丹生谷貴志ツイートまとめ(2014年2月)

丹生谷貴志氏の2014年2月分のツイートをまとめました。
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nibuya @cbfn

ユンガーの『デア・アルバイター』が翻訳されていたんですね。気にして追っていたわけではありませんがちょっとこの本には個人的な引っかかりがあって。確か僕の研究室にはドイツ語版の全集だかがあるはずですが、ドイツ語は苦手中の苦手なんで敬遠し続けのまま。今なら訳本で「別の読み方」が可能か。

2014-02-01 10:35:00
nibuya @cbfn

読めもしないのになんで全集なんか持っているかというと、まあ『デア・アルバイター』を訳すぞと言い続けながら酒没で死んで行った知人の遺品なんですね、これが。彼の親友のはずの連中が、酒没の怨念が染みてるみたいで嫌だといって僕に押しつけて行ったわけです。ベージを切った痕跡も無いんですがね

2014-02-01 10:44:17
nibuya @cbfn

しかし2008年が死後十年って・・・ああ、ユンガーって102歳まで生きたのか。第一次大戦に従軍し、ナチスに誘われつつ拒否し、ヒトラー暗殺計画に間接に加わり、戦後はハイデガーと奇妙なエールを交わし、私かに日本にも来たり・・・まあ、魁偉というのが相応しい人・・・

2014-02-01 10:53:33
nibuya @cbfn

・・・しかし「僕の研究室には」なんて書くと我ながら面映いですね。僕はあそこを『バチスカーフ』と呼んでいますが、要は「物置」状態・・・阪神淡路震災の時に見事に本棚崩壊の散乱になって「記念碑」にそのままにしておこうと思ったんですが、さすがにそれはかなわず、一応は待機用に使ってますが。

2014-02-01 11:01:05
nibuya @cbfn

因に「私かに」と打ったのは誤打ではなくて「ひそかに」と読みます。明治・大正の当て字?でしょうか。 ユンガーは「問題のある人」と見なされていたにしても別に隠れて来日したわけではないから「密かに」は変でしょうから。

2014-02-01 11:09:40
nibuya @cbfn

グラックが『シルトの岸辺』をユンガーの『大理石の断崖の上で』を意識して書いたと言っているのは有名?ですが、フランス語の解説者はそれが気にくわないのか何とか差異を強調しようとしています。丁寧に読んだわけじゃないので説得性はともかく、フランスには未だユンガーに対する気詰まりがあるのか

2014-02-01 11:34:26
nibuya @cbfn

周知のようにユンガーは第二次大戦中、パリにドイツ士官として滞在し、『パリ日記』の翻訳もあります。まあ、フランスにとっては、仮に「反ナチス」的ドイツ士官であったとしても要は「オキュパイド・フランス」の恥辱の思い出なのでしょう、未だ。

2014-02-01 11:46:46
nibuya @cbfn

先日必要に迫られてロシア文学専門家からなる論評会に臨席したのですが僕は無論ロシア文学は素人読者に過ぎないので沈黙して聞く・・・が、まあ固有名を除けば驚くべきことが語られたわけでもなく、ともかく何故か最後にバフチンの名が出ておさまるというのが、話の流れにしてもちょっと驚き。

2014-02-01 12:23:50
nibuya @cbfn

バフチンがあらゆる点で偉大であることは認めるとして僕はそれほど驚嘆したことがないので・・・。それはともかくバフチンの兄ニコライは英国バーミンガムの大学で教えていてウィトゲンシュタインの親友、少なくとも友人だった。イーグルトンの小説『聖人と学者の国』にその交錯が面白く書かれています

2014-02-01 12:32:41
nibuya @cbfn

グラックの『暗鬱な美青年』・・・としか訳せない日本題も何ですが、そのエピグラムはシェイクスピアのソネット94番・・・で訳はどうなっているかと探すと宮沢賢治の「雨ニモマケズ」みたいな訳になっているのを見ると、現代日本語の非力にぐったりしてしまう・・・まあ、じゃあ他に訳しようがあるか

2014-02-02 00:58:00
nibuya @cbfn

まあ訳を考えなければ、ソネット94は僕にはそのまま『マクベス』の裏返し、マクベスの「裏張り」のように見えるので、それに比せるような「裏返しの悲劇性」の調子で・・・なんて、幾らでも理屈は言える。

2014-02-02 01:43:22
nibuya @cbfn

『暗鬱な美青年』の冒頭部分を試訳するという無益な作業で半日を潰す。いつまでたっても柔軟にならないフランス語の読みに苛々して来たのと、グラックの重いロマン派風の文を出来るだけ端正な日本語にすることが自分に出来るかのゲームみたいなもの。無益は当然。

