無名の大罪大戦:失陣営第二交流フェイズ

Twitter創作企画『無名の大罪大戦』第二交流フェイズのログ
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勇気fortitude @fortitude_nonam

形が定まらないまま、靄のように漂う。記憶と経験のすべてを奪われた俺は、この『何も無い領域』で、俺自身の形を定義できないまま、ただ、『外』を眺めている。そうしなければいけないという、想いだけが残っていた。

2014-02-15 20:24:20
勇気fortitude @fortitude_nonam

形も定まらないまま、《誠実》がたった一人帰り着いた様子を、ただ、眺めている。薪の燃える音をただ聞いている。 記憶を持たない俺は、この領域では、心も、言葉も持たない。ただ、最後まで見届けなければと、その想いしかない。

2014-02-15 23:39:22
『分別(Prudence)』 @noname_prudence

「【その身を 此岸に 顕せ】」 何もない空間に、響く炸裂音。男が唇を動かす度に轟く衝撃は、ノイズの様にその言葉をかき消している。 ──外部への不干渉。 如何に悪しき罪科も、如何に尊き奇跡も、この地でそれが現れる事はない。 「……やはり効かんか」 《勇気》の在るべき虚空へ、呟く。

2014-02-16 08:18:51
勇気fortitude @fortitude_nonam

ぼんやりと存在だけが漂っていた俺に、《分別》の記憶によって形が与えられる。いつもと変わらぬ姿。負傷もなければ、ピアスの数も狭間へ征く前と同じ。 「わっ、びっくりした。いつもいつも、『ドアから来ないのはあなただけだよ、プルーデンス』。」 話す言葉も、前と同じ。

2014-02-16 08:36:11
嫉妬 @noname_envy

音が、遠くに、聞こえた、気がして。目を開いた、はず。 しかしそれらの感覚は朧。開いた目に映りこむ景色はあるけれど、でも。 (……………………、) 思考も幽か。

2014-02-16 08:56:35
嫉妬 @noname_envy

とらえたはずの景色、そこにあるひとつひとつを判別しようにも、それが何かを自分の記憶と照らし合わせて名称をつけようと、言葉の形を作ろうとすれば、作った先から解けるように溶けるように霞み消える。新しく記憶することが上手くできないのか。意味のない写真を見ているよう。

2014-02-16 08:58:35
嫉妬 @noname_envy

そこに何があるのか、それすらわからなくなりそうだ。…そう例えようとする思考さえも立ち消えていく。 それでも、それでも。 遠い、遥か、彼方。彼方に等しいようなところで。 声が、聞こえたと。

2014-02-16 09:08:01
嫉妬 @noname_envy

だから、考える先から消え続ける思考より、心より、思うより想うより深いところ、自分に刻まれた一番最初のところで、想う。思う思わずに想う想わずに関わらず求め続け大罪に至ったこの『渇望』のままに、思えば、想えば、きっと、…届かずとも。 感覚は曖昧。

2014-02-16 09:09:20
嫉妬 @noname_envy

自分が思うことも想うことも必死になっていることも目を開いたことも口を開こうとすることも全て意識の中で外。動かそうとした瞬間に、動かす意義を見失う。組み立てた思考も、組み立て始めたところから全て、曖昧に。 それでも。 発した声も自分のものかわからなくなる。自分が発したのかすらも。

2014-02-16 09:13:05
嫉妬 @noname_envy

そもそも、発した声を吟味しようとする思考も、曖昧な中に全て消えていく。けれど。 オステンテイション、 グリード、 虚、 メランコリア、 言葉は聞き取れなかったけれど、聞こえた声は四つだったから。とらえた影もきっと四つ。だからひとまず、四人の名前だけ呼んで。

2014-02-16 09:14:43
嫉妬 @noname_envy

きっとかたちにできたはずだ、なんて思考をする前に、発したことすら曖昧になる。だけど無事に発せたのかと不安がろうにも、そもそも発そうとしたことが消えている。 …皆そこにいるのか。…帰れなかったのは自分だけだろうか。…声が足りない。…嘘だ、そんなことない。…絶対だと言ったのに。

2014-02-16 09:15:49
嫉妬 @noname_envy

…帰れなかった。…約束が守れなかった。…楽しいことをしようと約束したのに。…その約束も、守れなくなった。 …ごめんなさい。 定かでなくなりながらも、言葉が声が解けようとも、それでも思い想い、――望み続ける。そうだ自分はまず望むところから始まったのだ。

2014-02-16 09:18:22
嫉妬 @noname_envy

嫉妬として大罪の末席に並んだときに。一番初めに、立ち返るように。思うよりも想うよりも深く望む。望む。ただ望む。確固とした何かを望むわけではない。望むものに区別はない。形の有る無しも関係ない。ただひたすらに、望む。――望み続けなければ、きっと、望むことすらできなくなると。

