大罪戦闘企画

第三十四公演《その舞台は人知れず、》
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グラナート @ktmyng

応答はあったものの、物凄い速度で言葉が通り過ぎさらに混乱。 待てよ? これまさかずっと続くのか? ……勘弁してくれ。 こっそり項垂れていると、急に言葉は速さを失っていく。それに顔を上げれば、先程までの元気など微塵もなくなった青年がいた。 余りの落差に、一瞬誰かと思ったほどだ。

2013-12-31 16:58:28
グラナート @ktmyng

ひとりで盛り上がりひとりで冷める。なんと忙しい奴だろう。 混乱したままの自分を置き去りに。とりあえず『よくわからない事』が終わった気配になんとなく安堵して息を吐けば、冷めた緑がこちらを見ていた。 徐々に青年が明るさを取り戻していく言葉の中、『飯』という単語に顔がぱぁと明るくなる。

2013-12-31 16:58:42
グラナート @ktmyng

「BIG!?!? マジか!!! お前すげー良い奴だな!!!!」 ワクワクしながら取り出された手を見れば、3枚のチョコレート。 ……?いや、嬉しいけどな?ありがたいけどな?選択の余地ほとんどねーよな?正解ってなんだ? ぽかんと口を空け一拍、けれど貰えるかもしれないだけいいのだろう。

2013-12-31 16:59:21
グラナート @ktmyng

ぶんぶんと首を横に振り、チョコレートを見据える。そしてその3枚の真ん中を、びっしと指差して。 「②の!チョコレート!!」 これで外したらどうしよう。飢えるのかな。どうか当たってますように。 クイズ番組さながらの不安も僅かに抱えつつ、大きな声で答える。

2013-12-31 17:02:14
華夏の勇者 @battle_atom

選ばれたのは、中央のチョコレート。 ビシリと勢いよく指を指すその人物に、青年は満足そうに口角を釣り上げた。 「おめでとう!!大正解だ!!!何かが三つ並んでればとりあえず真ん中を選びたくなる人間の本能に忠実なバカ正直者の君には全部あげよう!!ほらっ!!」

2013-12-31 17:39:58
華夏の勇者 @battle_atom

結局の所、この質問にすら、意味なんてないのだろう。 彼は常に、ナンセンスに意味を見出そうとする。 けれど探せども探せどもそれは見つからず、最終的に飽きるのだ。 ばら蒔かれたチョコレートは宙を舞い、【正解者】の元へと降り注ぐ。 …何故わざわざ宙に放つ必要があるのかは分からないが。

2013-12-31 17:40:21
華夏の勇者 @battle_atom

「あとこれも!キャンディ、ビスケット、ガム、…アイスは流石にないけど、大抵の甘いものなら何だって揃ってるぞ!ヒーローの嗜みだからね!!」 追加とばかりに、彼の上着からは更に様々な菓子が山の様に溢れ出てくる。 どう見ても上着の内容量とは不釣り合いなそれを、青年は楽しそうに放った。

2013-12-31 17:40:57
グラナート @ktmyng

「バっ!?しょ、正直なのは良いことだろ!?!?」 結局全部のチョコレートを放り投げる青年に、僅か反論。 あまり過激に反論して食べ物を取り上げられるのは得策ではない。折角正解したんだし。 上からはチョコレートだけでなく、様々なお菓子が落ちてくる。何処にそんなに入っていたのかは謎だ。

2013-12-31 18:12:35
グラナート @ktmyng

菓子をわたわたとできる限り落ちる前に拾い集める。 集まるお菓子は確かに多いが、自分の腹を満たす程の量はない。精々三分目くらいだ。 手頃な飴玉を一つころんと口の中に転がして、早々と咀嚼する。 「『肥大』、しろ!」 軽く、菓子たちを放る。するとそれらは自分の顔ほどの大きさに変わって。

2013-12-31 18:14:27
グラナート @ktmyng

力を使った分更に腹が減って、さすればぐぅと腹がなる。どかっと近くの椅子へと腰を下ろし、菓子を積み上げて。 「よぅヒーロー!デカくしたけどお前も食べるかー?」 声をかけながら、与えられたお菓子を最早我が物顔で口へ運んだ。

2013-12-31 18:16:29
華夏の勇者 @battle_atom

「気持ちは別に有難くないけどNo thank you。俺、甘いの嫌い」 己が投げた菓子が巨大化した事に何の驚きも見せる事はなく、青年は笑顔のままただ淡々と毒づいた。 だがその様子はまるで朝の挨拶でも交わすかの様に爽やかだったので、それが真に悪意ある言葉だったかどうかは判別し難い。

2013-12-31 19:11:01
華夏の勇者 @battle_atom

「それは君みたいな飢えてる人に施すもの、俺が正義を執行する為に必要な物だから持ってるだけだよ。…ざっと10㎏ぐらいかな」 やはり冗談か本気か判別し辛い言葉をケロリと吐いてのけると、青年は再び長椅子の上に寝転んだ。 無駄に背が高いせいか、足が大幅にはみ出してしまっている。

