のんさんと白象さんの外傷をめぐる対話~歌はどこで生まれるのか

歌は言葉に先行する。それは身体の揺れや心音や血流といった音、リズムが徐々に音程をなしたハミングになる。そんな過程を考えさせられました。
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白象 @elephantcalli

@NON9056 ウィニコットとクラインの違いはいろいろと論じられますが、時間的か空間的かという違いも心をどう捉えるかという理解の違いをもたらすものとして、強調されても良いのかも知れませんね。外傷を象徴化の破綻と捉えるか、時間の静止と捉えるかの違いを生むかも知れないと思いました。

2014-02-07 12:23:58
白象 @elephantcalli

@NON9056 いずれにしてもそこにあるのはある種の死ですが。死の情景であるのか、死の瞬間であるのか、それもまただいぶ違った理解であるように思います。いろいろと刺激されて、あちこち脱線してしまいますが。

2014-02-07 12:25:29
のん @NON9056

@elephantcalliやっと返信できる時間がとれました。外傷の理解については、白象さんのおっしゃる事態理解と本当に近いところを私もみている気がします。ある意味ではコンテインドがコンテイナーとなるべきものを「コンテイナー」にするという面があり、「亡霊となる治療者」とは

2014-02-07 12:39:01
のん @NON9056

@elephantcalliそのことを指し示していると思えます。白象さんは、こころの外傷状況とその断絶に、なお前史とのつながりの痕跡をみているんですね。私の方は、その断絶を白象さん以上に「断絶」として捉えているようです。すると「亡霊」とは、その「前史の痕跡」でもあるのでしょうか。

2014-02-07 12:44:22
のん @NON9056

@elephantcalli勘違いかもしれませんが、白象さんはその状況自体に「主体」をみているんですね。オグデンの「分析状況における第三主体」のような発想でしょうか。私はその外傷を構成する登場人物を分節化して考えています。そこには様々に数々の「主体」の交錯があると。

2014-02-07 12:48:23
のん @NON9056

@elephantcalli白象さんが亡霊コンプレックスを想定しているならば、私は外傷治療における亡霊的対象関係、そこから派生する亡霊的転移関係を想定しているといえそうです。私は誰かが「歌う」必要があると考えますが、白象さんは「歌われる」もの、いわば外傷状況における第三主体

2014-02-07 12:52:54
のん @NON9056

@elephantcalliのようなものよって「歌われる」のだと、そう考えておられるのだろうかと思いました。この場合の治療関係は、その歌が歌われ、治療者と患者(彼らの連続したこころにも、断絶されたこころにも)のあいだに届いて欲しいという「祈り」のようなものになるのでしょうか。

2014-02-07 12:57:12
のん @NON9056

@elephantcalliここはそうなんですよね。指摘して思ったのですが、私が想定する亡霊は「自己のペースでくみこめなかった他者、もしくはes」なのですが、それが患者の自我と切り離されたものなのかどうか、というところで矛盾に陥ってるところがたしかにあります。

2014-02-07 13:01:56
のん @NON9056

@elephantcalli 指摘して、ではなく、指摘されて、の間違いです。

2014-02-07 13:02:22
のん @NON9056

@elephantcalliたしかに、外傷における断絶もまた「断絶という物語」として前史(存在することの連続性の保持によって成立している自我)とのつながりや関わりを有していると考える方が、「患者自身のレジリエンス」という発想をくみこむことができそうな気がしています。

2014-02-07 13:06:52
のん @NON9056

@elephantcalliそれと言い忘れておりましたが、「失われたリビドー」という記述は、たしか「転移の力動性」論文にあったと思います。和訳でそうなっていたか、SEで私がそう訳しただけなのかの記憶が定かでないですが。

2014-02-07 13:12:08
のん @NON9056

響く議論をしてもらえることが嬉しい。これが白象さんの歌なのだろう。ただ、問題は私の方がツイッターの使用法が曖昧であるために、おかしな返信の仕方になっていないかということだ。

2014-02-07 13:16:17
白象 @elephantcalli

@NON9056 こちらこそ刺激的な議論をありがとうございます。そうですね、私は亡霊にその前史を含めて考えているようです。それは1つの主体であるでしょうけど、でもやはり亡霊であり、亡霊は歌えないと言うのはその通りで、のんさんが仰るように様々な主体がそこにあるのだとも思います。