2014-02-16 09:19:15
嫉妬 @noname_envy

だから、望む。 …だってもうきっと自分には、帰れなかった自分には、そのくらいしか残されていないから。

2014-02-16 09:21:12
大罪大戦コピペbot @7thsin_cpp

意識が揺蕩う。ゆらり、ゆらりと、微睡みのような其れは中々意識を覚醒させない。 「――みなさま」 果たして、口から零れたのは己の声であっただろうか。はっきりとした形を持てない、記憶のような何かは、ゆらゆらりと。 「ごめん、なさい」 口をついて落ちた謝罪は、響く事なく。

2014-02-16 12:42:02
大罪大戦コピペbot @7thsin_cpp

「帰ってお片付けをと、そう、言っていましたのに」 駄目ですわね、わたくし。――そう、静かに“音”は落ちる。 広間に在る彼女の声が酷く遠く、雑音混じりに聞こえた。 “座”が無いからだろうか。形が無いからだろうか。 ただただ申し訳なさそうに、“ごめんなさい”、とまた、音が落ちた。

2014-02-16 12:43:00
勇気fortitude @fortitude_nonam

《慈愛》の謝罪の言葉が、水面に落ちたように、彼女の記憶にさざ波をたてる。 「謝るくらいなら、最初からしなけりゃいいんだよ。」 俺はいつか、そんな風に言った。 「非を認めることは大切だよ。でも、何のための謝罪なのかな。俺は、やり直すためだと思ってる。」

2014-02-16 12:55:53
勇気fortitude @fortitude_nonam

「そうじゃないのに、後悔を抱えて謝り続けるのは、それは、罪だ。  ねえ、あなたは自分の行いを、そんなに深く悔いているの? それならなぜ、そうしてしまったの?」

2014-02-16 12:56:03
『分別(Prudence)』 @noname_prudence

「だから言っているだろう《勇気》、私は人の目を……」 『いつものように』返しかけて、感じた違和感に言葉が止まった。 何だ。一体私は、何に違和感を覚えた。彼が驚き、私が弁明する。それはいつもの『私の』風景で── 「……私は、鏡と話している覚えはないぞ」 思い至る答に、溜息を吐く。

2014-02-16 13:07:48
『分別(Prudence)』 @noname_prudence

「《虚飾(オステンティション)》……あぁ知っているよ、その名を」 聞こえてきた囁き声。その音の羅列に男は言葉を返す。周囲には何もいない。けれども、確かに在る。 「聞かせたまえ、《虚飾》に連なる者よ。あの者について知る事をだ」 それは男の『渇望』。同一の概念に惹かれるならあるいは。

2014-02-16 13:15:48
『分別(Prudence)』 @noname_prudence

「君が謝るというのなら、レディ」 聞こえる声、揺らぐ姿。語られる謝罪の言葉に、勇気の言葉に、一拍置いて続けられる男の声。 「私も、君に詫びねばなるまい。すまない」 懐から取り出した帯が、男の手の内で揺れる。彼女の髪によく似た淡い色。それは帰る場所。果たされる事なく閉じた、約束。

2014-02-16 13:24:34
勇気fortitude @fortitude_nonam

「そう言われても、困ったな。」 まったくの鏡写しというわけでもないのか、少し珍しい態度を見せる。いつものように、穏やかな自信に満ちた様子でなく、頼りなく肩を落とす。 「俺はここにはいないんだ。あなたのお陰で形は得たけど、俺は、俺自身が何なのかも知らない。あなたのこともね。」

2014-02-16 13:24:58
嫉妬 @noname_envy

声が、彼方ではないどこかから。…誰のものかもわからないその声。 (……………………、) 望み続けながら、僅かに聞こえた声の言葉を一部、とり逃しながらも応じるように虚飾を思う。…今の自分は『渇望』の根、ただ望むそれだけのもの。しかし、方向が与えられるのなら、それを思うのは容易い。

2014-02-16 14:31:35
嫉妬 @noname_envy

…新たに記憶することが難しくても、過去を思い返すことは造作もない。 オステンテイションは、 浮かぶのは。真っ白で綺麗な髪とか、微笑み細められる赤い目とか、優しげな声とか、何かに触れるときだとかに伸ばされた指のうつくしさとか。 きれいで、やさしくて、 言葉は朧に紡がれる。

2014-02-16 14:32:24
嫉妬 @noname_envy

幽かすぎて響いたかすら怪しい。それでも、発したことすら意識から消えていく中で。 …手を、 手を、繋ぎたかった。 もう叶うことはないそれを望んで、再び、ただただ望むだけになる。

2014-02-16 14:38:45