大罪戦闘企画

第三十四公演《その舞台は人知れず、》
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華夏の勇者 @battle_atom

「Hi ”Big Mama”!相変わらず美しいね!今回もよろしく頼むよ!」 ビックママと呼ばれたそのブローニングM2重機関銃は、その完成度の高さから戦時中青年の受け持っていた部隊でも良く重宝したものだ。 現れたその二つの銃を撫でた後、それらをそれぞれ構え、引き金に指を添えた。

2014-01-05 17:47:48
華夏の勇者 @battle_atom

本来ならば両手で構えなければいけないソレだが、生憎弾は腐るほどある上に、正確に狙いを定めなければいけない状況でもない。 首をかしげる長身の男に向かって、青年は笑顔のまま、遅い返答を返した。

2014-01-05 17:48:35
華夏の勇者 @battle_atom

「最悪苦しまなかったとしても、適当に内臓スプラッタしてくれれば観客は喜ぶからさ!ついでにぶちまけた五臓六腑は俺がシチューにして食べてあげるよ、どっかの御后様みたいにね、だからほら、」 二つの目標、それらに軽く狙いを定めて、その指は引き金を引く。 「安心して死ね」

2014-01-05 17:49:30
【魔王】 @Tokimine_Seo

「死と安心はまあ確かに似たようなものかもしれんな」 永久の安息とも言うし。 「だが、お前の言う通りになるのは私が気に喰わん」 乱射され飛び交う銃弾を避けようともせずに、再び大きく跳躍。空中で無造作にレイピアを構えたかと思えば、その姿はぐにゃりと歪んで、別の造形を描き出す。

2014-01-06 02:08:31
【魔王】 @Tokimine_Seo

銀灰の髪の男は、銀灰の毛並みの巨大な狼に。淡くたなびく青の軌跡を宙に描いて、身体のあちこちを掠め貫く銃弾を意にも介さずに獣の牙を剥く。 青年の喉笛を目がけて、まさに人喰いの獣のように。

2014-01-06 02:08:37
グラナート @ktmyng

ナイフは空振りに終わって、しゃがみ込む青年を睨む。 その手には、大きな機関銃が取り出されていた。一つは男に、もう一つは自分に向けられて、銃弾が飛ぶ。 フォークを盾に。しかし銀が防ぎきれなかった弾が体を傷つけていった。 「チ、厄介だ!」 舌打ちをしながら、地を蹴り大きく後退する。

2014-01-06 14:28:04
グラナート @ktmyng

横を、銀の狼が通り抜けていく。 最早この場にいない長身の男の髪と、狼は毛色がそっくりで。そこでようやく、彼と狼が同じモノということに気づいた。 驚きから目を見開くが、呆けている暇はない。手に持つフォークを腕の長さほどに縮め戻して、青年の足元に投擲。注意が其方に逸れればいいけれど。

2014-01-06 14:29:51
華夏の勇者 @battle_atom

飛びかかって来たのは、巨大な狼。 それが先程までのあの大男だと理解して、青年は舌打ちをしながら後ろへと後退した。 銃身を押さえつけていた機関銃が暴発を始めたが、構っている余裕はない。 青年が狼に向かって翳した手には、まるで奇術の様に、いつの間にか鈍色の物体が握られていた。

2014-01-06 15:59:15
華夏の勇者 @battle_atom

…――対戦車用地雷。 踏みつけてこそ真の効果を発揮するそれは時として、こうして投げて使われる事もある。 それは非常に困窮した戦場での使用が殆どだが、普通の手榴弾よりも効果は凄まじい。 「爆ぜろ」 冷えた声が小さく響き、その地雷を投げた青年が一歩後ろへと身を引いた、その瞬間だった。

2014-01-06 16:00:22
華夏の勇者 @battle_atom

ザシュ、と嫌な音。 それは、まさに、巨大なフォークが青年の足の甲を貫いた音で。 「…っ、めんどくさい…!!」 足は痛むが、地雷を投げてしまった以上、今引かねば自分の身が危ない。 無事な片足に重心を乗せて、地面に転がり込む様に、青年は飛びずさった。

2014-01-06 16:00:58
【魔王】 @Tokimine_Seo

何かが投げつけられた。飛んでくるものが爆発物であることを認識するのは容易く、だが回避するには勢いがつきすぎていた。 眼前に閃光が炸裂する。弾ける激痛と爆発に吹き飛ばされ、宙で再び人型に容を変えて、ぼろぼろの椅子を巻き込みながら轟音をたて転がった。 ゆらり、と亡霊の如く立ち上がる。

2014-01-06 18:14:39
【魔王】 @Tokimine_Seo

上半身を中心に、全身の傷からぼたぼたと垂れるのは赤い血ではなく、石の灰色をした、もっと粘度のある液体。液体が落ちた所から、床が石に変わって固まってゆく。 にたりと浮かぶ、獣じみた笑み。 「……やってくれるじゃあ、ないか」 石に変わった床を、再び蹴る。

