- brotherasazuke
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山が目の前にずーんと迫っているようなところは、さっき言った「扇央」とかに相当するので、水が手に入りにくくて古い町はできないわ。現代では流石に住めるけれど、そういう場所は近代になって開発されたところなのね。
2010-10-25 23:13:11じゃあ「扇頂」と「扇央」が何にも使えない、無駄な土地だったかというと…そうでもないわ。 扇頂の部分は農業はできないにせよ、一応は川の流れで「開けている」わけだから、山越えの峠町として、無理やりにでも人が住むことはあったわ。
2010-10-25 23:15:14そして「扇央」。斜面ですぐ水が流れてしまう上に、土壌的にも水を逃がしやすい構造のこのエリアでは、稲が育ちにくいの。 当然よね、水田なんて年がら年中水で一杯にしておかなきゃいけないんだもの。 そこでその代わりに、「果樹栽培」が行われるわ。
2010-10-25 23:16:47さて、実際の扇状地の例として挙げられやすいのが、山梨の「甲府盆地」と、山形の「山形盆地」ね。 両方ともブドウとサクランボで有名だけれど、これは「扇央」であるがゆえのことなのよ。 果物というのは、あまりにも水分たっぷんたっぷんで育てると、吸えるだけ水を吸って…その分糖度が落ちるの。
2010-10-25 23:18:41質の悪い果物は、甘みがなくて水っぽい。こういうのは、水の多い所で育ったもの…雨の多い日本列島じゃあ、それも無理のないことなのだけどね。そんな中、こうした「扇央」という場所では、日本では珍しく「水が少ない」ので、本来なら水を蓄えるはずだった分にたっぷり糖分を溜め込んで、甘くなるの。
2010-10-25 23:20:23そんなわけで、山肌には果樹園、麓の盆地には水田と集落、というのが日本の原風景なのだけど、最近では水道整備が進んだから、水の少ないエリアでも普通に住めるわ。
2010-10-25 23:22:44@Minoriko_A_Key 元々は住みにくい土地だったのが、やっと住めるようになったので、宅地になってきたわけですね
2010-10-25 23:25:48@brotherasazuke そう。見た目にはだんだん「田舎のほうに住宅地が広がっていく」現象ね。付随してドーナツ化現象も起きたりするのだけれど、それは章を改めるとするわ。
2010-10-25 23:29:35扇状地が終わると――それはつまり、山から完全に平らな場所に出てくると、あとは海まで川は蛇行しながら進むわ。斜面なら真っ直ぐ降りてくるけれど、傾斜がないと川の流れは大雨や日照りで容易に変わってしまう。様々なルートで川が流れた結果、「一度でも川が通ったあとはベットベトの湿地」になる。
2010-10-25 23:25:37べとべとぐちゃぐちゃの湿地、というと何かイヤなイメージがあるかもしれないけど、水田でコメを作るにあたっては非常に有益なものだわ。こういう水の多いが海に出るまで延々続いてくれるおかげで、日本人は毎日のようにおコメが食べられるわけね。
2010-10-25 23:28:56最後に海に流れ込むにあたって、川幅がぐぐっと広くなり、その結果流れが遅くなって「三角州」が形成されるわ。いわゆる三角形の中洲ね。ここも同じように水田にはもってこいよ。現代日本では東京にせよ大阪にせよ、こういうところに大都市が出来やすいからあまり実感できないけど。
2010-10-25 23:31:27さて、「日本では」こういう平野しかないのだけれど、広く世界に目を転じれば、こうでない平野もあるわ。「構造平野」、英語の Structural plain をそのまま訳したもので、アメリカとかカナダとかロシアなんかの、いわゆる「大平原」というのがこれにあたるわ。
2010-10-25 23:33:34こっちは「元からあった巨大な山脈を、何千万年もかけて風と雨が削っていった」ものよ。 たかだか川一本のパワーで削っていく日本の平野とは対照的に、圧倒的に広いわ。日本の面積より広かったりする。
2010-10-25 23:35:13勿論、風が1000万年吹き続けた程度では削れない、やたらめったらカタい地面もあるけれど…そういうのはタワーみたいにそびえ立って残るわね。西部劇なんかでおなじみのこういう地形を、スペイン語で「テーブル」を意味する「メサ」というわ。 http://p.twipple.jp/GBXED
2010-10-25 23:37:49スペイン語なのは、こういう地形がテキサスとかニューメキシコとかの、旧スペイン領で見られたから、ね。今もあの辺りからカリフォルニアにかけてはスペイン語の地名が多いわ…ロサンゼルスとか、サンディエゴとか、ね。
2010-10-25 23:39:55