何故イルカは殺すべきでないのか。もしくはどう殺すべきなのか。
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【イルカ漁】ケネディ駐日大使のつぶやきから考えた「人道的な屠殺」という問題 - Togetterまとめ http://t.co/pZLoP0UB6S
2014-01-21 06:49:47一時期「動物の権利」関係の言説にはハマってたので、割とこういう話題にはイロイロ思う所が大きい。ケネディ娘の短絡的な物言いも阿呆臭いが、それに対する条件反射的な言い返しにも稚拙な論が多い。その点ではこれは結構良いまとめかと。http://t.co/pZLoP0UB6S
2014-01-21 06:49:51そもそも人間に対する倫理自体が概ね「感受能力を共有している」事が前提となっている。すなわち、他人が苦しんだり喜んだりしている時、その苦しみや喜びは自分が普段感じる「苦しみ」や「喜び」と概ね同一だろう、という前提。
2014-01-21 06:54:47その前提があるからこそ、「苦しみ」や「喜び」が人類全体に対して概ね一般化可能であるからこそ倫理が成り立つ訳だよね。と、なるとでは動物もまた同じように我々が感じるような「苦しみ」や「喜び」を感じ得るのだとしたら(続)
2014-01-21 06:58:36(続)動物達もまた倫理の対象とすべきでないかのか?というのが(主に西洋で発展した)動物愛護や動物権利論の考え方における基本的な論拠の1つ。この論拠をザックリ分類すると「功利主義的な考え方」と言える(と言い切っちゃうとまたちょっと問題はあるのだけど)。
2014-01-21 07:05:49これは結構面白い話で、要するに動物が権利を持ち得るかどうかって「命の尊さ」とかそういう形而上的概念ではなく、「苦しむ能力」「喜ぶ能力」の有無で決まる事になっちゃうんだよね。
2014-01-21 07:05:56だからゴリゴリ理論派な動物権利論者って実は脳を持たない生物の権利は原則的に無視して良いと考えてるんだよ。勿論一般的な「動物愛護団体」とかの方々はそんな理論的に考えてやってる訳では無いのだけど。
2014-01-21 07:06:00で、この考え方からはそのままストレートに「人間に近い生物に対して権利をより尊重すべし」という結論が得られる。何故なら人間に近い生物の方がより我々と同じような「苦しみ」や「喜び」を感じると予測されるからだ。
2014-01-21 07:09:03正確には「より尊重すべし」と言うよりも、「尊重すべきである確率がより高い」という言い方の方が正しいか。
2014-01-21 07:10:00だからそうした立場に立つのなら「イルカは知能が高いから殺すべきでない」という主張にも実はかなり論理的正当性がある訳。我々はよくそうした主張に対して「命に軽重は無いだろう」と反論するのだが、そもそもが「倫理は『能力』の有無に依存する」という立場なのだから反論にならないのよ。
2014-01-21 07:13:02ただ1つ問題なのは、厄介な事に「人間に近い生物をより尊重すべし」という倫理学に基づく純粋に論理的な帰結が、キリスト教的世界観(これを西洋的と言い換えるべきか否かは知らん)と非常に親和性が高いという点なのよな。
2014-01-21 07:14:39だもんで「イルカは知能が高いから殺すべきでない」「人間に近いから殺すべきでない」という主張があった時に、それが純粋に動物権利の理論に基づくのか、単なる宗教的な感情論に基づくのかが何とも言えない。
2014-01-21 07:16:50んー、と言うよりもむしろ「より人間に近い生物がより尊い」という宗教的世界観に基づく、本来極めて感情的な倫理観に対して、功利主義からくる動物権利論は論理的正当性を与えてくれるという側面があるのよな。
2014-01-21 07:18:31まあシーシェパードはじめ、ほとんどのイルカ漁に批判的な人達はそうした論理的根拠とかは気にせずやいのやいの言ってると思うので、個人レベルでの言い争いの時にまであんまりそこら辺の話は気にしなくても良いとは思うんだけどね。
2014-01-21 07:23:32ただやっぱり、もうちょい広いレベルの話の場合、つまり社会的(国際的)なルール制定の場ではある程度論理に則ってる傾向があって、だからこそ飼うにせよ働かせるにせよ殺すにせよ、概して近年では「動物に対して出来るだけ苦しめないように」という取り決めが形成される傾向にある。
2014-01-21 07:26:12勿論倫理なんて国ごと文化圏ごとに違って当然なんだから、ぶっちゃけ自国内の狩猟方法を他国にとやかく言われたきゃねえよとは思うのだけど、こうした世界の流れは今後も進んでゆくと思うので、「文化だから」「伝統だから」で突っぱねるのがいつまで可能かってのは、まあ難しいだろうと思う。
2014-01-21 07:31:00それこそ奴隷制や人身御供をいまだにやってる地域を「まああそこの伝統文化ですし」と言って近代国家は見過ごして良いのか、という話にもなるしな。
2014-01-21 07:31:54まあそこら辺は互いの譲歩によって成り立つ領域だし、現実的には「ほらこうしてちゃんと出来るだけ即死させるよう努力してますよ」ってアピールしてくべきなんだろうなあ。 実際、国際的に厳しい目で見られてる遠洋捕鯨に関しては殺傷時間の短縮にかなり労力が割かれてたりする。
2014-01-21 07:35:57活け造りに対して「魚に痛覚はありませんから」というエクスキューズも、あながち笑い話じゃないんですよねー。
2014-01-21 07:39:22あ、どうでも良いですけどちなみに私はクジラの刺身大好物です。地元のよく行ってた寿司屋で去年から取り扱わなくなっててファック
2014-01-21 07:47:03後日追加
ただ、イルカやクジラを準人間扱いする理由としてあげる「頭が良い」ってのは、かなりキリスト教的な、というかアブラハムの宗教的な感覚だと思いますね。 神→人間→家畜の純然たるヒエラルキーがあり、その階層の理由として知性がある。家畜は馬鹿で、人間こそが賢く、神は全知っていう。
2014-01-23 01:05:55「人間が全ての生き物の中で特別な存在である理由は知性」こういう世界観、こういう感覚が、薄くとも子供のころから刷り込まれてる人間からしたら、「○○は人間並みに賢い!」みたいなデータがあったときに「じゃあ人間扱いしなきゃ!」っていう感情が強く湧き上がると思うんですよね。
2014-01-23 01:10:45この知性の有無で人間扱いの有無を決めるって感覚は、大航海時代以降に先住民を動物扱いして殺しまくったことや、その後もなんとかして先住民が知的に劣る事を科学的に証明しようと研究したこととも繋がってるんですね。もちろんナチスの優生思想とも。
2014-01-23 01:18:20