【はち恋】公式アフターストーリー企画:第三週目『春日丘胡桃』まとめ
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『はち恋』アフターストーリーとは?
第三週目『春日丘胡桃』アフターストーリー、開始!
「……白井、白ー井ーっ!」 ――ああ……どこか遠くから、名前を呼ばれている気がする。 重いまぶたをゆっくり持ち上げると、至近距離に鬼の形相があった。 「……~ッ!!?」 椅子から転がり落ちそうになるのを、どうにかして踏み止まる。 #はち恋AS
2014-01-20 11:00:25「俺の授業はずいぶんと退屈みたいだな。 もう目は覚めたか? それともこれから廊下でじっくり覚ましてくるか?」 そう言って笑う鬼……いや、先生のこめかみには、実に見事な青筋が浮かんでいた。 #はち恋AS
2014-01-20 13:01:39「あっ、い、いえ……もうバッチリです、ハイ……」 次はないぞと凄まれ、僕が慌てて背筋を伸ばすのを確認してから、先生は教壇に戻っていった。 教室のあちこちから聞こえる、押し殺した笑い声が容赦なく胸に刺さる。 #はち恋AS
2014-01-20 15:02:37昨日は夜遅くに主任からの連絡があり、僕は緊急調査任務にあたっていた。 組織の活動にはだいぶ慣れたけど、夜中となると話は別だ。 結局、ひどい寝不足を抱えたまま今日を迎え……全ての授業が、猛烈な睡魔との戦いと化したのだった。 #はち恋AS
2014-01-20 17:35:03そして、ようやく迎えた昼休み。 「真人くん、昨日はお疲れさま! 大変だったねぇ」 机に突っ伏していると、胡桃が優しく声をかけてきてくれた。 「はは、ありがとう……。情けないなぁ。胡桃はシャキッとしてるのに」 #はち恋AS
2014-01-20 18:32:58同じく夜間任務をしていたはずの胡桃は、さすがに慣れているのか全然平気そうだ。 「えへへ。そうでもないよ~。それよりね、今日は真人くんに見せたい物があるの!」 言うなり、胡桃は後ろ手に持っていたノートを僕の目の前に差し出した。 #はち恋AS
2014-01-20 19:53:47「えっ、何? これ、見てもいいの?」 「ふっふっふ~♪ OKだよ。驚かないでね、真人くん!」 得意げに差し出された一冊のノートを受け取って、ぺらりと表紙をめくる。 そこには……衝撃の、というより、謎の光景が広がっていた。 #はち恋AS
2014-01-21 10:59:25アニメのキャラのような、ずいぶんと派手な衣装を着た……女の子だろうか? 4等身ぐらいにデフォルメされたイラストが、謎の決めポーズを取って微笑んでいる。 少なくとも、僕の知っているキャラではなさそうだ。 #はち恋AS
2014-01-21 13:02:14「えーと、これは……一体?」 丁寧に色まで塗られているけど、どれだけじっくり眺めても、一体何のイラストなのか分からない。 僕が反応に困っていると、胡桃はむう、と頬を膨らませる。 #はち恋AS
2014-01-21 15:11:54「もー、真人くん! コスチュームだよ、コスチューム! これは、任務用のエージェントスーツのデザインスケッチなんだよう!」 ……エージェント……スーツ!? 僕は慌てて再びノートに目を落とした。 #はち恋AS
2014-01-21 17:05:23淡いピンク色のボディスーツに、更に鮮やかなピンク色のジャケット。 ブーツやグローブの装飾は、戦隊もののヒーローを意識しているのか? ……とにかく、守秘の厳しい活動にはとても向いてると思えない服装だ。 #はち恋AS
2014-01-21 19:11:51こんな目立つ格好で監視なんかしてたら、逆に死神に怒られるだろう……。 とまあ、イラストの意図は分かったものの、僕の頭には未だに疑問が残る。 「ど……どうして、これを僕に?」 胡桃は、よくぞ聞いてくれました、と言わんばかりに胸を張った。 #はち恋AS
2014-01-22 11:02:00「今度ね、主任に、このデザインでスーツを作ってくれないか提案しようと思うの~!」 「いっ!!?」 思わず、僕はノートを2度見どころか3度見してしまった。 まさかあのお堅い主任に、このゴキゲンな服を提案だと!? #はち恋AS
2014-01-22 13:09:56「今までも、何度か持っていったことがあるけど、いつも却下されちゃって。 でも、真人くんが一緒に説得してくれたら、主任もきっとOKしてくれるよ~♪」 というか、もう既に何度か主任に見せているのか、コレを……。 #はち恋AS
2014-01-22 15:13:35主任の反応を想像しながら、もう一度イラストを確認してみる。 「うーん……これじゃちょっと、目立ちすぎるんじゃないかな?」 ごく控え目に意見を述べると、胡桃がハッとした顔で僕を見た。 #はち恋AS
2014-01-22 17:00:29「主任にも、同じこと言われたよお……」 「うん、だろうね……」 だいぶ言葉を選んだつもりだったけど……胡桃はしょんぼりとうなだれてしまった。 だけど、こんなコスプレみたいな服で調査活動をするなんてさすがに……ん、コスプレ? #はち恋AS
2014-01-22 19:20:34「そうだ! このアイデア、家庭科部に持っていったらどうかな?」 「ふぇ……? 家庭科部に?」 「もちろん、組織のことはヒミツでさ。鮎川先輩に頼めば、衣装だけなら作ってもらえるよ、きっと!」 #はち恋AS
2014-01-23 11:09:55あれだけ豊富な衣装を作ってるんだし、このスーツも不可能じゃないはずだ。 任務中に着るのはさすがに無理でも、せめて胡桃の夢をカタチにはできる。 とっさのアイデアだったけど、なかなか名案なんじゃないかな? #はち恋AS
2014-01-23 13:01:02「うん……そうだね! 今度お願いしてみよう!」 よかった。僕の提案に、胡桃も元気を取り戻したみたいだ! ……と、思ったのもつかの間。胡桃はあっ、と声を上げると、またすぐに首をひねって考え込んでしまう。 #はち恋AS
2014-01-23 15:17:32「でも、いきなり2着もお願いしたら、鮎川先輩困っちゃうかなあ」 ……ん? 「く、胡桃……今なんて……?」 「真人くん、そのノート、ちゃんと次のページも見てよう~」 言われて、おそるおそる手元のノートのページを1枚めくると……。 #はち恋AS
2014-01-23 16:58:231ページ目の女の子と同じ服を着た……男の子のイラストがあった。 「えへへ。真人くんもおそろいだよ~! ね、カッコいいでしょ?」 まさか僕も着るのか、コレを!! 前言撤回、家庭科部に頼むのは保留! ……と言いたいところだけど。 #はち恋AS
2014-01-23 19:01:20「……ぷっ」 なんだか胡桃の本気っぷりがおかしくて、僕は思わず吹き出してしまった。 「むうー! わたしは真面目に話してるのにい!」 「あはは、ごめんごめん。でも、胡桃のおかげで元気が出たよ」 #はち恋AS
2014-01-24 11:06:24気付けば、さっきまでの眠気や疲れが本当にどこかに吹っ飛んでいた。 「まったくもう! 真人くんてば、笑うことないでしょ~」 そう胡桃がぼやいた瞬間、二人のお腹が同時に、かつ盛大に鳴り響く。 #はち恋AS
2014-01-24 13:01:27