2014-02-07 20:57:12
白象 @elephantcalli

@NON9056 だからそれをコンプレックス(複合体)と名付けてみました。亡霊の居る場所に分け入っていけば、実際には様々な対象と自己がいて、同時にそこにはそれまで連続していた存在することと、実際には今こうして生きている通り連続してきた存在することもまたあると思うのです。

2014-02-07 20:58:57
白象 @elephantcalli

@NON9056 象徴化の破綻という言葉が表すように、けれどもその状況はどの欲動を誰に、どの罪悪感をどこに配分したら良いかがずいぶん渾沌としているのではないかと、攻撃者への同一化と呼ばれる状況のような、断裂の源泉に救いを求める、存在することの混乱があるような気がします。

2014-02-07 21:01:35
白象 @elephantcalli

@NON9056 だからこそ歌う主体はわからないまま、同じ音楽が流れ続けているのではないかと思いました。歌い手のない歌、あるいは物語を剥奪された歌の一節。そのようなものが独立した亡霊であるかのように、主体のようにそこにあるのが外傷性の記憶であり、外傷的状況ではないだろうか、と。

2014-02-07 21:06:51
白象 @elephantcalli

@NON9056 ですので、のんさんが亡霊的対象関係という時にどのような転移を想定されているのだろうと、私たちが亡霊になるとはどのようなことだろうと、ちょっとわくわくするところもあります。そうか私たちは亡霊になれるかも知れないのか、と。

2014-02-07 21:13:40
白象 @elephantcalli

@NON9056 そうですか、転移の力動性ですか。余り記憶に残っていませんが、今度目を通してみたいと思います。リビドーが失われるというのは、フロイトが言うところの自己愛的な退行とも違うのですよね。ご教示、ありがとうございます。

2014-02-07 21:14:53
のん @NON9056

@elephantcalli 確認しましたところ、「失われたリビドー」ではなく、「満たされなかったリビドー」という記述でした。誤読でした。ただ、議論の本筋から外れますが、個人的にはこの箇所は常々面白いなと感じているところでして、

2014-02-08 11:03:54
のん @NON9056

@elephantcalli フロイトにとって、転移によって表されるものとは、これまでリビドー備給されえなかった体験であり、いわばそれは(存在はしつつも)これまで生かされなかった体験であり、生かされなかった過去のようです。

2014-02-08 11:12:48
のん @NON9056

@elephantcalli だからこそ、転移は語りえないもの、つまり「自由連想の停滞」の先に発生する事態である、という言説につながっていくのだろうと。転移は単純に体験してきた、もしくは生きてきた過去の反復ではない、ということなのでしょうね。

2014-02-08 11:18:22
のん @NON9056

@elephantcalli これも私が誤読していたところですが、白象さんのいう外傷は「終わりのない歌」が流れているのでしたね。私は何も歌われない事態を外傷にみていました。白象さんはβ要素にも歌をみていた(聞いていた)のですね。おそらく「象徴性の破綻」をどう捉えるかの差異ですね。

2014-02-08 14:31:58
のん @NON9056

@elephantcalli 攻撃者との同一化という事態は私も関心をもってきました。フェレンツィにとって、外傷は「死」や「非存在」を意味し、そこに死の欲動との絡まりをみていますが、さらに彼は死の欲動に子どもの中の「家族から望まれない客」としての生をみています 。

2014-02-08 14:43:45
のん @NON9056

@elephantcalli すると、攻撃者との同一化とは単に自身の受けた傷の反復行為を意味するのではなく、それがたとえ苦痛を伴うものであっても、なお家族(対象)とのつながりを維持し、(客ではなく)その家族文化の参加者になろうとする、子ども側のひとつの試みとして理解できそうです。

2014-02-08 14:53:45
のん @NON9056

@elephantcalli 「断裂の源泉に救いを求める」は、このあたりのニュアンスを含むのだろうと受けとりました。最後に亡霊的転移ですが、結局、白象さんがいうように、そのスタートは「外傷の前で私たちは無力である」という現実を私たちがどう生きるかということのように思います。

2014-02-08 15:01:59