言えない言葉~土方歳三~
綺羅(@kiraboshi219)さんによる薄桜鬼の創作小説第7弾です。
~内容~
「黒と白~斎藤一~」3000view達成につき、感謝の気持ちを込めて、ショート書きました。
忙殺される毎日の中、ほんの一瞬訪れる静かな時間。
続きを読む
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
朝日が静を包み込み、輝きを増しながら昇り始めるまであと少し。 俺はなんとなく部屋を出て、屯所のあちらこちらを見て回る。
2014-01-31 18:51:02
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
人の気配に過剰なまでに敏感な奴だから、 敵の前でもないのに、俺は息も殺してそっと部屋に近づく。 そっと中を覗くと、規則正しい寝息が聞こえてきた。
2014-01-31 18:51:21
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
布団の中の背中は、生意気なガキだった頃とは随分変わり、 広くなった。そして京に来て、ほんの少しの優しさを覚えたようだ。
2014-01-31 18:51:44
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
お前のその強さに、頼りっきりで、申し訳ない。 だが、新選組にはお前が必要だ。 まだまだこれからだぞ。先に逝ったりしたら許さねえからな。
2014-01-31 18:51:57
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
こいつは放っておいても大丈夫。 自分の意見を言わないところが欠点だが、仕事においても、人間性においても、 疑うべきところは何もない。
2014-01-31 18:53:23
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
俺は道場を離れ、奴らがどの部屋にいるのかを探し当てるまでもなく、 漂ってくる酒の匂いに辟易しながら、遠慮なく障子を開けた。
2014-01-31 18:54:07
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
案の定、三人が鼾をかきながら転がっている。 大の字で、いちばん場所をとり、 それに潰されて体を小さくし、 寝姿さえも、二人を全く気にもしていない様子で。
2014-01-31 18:54:21
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
まったく世話の焼ける奴らだ。 だが、こいつらの仲間を想う気持ち、向き合い方、 そんなところは、隊士どもに見習わせたいと思うこともある。
2014-01-31 18:54:49
🐿 綺 羅 🦭
@thrianta_satin
灯りを確かめることができないその部屋を見つめ、 共に色んなものを見て来た時間を想う。 試衛館にいた頃から、頭が上がらない一人だが、俺のことを理解してくれる人でもある。
2014-01-31 18:55:37