言えない言葉~土方歳三~

綺羅(@kiraboshi219)さんによる薄桜鬼の創作小説第7弾です。 ~内容~ 「黒と白~斎藤一~」3000view達成につき、感謝の気持ちを込めて、ショート書きました。 忙殺される毎日の中、ほんの一瞬訪れる静かな時間。 続きを読む
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🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

突き進む俺について来られない者を、 なだめ、説得し、従わせてくれる。 俺たちは自然とそんな役割になっていった。

2014-01-31 18:55:50
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

大将のための右と左。 でも本当は、そんな関係を抜きにしても、俺にとっては大切な兄貴みたいなものだ。

2014-01-31 18:56:03
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

さあ、俺の大将はまだ寝ているだろうか。

2014-01-31 18:56:23
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

俺の全てを預けてもいいと思い続けて、もう何年が経つだろう。 夢を見させてくれる、あんたのことが、俺は昔から大好きなんだ。

2014-01-31 18:56:36
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

あんたが本当に望んでいることなのか、それでいいのかなんて愚問で困らせた時も、 一人ではなく、二人で叶えたい夢があると、 俺を泣かせるようなことを言いやがる。

2014-01-31 18:56:53
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

ふと、風に乗って良い香りを感じた。 台所からだろう。

2014-01-31 18:57:05
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

足を伸ばしてみると、もう米を焚く準備を整え、火を熾している姿があった。 俺を見ると、黒目がちのでっかい瞳をきらきらさせて、 「おはようございます。 あれ?本当に早いですね……?」 と手を止める。

2014-01-31 18:57:21
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

俺は知らず笑顔になる。 どんな境遇でも喰らいついて来るその根性は、 立派な新選組隊士だと言ってやりたいほどだ。

2014-01-31 18:57:37
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

すっかり陽が昇った屯所に、気配と音が溢れ始める。 俺を見て、挨拶をしていく隊士たちが向かう道場には、 待ち構えているあいつがいる。

2014-01-31 18:57:58
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

俺は色んな仲間に支えられて、鬼の副長を続けることができる。

2014-01-31 18:58:11
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

ひとりひとりが、 強さを、勇気を、想いを持ち寄り、 新選組の糧となる。

2014-01-31 18:58:25
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

俺はとても恵まれている。 だからたまには口に出してみてもいい。

2014-01-31 18:58:40
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

俺は朝日の中にそっと呟いた。 「ありがとう____」 (了)

2014-01-31 18:59:08