大罪戦闘企画

第三十四公演《その舞台は人知れず、》
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グラナート @ktmyng

炎の中で戦う2人をぽかんとしたまま暫く見つめて、ふと我に返る。休んでいる暇など無いのに何をやっているんだ。 自分を叱咤しながら首を振り、ゆっくり立ちあがる。 軋む体も、焼け爛れたせいで動きにくいが許容範囲内。痛みもまだ我慢できる。 「っわ!?」 横に、大きな影が飛んでくる。

2014-01-07 00:11:19
グラナート @ktmyng

また瓦礫かと身構えるが、それは長身の男。攻撃する様子もなく、ただ佇み体液が石化を広げていた。 男の口から出た言葉に、ぎょっと目を見開いて。 「オイてめぇふざけんじゃねえぞ!!」 ぎろり、金が睨む。男に対して文句しか言っていない、しかし流石に標的を擦り付けられては仕様がない。

2014-01-07 00:15:22
グラナート @ktmyng

掴みかかるのは何とかこらえる。体格差的にも、この体液の事を考えても不利だ。 青年を見ればその翡翠が光ったように見えた。手元の更に形を変えた銃に、舌打ちしながらがしがし頭を掻く。余計面倒になってやがる。 ただ青年の最後の台詞が気になり、一言問う。 「お前、両親を手に掛けたのか」

2014-01-07 00:23:01
華夏の勇者 @battle_atom

男が彼女の事を口にした事で、青年の目線は、ぐるりとその青い髪をした彼女へ向かう。 「あははっ、ごめんごめん、すっかり忘れてたよ!君ってホント昔から存在感薄いよね!え、うんそりゃもう君の事なら何だって知ってるよ!いったい何十分一緒に過ごしたと思ってるのさ!!」

2014-01-07 00:39:13
華夏の勇者 @battle_atom

辺りに血をパタパタと零しながら、青年は立ち上がる。 痛みの度合いはけして軽いものではないが、青年自体、痛みは尊ぶべきものだと思っているせいか、その笑顔は崩れなかった。 青年は持っていた銃を放り投げ、床に向かって手を翳す。 床から生えてくる様に表れたのは、一本のアサルトライフル。

2014-01-07 00:40:19
華夏の勇者 @battle_atom

翳した手をまるで半円を描くかのように動かせば、その軌道にそって次々と銃が生えてきた。 その一本を手に持ち、狙いを定めると、青年は躊躇いなく引き金を引いた。 「まぁそこら辺はぬかりないよ。何てったって俺は正義だからね!最初っから俺は、平等に狙うつもりだから。安心してくれよ!」

2014-01-07 00:40:38
【魔王】 @Tokimine_Seo

「……ふん。ずっと笑っているが、お前は楽しいのか?」 袖口から垂れる液体をばらまく。石になった弾は、ぼとりと落ちて転がっていく。 「人らしくない。私は人が好きだが、面の変わらぬ、顔を変えぬ偽りの仮面は嫌いだ」

2014-01-07 15:18:32
【魔王】 @Tokimine_Seo

「私はこちらの方が好きだ、よく変わる」 そう呟きながら、横の女を転ばせてやろうと足元を狙って思いきり蹴りを放つ。 意識は青年に向いているだろうが、気配に聡ければ避けられる程度。

2014-01-07 15:18:38
グラナート @ktmyng

「いちいち腹立つなァ、ヒーロー?」 苛立ちつつも、歯をのぞかせ笑う。 床から生えるライフルを見て、表情は真剣なものに変わる。ボールを投げるかのような気軽さで、銃弾は放たれた。避けようと足に力を入れた所で、横からそれが崩される。 「っぶ、!!!」 崩れるようにして、前に転ぶ。

2014-01-07 16:02:15
グラナート @ktmyng

大男の蹴り。青年に意識を向けていたせいで横は疎かになっていた。 芯を捉えていた弾丸は、倒れ込む時にズレて肩口に傷を作る。 「あぁもう!!テメェは一体なんなんだよ!!」 防げたはずの傷を負って、苛立ちが怒りに変わる。 目の前の青年も、横に居る男も何を考えているかさっぱりわからない。

2014-01-07 16:07:01
グラナート @ktmyng

ぱき、と小さい音を耳が拾う。自分の脚へ視線を移せば、石化し範囲を広げていく。蹴られた時、だろうか。 「まじかよ…」 毒づきながら身を起こし、確かに重くなった脚の感覚を受けて考える。 ――早めに、決着をつけないと。 ナイフを棄て、ハサミを一つ取り出す。注意は、横にも正面にも配って。

2014-01-07 16:15:42
華夏の勇者 @battle_atom

「うん!楽しいよ、最っ高にね!俺はこういう瞬間の為に生きてるんだからさ!」 …実際は、もう既に彼は死亡している訳だが。 どこかおかしい青年は、それに気が付いていない。 生前、青年は某国の軍の、それなりに高い地位に着いていた。それは青年の年齢を考えれば、まずありえない程の地位だ。

2014-01-07 16:38:36
華夏の勇者 @battle_atom

けれど良過ぎた彼の頭は、世界中を巻き込んだ戦の中で重宝され、その地位へと上り詰めた。勿論、恨みを買わなかった筈が無い。頭こそ良かったが、彼の振る舞いには問題があり過ぎた。憎悪を集めすぎた彼は結局、戦争後に何者かによって射殺された。 …その瞬間の事を、彼は覚えていない。

