Goza @goza_u1

@tsukatetsu @HattoriJihoh 渡邊さんのレスの意図がどこにあるのか良く分かりませんが、徳政うんぬんは海津説への批判かと思われます。近年は影響力の強い学説ですので。

2013-12-29 21:14:58
Hirochika Watanabe @HattoriJihoh

@goza_u1 @tsukatetsu 新発見日本の歴史で高橋さんが書いています。歴博の報告書の論文は、確か矢野荘を事例にしていたと思います。矢野荘の事例は、後宇多による東寺への寄進が問題となるので、直ちに典型的なものとは言えないと考えています。

2013-12-29 21:38:12
Hirochika Watanabe @HattoriJihoh

@goza_u1 @tsukatetsu 敢えて言うなら荘園支配の動揺ではなくて強化です。

2013-12-29 21:38:52
Yuichi Goza @goza_u1

@HattoriJihoh @tsukatetsu すいません、新発見日本の歴史の該当記事、読んでいませんでした(汗) その記事では海津説に則って悪党問題を論じているんですか? 歴博報告書論文では、冒頭でこそ海津公武徳政論を高く評価していますが、議論本体では参照していないような。

2013-12-29 21:53:19
Hirochika Watanabe @HattoriJihoh

@goza_u1 @tsukatetsu 徳政から排除された人々が悪党だったのである、と明確に書いています。歴博報告書を読んだときに、ちっとも新しさを感じなかったのですよ。今迄言われていた事の焼き直しだなと思いました。これも論文で批判しなければならないのかもしれませんね。

2013-12-29 21:59:20