クラムボン=コマドリ(クックロビン)説のまとめ

宮沢賢治『やまなし』に登場する「クラムボン」の正体について考えてみました。
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内容は「ミソサザイの婚礼」(※このまとめの最後のほうに説明があります)の翻案。コマドリが新郎、ミソサザイが新婦というのはいっしょですけど、カッコウは出てこない。スズメが直接コマドリを狙う(結末も違う)。

2014-09-11 21:02:00

宮沢賢治とマザーグースについて調べてみた

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とまあ方々調べてはみたんですけど、結局手詰まり。で、最後に辿り着いたのがあるひとつの論文。小林俊子さんという方の『賢治童話へのマザーグースの投影 ―主にはやし詞について―』。『賢治研究』という冊子の66号(1995年4月)に掲載。

2014-01-14 17:02:34
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オラ、この冊子を見るために、わざわざ花巻のイーハトーブセンターまで行ったからね(笑)。

2014-01-14 17:07:32
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で、この論文の内容ですけど…「主にはやし詞について」という副題の通り、前半は「はやし詞」にスポットライトを当てていて「宮沢賢治がマザーグースから影響を受けたのではないか?」と思われる部分の紹介と、主にリズムの検証(この部分は私にとってあまり重要ではなかったので読み飛ばした)。

2014-01-14 17:11:36
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後半が宮沢賢治の年譜を追いながらの事実関係の確認(ここは私にとって非常に重要と思われた)。

2014-01-14 17:14:37
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ここでちょっと論点というか立場みたいなものを整理しておきます。 ・研究者の方々の認識(たぶん)→ 宮沢賢治がマザーグースを目にしていたかについては不明。ハッキリした証拠が無いので明言は出来ない状況。

2014-01-14 17:17:00
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・この論文を書いた小林俊子さんの目指すところ→ 宮沢賢治がマザーグースを目にしていたという証拠が欲しい。童話の大部分が1921年(大正10年)に書かれたので、それ以前にどこかで接触する機会があったのではないか?

2014-01-14 17:19:33
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・コマドリ説を提唱する私の目指すところ→ 宮沢賢治が北原白秋の『まざあ・ぐうす』(1921年12月)を目にしていたという証拠が欲しい。(続く)

2014-01-14 17:21:43
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(承前)もしそれ以前に宮沢賢治がマザーグース(特にコマドリの話)を目にしていたという事実があったりすると、コマドリ説の立場は苦しくなる(まざあ・ぐうす1921年→コマドリ頻出1922年の流れが崩れるから)。

2014-01-14 17:24:04
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この論文を書いた方と私とでは、希望する決着がビミョーに異なるというところが肝です。

2014-01-14 17:26:19
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で、この論文後半の要点まとめ(↓) ・宮沢賢治の没後残された図書を明記した「宮沢賢治所蔵図書目録」にマザーグースは掲載されていない。が、アンデルセンや英米児童文学の原書は掲載されている。

2014-01-14 17:27:58
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(注:宮沢賢治という人は驚異的な読書量だったみたいだけど、没後残された本は意外と少ない。これには理由があって、どうも読み終えるとすぐに人にあげちゃう人だったらしい)

2014-01-14 17:29:34
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・宮沢賢治は東京や仙台の丸善で化学関係の洋書を購入している。北原白秋の訳以前にマザーグースの原著を見た可能性はある。

2014-01-14 17:31:45
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(ドキッ! まぁ“可能性”だからね、あくまで)

2014-01-14 17:32:30
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・宮沢賢治が通ったという上野図書館や日比谷図書館に、マザーグースが所蔵されていたという可能性は? →所蔵なし。日比谷図書館のほうは原簿が焼失していて調査不能。

2014-01-14 17:33:19
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・児童誌『赤い鳥』との接点は? →童話創作以前の段階では、具体的な関連はつかめなかった。

2014-01-14 17:35:22
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この後、北原白秋訳マザーグースの話(大体行く前から知っていた)と考察・まとめが続いて論文はおしまい。

2014-01-14 17:37:13
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ん~、ちゃんとした研究者の方がこれだけ調べられても、はっきりとは判らないんじゃあ、私がいくら調べてもこれ以上は無理って気がしますね。とりあえずコマドリ説が否定されなくてよかった…。

2014-01-14 17:38:19

その他、関連があるかもしれない情報・資料

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実は『こまどりのお葬式』には、その前段とも言うべきお話が存在する。『ミソサザイの婚礼(Courtship of Jenny-Wren あるいは The Marriage of Cock Robin and Jenny Wren)』と呼ばれるもの。

2014-01-14 16:44:25
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狼藉を働いたカッコウに向けてスズメが放った矢が、誤ってコマドリに当たってしまう。つまり「なぜ殺された」の答えは「誤射」。

2014-01-14 16:48:25
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『ミソサザイの婚礼』は、北原白秋の『まざあ・ぐうす』に収録されていない。となると宮沢賢治自身も「なぜ殺された」のかは知らなかったのかもしれない。

2014-01-14 16:50:34
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