16日発表! 第150回芥川賞候補作を全作通読した感想!!

ただ読書が趣味であるだけの者がおこがましく綴った芥川賞候補作の評価のまとめです。
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町屋良平 @cori_uno

いとうせいこう『鼻に挟み撃ち』 個人的に好きというほどでもないがなんとなく思い入れのある作品。かろうじてゴーゴリと後藤明生を読んでいるぐらいなわたしなので、それでちょうどよかったかもしれない。テーマとして、「突き抜けないこと」「やりきらないこと」がある。 #うの芥川賞

2014-01-08 16:37:09
町屋良平 @cori_uno

→後進作家に達成された感がある。その小説家としての「容れもの」感、像結ばない感、どろどろ感をよく表現しており、この作品も当たり前のようにどの観点からみても「成し遂げない」。芥川賞の候補として読めたのはしごく幸運。中盤の明らかな私小説性を、おそらく好意的に #うの芥川賞

2014-01-08 16:40:05
町屋良平 @cori_uno

→読まれすぎてしまう感も、個人的には出発点を考えると許せてしまうわけだし、その中道感にして当然、芥川賞授賞! となると白けるわけである。それでよい。 #うの芥川賞

2014-01-08 16:41:37
町屋良平 @cori_uno

岩城けい『さようなら、オレンジ』 かなりの、授賞しても驚かない感がある。小説としてかなりできあがっている。リーダブルでおもしろい。とくに泣かせるのは、ものを書く人間のホロるツボをことごとく抑えている点である。それでいて、志も高い。野心もある。だがしかし、 #うの芥川賞

2014-01-08 16:45:26
町屋良平 @cori_uno

→だがしかし! 文学的野心の統制加減がうますぎて、ちょうどよすぎて、なんだか心地よすぎる。ぞくぞく設置したハードルを飛んでゆくのだが、(読者を感動させながら、)、テレビで見るスポーツバラエティのごとく、なぜか跳べるのがわかっていたりする。 #うの芥川賞

2014-01-08 16:47:44
町屋良平 @cori_uno

→最終的にいちばん読者として苦しいのは、数か国語に跨がって、ことばで書くことのみならずことばで考えることを日本語でていねいに考えてゆきながら、母語への撞着というのが予め透けて見えてしまう感が、ちょっと自分には苦しかった。 #うの芥川賞

2014-01-08 16:50:04
町屋良平 @cori_uno

もう少し書きたい『鼻に挟み撃ち』 ナイーヴな部分なのだが、この作品が文学愛好者に絶賛されてはダメなわけです、だけど、歯牙にもかけられないのもダメ、その中間ぐらいで脱個人的に評価されないといけないわけなので、この覚悟に俺はうたれました。中間作を書く、という。 #うの芥川賞

2014-01-08 20:28:39
町屋良平 @cori_uno

そして松浪太郎『LIFE』 この作品にも『鼻に挟み撃ち』に近しい好感を持ちました。この作品の迫力は、「だらしなさ」につきます。まず物語でと登場人物が比類なきだらしなさなんですが、それに併せて小説のほうもここまでか、というぐらいだらしなくなっています。 #うの芥川賞

2014-01-08 20:32:31
町屋良平 @cori_uno

『LIFE』 ここまでだらしない小説を書けるというのは、すごいことです。たぶん誰しもが読んでいて、「ここはこうしたほうがいいのに~」「これ意味あるの~?」というだらしない余白のオンパレード。すごい迫力です。その「だらしなさ」の徹底は、わずかに、 #うの芥川賞

2014-01-08 20:35:42
町屋良平 @cori_uno

→『鼻とに挟み撃ち』の作りこまなさをかわしたかな~という印象を俺は持ちましたが、きわめて微妙です。 #うの芥川賞

2014-01-08 20:38:00
町屋良平 @cori_uno

『コルバトントリ』山下澄人 少年性、死生観、「」を共有する、いうような、相性のよい材料をつかって疾走しているのだが、個人的にはすごく食い足りない感があった。食い足りない感をそのまま言ってしまうのはなかなか無念なのだが。山下さんにはいつも迷う。 #うの芥川賞

2014-01-09 17:09:35
町屋良平 @cori_uno

→このままでは追い抜かれてしまう、追いつかれてしまう焦りを経た現状維持という跡が目につく訳でもないし、まったく新しくないという新しさというでもない、おもしろいのだけど、ピーンとくる! という感じのない、食い足りない感じ……やはり『ギッちょん』がいいともう書きたくない。#うの芥川賞

2014-01-09 17:13:51
町屋良平 @cori_uno

小山田浩子『穴』 超うまい! という感じでもない、みずみずしい! という感じでもない、しかし紛れもなく小説の文章がずっと並んでいます。ある種の退屈さはあるのですが、それにしても文字を追うことのふへん的なよろこびをはらんだ、よい文章です。 #うの芥川賞

2014-01-14 16:11:06
町屋良平 @cori_uno

→ユーモアは独特のものがあり、笑えます。出てくるの登場人物の、表明できない不快な感じも、主人公を含めて均等に配分されていて、後半に出てくる義兄(?)が際だって不気味に書かれていながら、同様の不気味さがどの人物にも漂っていることに気がつきます。 #うの芥川賞

2014-01-14 16:12:02
町屋良平 @cori_uno

→ 小山田浩子『穴』 このどこにも片づけられない不快感が貴重なもののように思えます。 #うの芥川賞

2014-01-14 16:14:15
町屋良平 @cori_uno

まとめ1 結論からいうと、松浪太郎『LIFE』がいちばんすぐれていると思いました。僅差で小山田浩子『穴』という感じでした。というのも、小山田さんは他作品のほうが面白いと思います。だけど、ある種の退屈さ、無為さというのも、重要かな……などいろいろ考えた結果、 #うの芥川賞

2014-01-14 20:41:04
町屋良平 @cori_uno

まとめ2 すいません×松浪→○松波 →『LIFE』にとってほしいなぁ、と思いました。いちばん強い作品ですので。なんだか今回は、『鼻に挟み撃ち』を中心に、5作を相対的に読むことをいつもの回以上に余儀なくされて、なかなか考えてしまいました。 #うの芥川賞

2014-01-14 20:45:32
町屋良平 @cori_uno

まとめ3 今回は読んでない時間に色々考えてしまって、とくに一連のツイートを始めてからは、変な方向に舵取りしてしまったような不安が強かったです。あまりに些細なことで感想が変わってしまいそうな、読書というおかしなことのおかしさを痛感しました。これで(たぶん)終わりです。 #うの芥川賞

2014-01-14 21:06:28