何故イルカは殺すべきでないのか。もしくはどう殺すべきなのか。

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一昨日（http://t.co/xZaP0rOCZT）の続き。知性や感情で生物種に優劣をつける、倫理の配慮対象とするかどうかを決める方法は一応それはそれで論理的正当性があるってのは分かっておくべきだと思うのな。大体「生命は全て等価」な日本人だって、実際は結構知能で優劣つけてるし。

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ただしその時に一番ネックとなるのがまとめのコメントでも挙げられた「知的障害者は？」とか「植物人間は？」という問いであって、どうした所で人間の中に人権を認められない存在が生まれてしまう。

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で、それが問題だってのは確かにその通りなんだけど、こういう動物権利論の大前提が「そもそも人間という種だけを倫理の対象とする事そのものに正当性はあるのか？」という疑問だったんだよな。

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端的に答えだけ言ってしまうと、現在の倫理学の枠組みの中で「人類種だけを特別に倫理の対象として他の動物には配慮しない」という考えに正当性を与えることは出来ないんだよな。極端に言えば、人類種だけを優遇する事と、白人だけを優遇する事にはそこまで大きな隔たりが無いんですよ。

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で、それを動物権利論の実質的な開祖であるピータージンガーは「人種差別」と等価だとして「種差別」として批判した訳。　が、これもまとめで言及されていたようにシンガーは同様の論理で障碍者の人権の制限を肯定してしまっているという問題がある。

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要するにね、「知能を根拠に生命の価値に軽重をつける」のも「生命は全て等価として人類種以外の権利を認めない」のもそれぞれに大きな問題を抱えてて、どちらも正しいとは言えないんだよ。むしろ後者の方が論理的正当性は無いと言って良い。

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さっきから「論理的正当性」という言い回しを多用してるんだけど、論理的に正当である事が直感的な倫理観としばしば衝突するからなんだよね。俺が「論理的正当性」とわざわざ言う場合は「それが直感的な倫理とは衝突はするかもしれないのだけど」という枕詞が入ってると思って貰っていいよ。

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ぶっちゃけた話ね、この問題に対して明確な答えは、おそらく未来永劫得られる事は無い。倫理学の発展と文化背景や宗教観、そして政治的バランスとの兼ね合いで、その時代その時代に応じて何らかの折衷案をとっていくしか無い。

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ただ、「クジラやイルカは頭良いから殺しちゃだめなのー」な意見を我々はしばしば嘲笑的に退けようとするけど、少なくとも論理的正当性という点においては、我々の倫理観も大して違いは無い、むしろ劣っている確率が高い、という事だけは分かっておいた方が良い。

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もちろんだからと言って相手の意見を受け入れるべきか、捕鯨やイルカ漁を辞めるべきかと言ったら、それはまた別の話。