2014-01-07 16:38:51
華夏の勇者 @battle_atom

「正義が俺の全て。…だから受け入れてちょーだいよ、悪役諸君?」 男に蹴られ、女は体制を崩す。その足は、何か変だ。 灰色が広がってく様を見て、青年は眉を潜めた。 ――アレ…まさかうつらないよな? いずれにせよ近寄らせるのは悪手だ。青年は銃をとり替えながら、引き金を引き続けた。

2014-01-07 16:39:44
【魔王】 @Tokimine_Seo

「そう、それだよ!人の表情、精神、感情が変わるのはなんと楽しいことか!」 なんと愛しくて妬ましき感覚。変化を、妬ましいほどに彼は愛している。 いささか満足したのか、銃を乱射する青年に青い視線を向ける。

2014-01-07 16:55:30
【魔王】 @Tokimine_Seo

「お前が私を悪と認識するのは全くもって構わんが、私が私を悪であると受け入れることは残念ながらできんな」 概念体に、善悪など存在しないのだから。 何気なく腕を伸ばし、立ち上がった女の襟をわしづかみ。 心の底から愉しげな笑みを浮かべながら、ぶん投げた。

2014-01-07 16:55:36
グラナート @ktmyng

大男の反応に、うげ、と舌を覗かせげんなりする。 やっべ変な奴に関わっちゃった。いやヒーローもそうだっつーかここ変な奴しかいない。超帰りたい。 そんな思いを抱えながら大きなため息を、ひとつ漏らし。 「俺は悪役で構わねーけど。お前の正義、不味いんだよ」 先の発言を撤回する言葉を放つ。

2014-01-07 17:21:09
グラナート @ktmyng

味は二の次、満腹になれれば。けど、やっぱ美味しいに越したことはないワケで。腹をさする。さて、燃費の悪いこの腹はどれくらい持つだろう。 「その正義ぶち折って、俺はとっとと帰――え?」 横から伸びてきた手。それが襟をがっしり掴み、そのまま、 「あ、ちょ、うわああああああああああ!?」

2014-01-07 17:25:42
グラナート @ktmyng

ぶん投げられた。野郎マジ覚えてろ。そんなことを思っても、口からは女らしさなど微塵もない声が上がる。 弾の嵐が傷を作るが、勢いは止まらず青年へ急接近。 しかしこれもしかして好機?ふと気づき、手に持つハサミを『肥大』して。 「お届!け!物!だぁッ!!」 ハサミを広げ、大きく振り抜く。

2014-01-07 17:25:44
華夏の勇者 @battle_atom

「…は?」 まるで弾丸の様に飛んで来た彼女。 流石の青年も、ほんの一瞬だけ仮面の下を覗かせた。 そんな時に飛んで来たのは鋏で、それもどうも、普通の大きさじゃない。 気が付いた瞬間、青年は即座に行動を変えた。 狙いを、彼女からその鋏へ。 青年は今早く動けないから、避けるのは無理だ。

2014-01-07 17:38:36
華夏の勇者 @battle_atom

しかも巨大化した鋏なら、リーチが長いから尚更。 ならば、弾を当てて軌道をずらすしかない。 その一瞬の判断が功を成したのか、一応その鋏からは致命傷を免れた。 けれど代償もまた大きく、軌道をずれた鋏は青年の右腕に当たり、その手首を大きく吹き飛ばした。

2014-01-07 17:39:04
華夏の勇者 @battle_atom

青年は一度だけぽかんとした表情をしていたが、すぐにそれを消した。 代わりに現れたのは、憎悪。 それが彼女へ向けてのものか、それとも傷口から漏れ出した血に向けてなのかは分からない。 青年は冷えた表情で、今度は慎重に狙いを定め、落ちる彼女の首を狙い撃った。

2014-01-07 17:39:29
グラナート @ktmyng

何とか辺りはしたものの、寸前に軌道をずらされた。 手首が、弧を描いて飛ぶ。武器を持つ手を減らせたのだから上々か。 しかし青年に変化。笑顔は何処へやら、そこには全てを消した冷えた顔があって。 憎悪の色が、翡翠の中に燃え盛る。 「……やべ、」 静かに定められた狙い。それは自分の首元。

2014-01-07 18:19:04
グラナート @ktmyng

石化した脚に宙を舞う自分の身体は思うように動けないし、大きく振ったハサミは、阻むには間に合わない。 ハサミに添えていた片腕を、何とか盾にと突き出すものの。 その腕を、首を。銃弾が抉り抜けて。床にごろんと転がり、浅く呼吸。 「…っは、く…っそ、」 霞む視界と逃げる酸素に、毒づいた。

2014-01-07 18:24:07
【魔王】 @Tokimine_Seo

女を投げ飛ばした場所から、ゆっくりと歩を進めていく。表情こそ平然とした歪んだ笑顔だが、その足取りは覚束ない。 当然だ、上半身は焼かれて、全身のあちこちから、銃弾による傷で溢れた不変が広がっているのだから。 それでも歩は進む。進める。

2014-01-07 19:00:31
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