2013-12-31 19:11:32
華夏の勇者 @battle_atom

「配分的正義って知ってるかい?バランスがとれる様に、各人に各人のものを分け与える事さ。この場合は、俺が君に、君に必要だと思ったものを平等に分け与えたのだから、俺が君に対して【正義】を執行した事になる。…正義って簡単だろ?こんな些細な事で成り立つんだからさ!」

2013-12-31 19:14:08
グラナート @ktmyng

「…はぁ?」 溜め息をつくように声を上げて、首を傾げる。 さらりと黒い言葉を言ってのけた青年は、言葉にそぐわぬ笑顔を浮かべて横たわった。 嫌いなのにその『正義』とやらのためにこの重さを持ち歩いていたのか。なんとも掴めない奴だ。 視線を青年から外し、手元の菓子へ落とす。

2013-12-31 21:38:09
グラナート @ktmyng

むしゃむしゃと、ひたすら咀嚼していく手は止めず、相手の話をじっと聞く。 「俺に与えちまっていいのかよ。損とは違ェの?」 愚問かもしれないが、自分には分からない価値観だ。 「『暴食(つみ)』の俺1人に与える量で沢山の人が救えんだろ」 食べる手を、止めて。金の視線だけ、青年に投げる。

2013-12-31 21:42:07
華夏の勇者 @battle_atom

「なんだい「ソン」って。もしかして、「読める空気」並にレアなものかい?生憎、そんなものした事がないよ!見た事も、聞いたことも、今の君みたいに貪り食った事もね!」 寝そべったまま、青年は宙へと手を伸ばした。 その先に有る教会のステンドグラスからは、様々な光があふれ、零れ落ちている。

2014-01-01 18:33:16
華夏の勇者 @battle_atom

そんな様子を満足そうに眺めながら、けれどもその口から洩れた言葉は、表情とは真逆の冷えた色を示していた。 「飢えてる奴を前に、「【正義】を執行しない」という選択肢は、俺にはない。」 …――それが例え【大罪】でも、と、呟きかけた口はすぐさま噤んで。

2014-01-01 18:34:08
華夏の勇者 @battle_atom

青年は上着を広げ、ズボンのポケットもひっくり返す。 そこからは、新たにボロボロと菓子類が零れ落ちた。 「ぬかりはないよ。プレゼントはまだまだあるかね!!!なんてったって、俺はみんなのヒーローなんだから!」

2014-01-01 18:34:53
グラナート @ktmyng

青年の手が宙へ伸びる。それは零れる光を掴もうとしているようにも見えた。 そうしながら語られた言葉は、随分意外なもので。意図せず菓子を飲み込んだ口が緩んだ。 「ふは、マジか。【正義】ってすげえ」 自分は『大罪』で在るから、『悪だ』と判断されやすい。正義ならば尚更だと思っていたが、

2014-01-03 01:17:58
グラナート @ktmyng

珍しいこともあるものだ。 手を再び動かし、お菓子をまた咀嚼していく。積み上がっていた大きなお菓子は、胃の中へ吸い込まれるように消えていった。 自分の力はどうも燃費が悪い。だからなかなか満腹になることはない。 どうせすぐ減るのかもしれないが、今この時点では大分お腹は満たされていて。

2014-01-03 01:20:28
グラナート @ktmyng

それでも尚彼の洋服からはお菓子が零れ続ける。本当にこいつどんだけ持ってんだ。 近づき、青年の近くにしゃがむ。床に転がるお菓子を眺めてから、青年を見やり。 「ありがとさん。お前の【正義】、すげー美味いな」 一つ、またお菓子を口内に放り込む。それを味わいながら、ぱん、と手を合わせた。

2014-01-03 01:23:16
華夏の勇者 @battle_atom

「No proble!そんなに喜んで貰えるなら正義を執行した甲斐もあるってもんだからね!」 パン、と勢いよく手を合わせた目の前の彼女に、青年は笑う。 その笑顔は人畜無害をそのまま絵に描いたかの様な爽やかなものだ。

2014-01-04 16:46:18
華夏の勇者 @battle_atom

……けれど、『だからこそ気味が悪い』のだと、彼を知る者は口を揃えて言う。 その事実を、果たして目の前の【大罪】たる彼女は気が付いているのだろうか。 誰であろうと行うと言う彼の【正義】は、彼女に行おうとしてるその【正義】は、 【救済】等という生易しいものではないという事を。

2014-01-04 16:48:18
華夏の勇者 @battle_atom

それにね、と青年は言葉を続ける。 手に持つ機関銃。その経口をひと撫ですれば、その姿は忽ち小銃に変わる。 彼の心は、確かに【正義】という二文字によって埋め尽くされていた。 …――「少なくとも、彼にとっては。」の話ではあるが。 「…これでこれから行う正義も、心置きなく執行出来る」

2014-01-04 16:54:50
華夏の勇者 @battle_atom

手に構えたその銃の口は、躊躇いなく彼女の額へ。 青年は人畜無害な笑顔のまま、有害にまみれた言葉を、息を、感情を、その全てを、吐き出した。 「さぁ、最後の晩餐は済んだかい?My Messiah」 パァン、 という、乾いた音と共に。

2014-01-04 16:56:21
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