2014-02-02 18:56:08
nibuya @cbfn

翻訳をくさしてばかりなので原文推奨のように思われると困るので僕は外国語がまったく得意ではありません。翻訳において日本語が自身を錬成して行く感じがむしろ大好きですが、要は或る時期から翻訳が「言葉をツールとした内容情報の簡易伝達」の気配を帯び始めたことに違和感を感じるということです。

2014-02-03 00:32:27
nibuya @cbfn

例えば昔創元叢書にあった『名詩名譯』という一冊本の訳詩集があって、その面白さは、現代日本語錬成期の必死の、我を失うまいとして時に自壊して行くエクササイズの「血潮」が如実に読まれることにあるわけです。まあ、だから何だと言われても困りますが。

2014-02-03 14:51:26
nibuya @cbfn

僕はまあ『はっぴいえんど』世代!なんですが、細野さんの曲の歌詞は細野さんなのか、いつも変に不気味な一行がある。「古い茶屋の軒先に/誰かさんとぶら下がる」とか「相合い傘/道行き」とか・・・

2014-02-04 04:20:22
nibuya @cbfn

ボルヘスのハイデガーに対する嫌悪は一種猛烈なもので、しかしそれは哲学として以前に、何よりもハイデガーのドイツ語の「品のなさ」に対するものだった。哲学としては・・・殆ど語るに足らないと思っていた気配がある。大学やらに職を得たいとかいうのならともかく、この断言は首肯すべき見識だろう。

2014-02-04 12:43:34
nibuya @cbfn

「主題・内容」ということなら例えばクローデルの論考『詩学』に「ハイデガー的内容」はほぼ書き込まれているので、そのためにハイデガー『存在と時間』の岩波新訳を待つ必要はないと少なくとも僕はもう、思ってしまいます。因に『詩学』には斎藤磯雄さんの見事な訳があります。

2014-02-04 12:51:45
nibuya @cbfn

誤解ないきように、僕は別にハイデガーの哲学を批判しようとしているのではありません。さしあたりは「文章作品」として見た場合、といった程度の意味です。さしあたりは。

2014-02-04 12:59:27
nibuya @cbfn

ああ、創元の『名詩名譯』とか、別に日夏耿之介さんやら昔の訳の方が「良かった」とか言っているのではありません。要は言語による「アスレチック感」のことを言いたいわけです。あれは「言語錬成アスレチック集」として面白いという程度の意味です。

2014-02-04 13:37:37
nibuya @cbfn

例えば今や新訳の繁盛を見せているプルースト『失われた時』、井上究一郎訳よりその後の新訳群の方が多分明晰で優秀と言っていいのですが、うまく言えませんが「言葉における全身的アスレチック感」において未だ井上先生の訳が僕には一番「いい感じ」なのです。文字通りの意味で「体育的」に・・・

2014-02-04 13:50:41
nibuya @cbfn

どうでもいいことですが僕はセサミストリート世代?で、あのドラキュラが喋る訛りだらけの英語が大好き、あの英語で発音できるなら英語を喋れるようになりたかった。セサミストリートの素晴らしさは訛り英語も完全なる英語として子供番組に位置づけていることで、あの東欧訛りなのか何なのかかっこいい

2014-02-07 04:26:56
nibuya @cbfn

僕自身ハイデガーが凄いと思った事が全くない、のはともかく例えばフーコーがトラック何台分もノートを取ったという伝説は本当だとして、フーコーにとってハイデガーは「診断対象」であったに「過ぎなかった」のではないかと思っています。少なくともそれだけの意味はある哲学者以上でも以下でもなく。

2014-02-07 17:08:01
nibuya @cbfn

別事調べで中村真一郎さんがロボトミー経験者という記述に驚く。今は真偽ははっきりしないらしく、電気ショック療法を受けたという記述が伝聞ゲーム化したんだろうという説の方が有力か。ロボトミーがいくら実験的最新治療として結構頻繁に使われた時期とは言え、中村さんに適用されたとは考えにくい。

2014-02-09 10:29:29
nibuya @cbfn

周知のようにアルトーは明らかに重度精神病だったが殆ど拷問めいたひどい時期の電気ショック療法は施療されているがロボトミーは受けていない。前も書いたがテネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』のモデルになった姉はロボトミーを施された。テネシーは生涯これを悔いた。

2014-02-09 10:36:49
nibuya @cbfn

僕の知人は、説明を聞くとどうもMRIを受けただけなのに本人は「少年時に何か知れない電気仕掛けのロボトミーを受けた」と信じ込み、むしろそれが彼の壮年時まで続く精神的トラウマになってしまい、だいぶ長い間苦しんだ。

2014-02-09 10:47:32
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