kiri婦人
@lady_kiricream
人々の頭上をふわふわと飛び回り探し回るキカイリュウ。見えるのは人の頭ばかり。諦めて、ある店前の樽の上に着地して、がっくりと項垂れた。「あら、キカイリュウちゃん?いらっしゃい」店の老婆が声をかける。「今日はひとりでおつかいかい?偉いねえ」キカイリュウは首を横に振って否定した。
2014-02-19 22:40:17
kiri婦人
@lady_kiricream
「違うのかい?」キカイリュウは首肯する。老婆はふと横を向いて何かに気付き、微笑んだ。「なるほど、小さなお友達も一緒なんだねえ」キカイリュウの横には、いつの間に来たのか、あの青い鳥がとまっていた。キカイリュウは青い鳥を見て首を傾げ、青い鳥はキカイリュウを見て首を傾げる。
2014-02-19 22:48:03
kiri婦人
@lady_kiricream
「そうだキカイリュウちゃん。良かったらこれ貰ってくれないかい?」老婆は果実を一つ差し出した。よく熟れていて美味しそうだが、半分ほど潰れてしまっている。「運ぶ途中で落としちまってね。もう売り物にはできないんだ」キカイリュウは口でその果実を受け取った。そしてそのまま食べようとして、
2014-02-19 22:55:07
kiri婦人
@lady_kiricream
隣に留まる小鳥の視線に気がついた。飲み込もうと頭を上げた姿勢で数秒間そのまま固まる。そして果物を一旦樽に置いたあと、少し千切って小鳥の前に置いた。残りをすぐに飲み込むキカイリュウ。小鳥も目の前に置かれた果物の欠片を少しつつくと、小さな足で持ち上げて飛び立った。
2014-02-19 23:01:57