2014-01-06 18:14:50
【魔王】 @Tokimine_Seo

石色の液体を撒き散らし、触れたものを石に変えながら駆ける。その手には繊細優美なレイピア。足を傷つけたらしい青年目がけて、突き出す。

2014-01-06 18:14:54
グラナート @ktmyng

フォークは確かに青年の脚に突き刺さる。 しかし直後、青年から狼へと投げられた何かが、光を放って熱が駆けた。 そっちは視界に入れていなかったせいで、回避は困難。咄嗟に腕で顔をガードするものの、凄まじい勢いの爆風には敵わなくて。 更に後方へと吹き飛ばされて、身体は地に叩きつけられた。

2014-01-06 18:59:27
グラナート @ktmyng

衝撃で体は軋み、視界は霞む。腕は爛れて、片手の掌も銀のせいで焼け焦げている。 「っく、そが……!」 鼻をつく嫌な臭いに顔を顰めながら、身体を起こし視線を転がり込んだ青年と、あの大柄な男へと向ける。 その一方、違和感を覚えた。大男は確かに傷ついている。

2014-01-06 19:00:17
グラナート @ktmyng

それなのに何故か赤はそこに見えず、代わりに石のような灰色のものが零れていて。 「なん……だ、ありゃ」 液体が零れた先、ぱきぱきと床が、椅子の破片が、固まっていく。 その光景に、ぽかんと口を開けて。呆然としたまま後方で、2人を見つめていた。

2014-01-06 19:00:56
華夏の勇者 @battle_atom

再び人へと姿を変えた狼の身体からは、ぼたぼたとぼたぼたと、奇妙な灰色の液体がとめどなく零れ落ちていく。 粘着性のあるその液体が地面に着いた瞬間に周りを石に変えていくのを見て、青年の内に湧き上がったのは恐怖でも、驚きでもなく、…――酷く純粋な、「笑い」のみだった。

2014-01-06 19:57:11
華夏の勇者 @battle_atom

「あはっ、あははははははははははははははは!!何ソレ、どんな野蛮人の血だったらそうなるの?あははははは!まるでメデューサみたいだ、君、彼女の親戚か何か?」 …本当に汚らわしい。と、嘲笑いながらも漏らした言葉には確かに憎しみがこもっていて。 青年は、ちらりと負傷した片足を見た。

2014-01-06 19:57:31
華夏の勇者 @battle_atom

「…お揃いだね」 そこから流れる血を見て小さく呟くと、青年は別の武器を握った。 火炎放射器。銃と違い使用までにかかる時間が少ないうえ、敵を牽制する面においても銃より優れている。 この足で接近戦は厳しい。なら刺し違えてでも敵を燃やすか引き離すしかない。 青年は静かにソレを起動した。

2014-01-06 19:58:00
【魔王】 @Tokimine_Seo

視界が、世界が燃える。不変の液体に触れた炎は『不変』と化し、怪我をしていない箇所は焼け焦げる。 火炎に炙られ、それでもなおレイピアを携え炎の中を突き進む。嗤ったまま。 「焼くがいい、傷つけるがいい、私を殺してみせろ!」 むしろ、殺されることを望んでいるように、叫ぶ。

2014-01-06 20:47:53
華夏の勇者 @battle_atom

炎は、男のその液体を受けて、消えない業火と化す。 けれど、その場ではそんな事実を知る由もない青年はただ、この炎の中でも躊躇わずに突き進んできた男を見て、ほんの僅かに驚きを見せた。 「…ああ喜ばれちゃ、面白くないな」 それから少しして、何の表情もない、無色へと、顔を変えて。

2014-01-06 22:34:46
華夏の勇者 @battle_atom

この表情は果たして青年の本来の顔なのか、それは青年にも分からないが、時たま、青年の塗りこめられた笑顔の仮面の下からは、そんな表情が見え隠れする。 「もっと苦しんでよ、ねぇ、ほらほら!」 男の持つレイピアが青年の脇腹を貫く。 青年が最も嫌う、己の血が流れ出るのを感じながら、

2014-01-06 22:35:24
華夏の勇者 @battle_atom

青年は火炎放射器をひと撫でし、ソレの形を【変えた】。 今まで火を放っていたそれは軽量の、けれども威力の高いM3サブマシンガンとなり、弾を放つ。 青年は痛みで脂汗の滲んだ顔で、それでも再び、笑顔の仮面を被ってみせた。 「もっと悲鳴を聞かせてくれよ!それこそ、俺の両親みたいにさ!」

2014-01-06 22:36:16
【魔王】 @Tokimine_Seo

「残念ながらお前の望むような『苦しみ』は、私にはないようでな」 レイピアを引き、青年の手にある火を噴いていたものがまた形を変えた。飛び出してくる弾を不変の液体をぶちまけ、止められるだけ止める。弾が貫いていった箇所からはさらに液体が噴き出す。 跳躍、後退。

2014-01-06 23:08:29
【魔王】 @Tokimine_Seo

足をついたのは、青鈍色の髪をした女のすぐ隣。狼の毛並みにも似た髪が、ざわと波打つ。 「こちらのお嬢さんの方が、お前の望みにかなうのではないかな」 あからさまに矛先を変えるセリフを吐いた。

2014-01-06 23:08:33
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