ケネス・ウォルツの国際システムと構造の概念

ケネス・ウォルツの国際政治理論の重要な概念であるシステムと構造という用語の解説をしました。
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Norihito KUBOTA @norihitokubota

「国際システムの安定性」と「戦争の頻度」はアプリオリに等置してよいのではなく、(実証の問題として)「戦争の頻度として測った場合の国際システムの安定性」(が決まる)というべきなんでしょうけどね。

2014-01-08 14:05:15
Norihito KUBOTA @norihitokubota

実際戦争はたくさん行うけど国家の消滅はないのでシステムとして安定という18世紀的な国際システムも十分考えられるわけですし。

2014-01-08 14:06:30

確かにその通りでした!ここは私の説明不足。

ウォルツの『国際政治の理論』は1979年に出版されたもので、その中の「二極システムが安定している」という彼の命題は、米ソは一度も全面戦争に至っていないし、今後も至らないだろうということを暗に主張していました。その意味で、ジョン・L・ギャディスという学者は「冷戦は長い平和だった」と表現しています。

でも、冷戦期は米ソの全面戦争こそなかったものの、朝鮮やベトナム、アフガンなど、激しい戦争が繰り広げられたのも事実です。そんな冷戦期が「安定」していたなどと言えるのでしょうか?ウォルツによればそうした戦争はシステムの構造を一変させるものではないので、安定性とは無関係なのです。つまりシステムを構成する主要なアクター間の戦争ではない故に無視できるとするわけです。

ウォルツの言う「システムの安定」とは、「システムを構成する主要な大国間の安定」と同義なのだと言えるでしょう。