雑誌『赤い鳥』とマザーグースについて調べてみた
というワケで『小岩井農場』『イーハトーボ農学校の春』『やまなし』がすべて1922年頃書かれた作品、というのがコマドリ説の根拠のひとつなワケなんだけど、この辺をもうちょっと固めておきたいので、雑誌『赤い鳥』にマザーグースの訳が掲載された正確な時期について調べてみるコトにしました。
2014-01-14 15:56:22で、実物(『赤い鳥』は復刻版が出ている)を見たワケじゃないのでまだ断定は出来ないんだけど、他の資料によるとどうやら『こまどりのお葬式』は『赤い鳥』には掲載されていない模様。
2014-01-14 16:02:43では『こまどりのお葬式』の日本での初出は北原白秋の『まざあ・ぐうす』(1921年12月)かというと、実はそうではない。
2014-01-14 16:06:44(コマドリ説としては不利になる話ではあるんだけど)Wikipediaの「クックロビン」の項目に、 >文学作品への引用の古い例としては、1910年発表の竹久夢二の童話『少年と春』に一部ではあるが訳詞が挿れられている。これは北原白秋による本格的な訳詞よりも古い。 …と記載されている。
2014-01-14 16:10:43これは私の妄想だけど、竹久夢二の『少年・春』、そして『やまなし』が共に幼い子供(仔蟹)が始めて“死”に触れる場面を扱っているのは、この2作品が『こまどりのお葬式』という同じ種から成った言わば“異母兄弟”の関係にあるからではないか、と思ったりしている。
2014-01-14 16:19:08(まーぶっちゃけた話、宮沢賢治はトンデモなく語学に堪能な人だったワケで、訳うんぬんなんて話に関係なく、原文に直接触れる機会があったかもしれないよね~)
2014-01-14 16:23:50宮沢賢治と言えども、全くの“無”から物語を生み出したというコトではないらしい。外国の童話等が下敷きとなっているケースもあるようだ。『十力の金剛石』の蜂雀=ハチドリには、明らかにメーテルリンクの『青い鳥』の影響が見られるらしい。
2014-01-14 16:28:19『賢治童話の気圏』(吉江久弥)という本によると、『やまなし』にも下敷きとなる童話が存在するらしい(もちろん「盗作」とかいうレベルの話とは全く違う!)。 http://t.co/kYePeFkvJe
2014-01-14 16:32:17ストリンドベリ(スウェーデン)の童話『海に落ちたピアノ』の中に、海中に落ちたピアノのまわりに魚たちが集まって来てあれこれ会話するという部分があるそうだ。 http://t.co/mfHo3xRPtw
2014-01-14 16:36:57※追記 『赤い鳥』に掲載されたマザーグースの詩
雑誌『赤い鳥』に掲載された作品はこちらのリストで確認出来る(要PDF)。 library.city.hiroshima.jp/akaitori/sakui…
2014-09-11 19:10:41この中で『まざあ・ぐうす』が出版される前(1921年12月まで)に訳出された詩は以下のとおり。ただし簡単に検索をかけただけで実物を確認したワケではないので抜けがあるかもしれない(ご容赦を)。とにかく「駒鳥のお葬式」は載っていないというコト。
2014-09-11 19:18:01【1920(大正9)年1月】 「緑のお家」(『まざあ・ぐうす』では「胡桃」に改題?) 「柱時計」(『まざあ・ぐうす』では「一時」に改題?) 実物見て無くてゴメンナサイ…。
2014-09-11 19:26:26このPDFの最後のほうに「白秋のマザー・グース訳の掲載雑誌一覧」というものが載っています。どうやら私のチェックはザルだった模様…。
2014-09-12 14:59:33※追記 『赤い鳥』に掲載された「駒鳥の婚礼」なる劇について
それからこれはリストを調べたコトによる副産物。『赤い鳥』に「駒鳥の婚礼」(楠山正雄)という少年少女野外劇の脚本が掲載されていたコトに気付きました。
2014-09-11 19:44:13【1921(大正10)年5月】 「駒鳥の婚礼」(楠山正雄) kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid…
2014-09-11 19:47:01この劇については『やまなし』とは関係無さそうではあるんですけど、微妙なタイミング(やまなし成立直前)で、微妙に気になる雑誌(赤い鳥)に掲載されているというコトで無視は出来ないと思いますので、いちおう追記しておきます。
2014-09-11 19:55:26