【第一部-拾弐.五】妹を愛する扶桑の想い #見つめる時雨

扶桑×山城 ※R-15気味
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扶桑視点

とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

部屋の中央には布団が一組。角には畳まれた布団が一組。最初の頃はちゃんと二組敷いていたのだけれど、結局どっちか片方に移動しちゃうから、もう一組だけでいいんじゃないですかって山城が言い出して、最近は一組だけ敷いている。でも、最初からこの状態というのも、やっぱり少し照れちゃうわ…

2014-02-01 00:55:35
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「姉様、そろそろ寝ましょう」 電気を消し、山城が先に布団の中に入る。私はその様子を見ていた。そのうち私が入ってこないことを変に思ったのだろう。山城が私を見上げた。 「姉様?」 山城の真紅の瞳が私を映す。 「あ…ごめんなさい。少しぼーっとしていたわ…」

2014-02-01 01:00:56
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

包布を捲ると、山城の身体が覗く。くっきりした鎖骨が山城の細さを象徴していた。…脚を入れ布団の中に潜り込む。私の脚はすぐに山城の脚に触れた。それはとても細いけれど、確かな柔らかさが感じられた。枕に頭を乗せ、横を向く。山城の熱っぽい瞳が、まっすぐに私を見ていた。

2014-02-01 01:05:25
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

その視線に答えるように、私も山城を見つめる。…不思議ね。何度も視線を交わして、何度も肌を重ねてきたというのに…未だに山城のこの熱を孕んだ視線は私を安らかにさせることはなく、私の鼓動を加速させる。…私は何回貴女に恋をすれば気が済むのかしら…ねぇ、山城?

2014-02-01 01:10:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

一番最初に山城に抱いたものは、罪の意識。帝国海軍の技術の結晶…日本初の超弩級戦艦。世界一の大火力。そしてその先にある輝かしい戦果。それを期待された私に付けられた名前は、この国そのもの。私は国の期待を一心に受け、完成した。…欠陥を晒すその日まで…。

2014-02-01 01:15:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

私が欠陥をもって生まれたせいで、同型艦である貴女も同じ欠陥をもつことが完成前からわかっていた。海に出て試運転をするその瞬間までは期待されていた私とは違う。貴女は完成前から…欠陥戦艦と呼ばれた。貴女は狭いドッグの中で、どんな思いを抱きながら過ごしていたのか…

2014-02-01 01:20:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

山城は扶桑型ではなく、それを改良した山城型とする案もあった。私もその方がいいと思った。このままでは、貴女があまりに可哀想で…。でも、そうはならなかった。理由は定かではないけれど、山城は扶桑型の二番艦としてそのまま建造された。…私の、妹ができた。

2014-02-01 01:25:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

あの頃の私達…艦の魂というものは、進水して初めてお互いに視認できた。山城が進水したあの日…私はどんな顔で会えばいいのかわからなかった。罪悪感に押し潰されそうだった。こんな私と同じ設計になったばっかりに、欠陥を背負わせることになったのだから…。

2014-02-01 01:30:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

でも、初めて山城を見たとき…私そっくりのその姿を見たとき、私は…嬉しかった。私の妹が、そこにいた。何を言えばわからなかったのに…謝ろうとさえ考えていたのに…一番最初に出た言葉は…「ありがとう」だった。生まれてきてくれて、ありがとう…。その気持ちでいっぱいだった…。

2014-02-01 01:35:24
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

山城と初めて会ったあの日…私の中にあった感情は、本当に姉としての感情だったのかしらね。もしかしたら私は、あの時にはもう貴女に恋をしていたのかもしれない。それくらいの強い感情が、私の中に生まれたの…。

2014-02-01 01:40:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

山城、貴女はこんな私を嫌うどころか、心の拠り所にしてくれた。恨まれても仕方の無い私を…慕ってくれた。本当に…本当に嬉しかった…。山城、私は貴女を…愛しているわ…。今までも、これからも…。

2014-02-01 01:45:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…私達はどちらからともなく顔を近づけ、唇を重ねた。そして何度も、啄むようにキスをする。キスを繰り返す毎に、お互いの息が熱くなっていくのを感じていた…。 「姉様…」 「山城…んっ…」 山城が私を引き寄せ、キスをする。山城の舌が私の唇の隙間に入り込み、口内へと入ってきた…

2014-02-01 01:50:36
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「ぁ…ん…っ…んぁ…」 山城の舌が私の口内を蹂躙する。同時に私は、胸に山城の手のひらの感触を感じていた。今日の山城は…いつもより激しい山城。 「んっ…ん…あっ…」 私は山城の背中に手を回し、受け入れる姿勢になった。…こんなにも山城に愛されてる。それが嬉しい…

2014-02-01 01:55:35
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「姉様…扶桑姉様…愛してます…」 唇を離し、その言葉を山城が紡ぐ。ああ、山城、山城…。 「私も…愛してるわ…山城…あっ」 山城の脚が私の脚の付け根を刺激する。同時に何箇所も責められ、危うく意識が飛びそうになる。…もっと、もっと山城を感じていたい…。だから、まだ我慢しないと…

2014-02-01 02:00:33
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

既に帯は解け、着物は肌蹴ていた。山城を、肌に直に感じていた。 「山城…私の…山城…」 貴女の幸せが、私の幸せ。最期の時まで一緒にいられるか、それはわからないけれど…貴女の幸せを、誰よりも願ってるわ…山城…。 山城の愛を全身で感じながら、私は幸の海に沈んでいった……

2014-02-01 02:05:31