お玉さんのほぼ日刊御手洗潔レビュー(4)
- taiga_tanaka
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さて、ほぼ日刊御手洗潔レビューその16『水晶のピラミッド』ですわよ( ´ ▽ ` )ノ 1991年9月発売。 ちなみにお玉さん、ここらあたりからリアルタイムで読んでいるのですよ。そう! これは発売間もない頃に買っているのです! あの人が殺せそうなほどブ厚いハードカバーを♫
2014-02-22 00:49:00『水晶のピラミッド』は、皆様ご存知の通り、評価がものすごく難しい作品なんスよね(>人<;) ネタバレ無しでコレを語れる人間はいるのだろうか? いや、いない! 断じて、いない! ……というわけで、やっぱり此処から先は未読の方はスルーでよろよろ〜( ´ ▽ ` )ノ
2014-02-22 00:49:27『水晶のピラミッド』 はい、この作品には、何と、ドンデン返しがあります。 ものすごく大掛かりで魅力的なトンデモ密室トリック( ´ ▽ ` )ノ ↓ 史上最低クラスのしょぼいトンデモ密室トリックΣ(゚д゚lll) そんなドンデン返しでございますよ。
2014-02-22 00:49:53作品は序盤「古代エジプトでのボーイ・ミーツ・ガール」「タイタニックの沈没」のお話が延々と続き →レオナ出演の映画、「アイーダ87」撮影中に起こった珍妙な事件 →御手洗潔の出馬。からのエジプトへの寄り道。からの電光石火の解決 →真の解決(しょぼい)へと
2014-02-22 00:50:42序盤の古代エジプトとタイタニックに関しては、「偽の解決」を読者にスンナリ落とし込むための装置(手段と動機)の役割を果たす。 また、ドンデン返し後の世界観において二つのエピソードは、事件の背後に、これまた神の啓示の如く横たわっている「都市と文明論」へのアプローチ手段となっている
2014-02-22 00:51:18また二つのエピソード後の、「アイーダ」という題材、ハリウッドという舞台、御手洗潔のエジプトでの薀蓄。 ここらがあの偽の解決、大掛かりでファンタジックで神秘的なあの密室トリックを、より鮮やかに、より印象的に、よりスンナリ受け入れるための付強材料となっている。
2014-02-22 00:51:59この作品のほとんど全てが、偽の解決を効果的に見せるために奉仕しているのだ。 あのトリックはファンタジーの産物である。現代のハリウッドという舞台に相応しい事件構図を伴っている。映画的な事件でもある。だから、過去の物語から因縁や意味を拾い出すことができる。
2014-02-22 00:53:51ただ、そのファンタジーな事件を彩る要素の一つだと思わせられる、事件現場に現れる怪物。 その怪物が誕生した原因が、神秘的に(読者が)思わせられた事件、と、ドンデン返しの後にある現実的な真相、この二つの事件の捻れになっている。
2014-02-22 00:56:03怪物は古代エジプトのエピソードで冥府の使者と定義された。人や文明を死に誘う。タイタニック、文明の繁栄の暗喩である、が沈むときにも姿を現した。 だが、現代での怪物は、文明の発展の際の軋轢が産んだ徒花だった。死を誘う存在ではなく、それが死を象徴するものという、そんな捻れ。
2014-02-22 00:56:35事件の性質も捻れだ。 また犯人に目を向けると、 ファンタジックな密室事件で想定された犯人の属性は、ハッキリ言って、……しょぼい(タイタニックを背景にした動機を背負わせても、事件のスケールに対してはしょぼいのだ) 比較して、しょぼいトリックを行った犯人の何たるスケールの大きさ!
2014-02-22 00:57:45怪物を誕生させてしまった業、それすらも内包してしまう巨人の如きの犯人だ。犯罪を企んだ動機が、人の世界のそれであるのも捻れの一種である。 彼が人の世界に降りてきたのに、あの事柄に正当性を語ったので、御手洗潔が真相を明かすことになった、という構成にグッとくる。
2014-02-22 01:00:15……とこんなところが多分、島田荘司の意図だったのだろう。 が、ここらへん、ことごとく「成功していない」のよね(>人<;) そりゃそうだ、あの白いハードカバーを買ったお客さんは、ビックリ犯罪と御手洗潔の活躍を期待してるんだもの。 『水晶のピラミッド』小難しいんだよ〜
2014-02-22 01:01:33『水晶のピラミッド』はね、もう笠井潔的な何かだと思ったほうがいいよ。 いや、以前の作品でも無茶な社会論を作品の中で展開、アジテートしていたけど「ミステリであるということ」、その本質はしっかり守っていたわけやないですか?
2014-02-22 01:03:50けど『水晶のピラミッド』は、偽の解決のための手がかりや薀蓄をバンバン挿入し、それが、な〜んとなくは収束したのに、 ドーン 全部ひっくり返すわけやん。いやいや文明論に注視すればエピソードに意味が込められてるけど、本格ミステリ要素だけを見たら、それまでの600ページ、全部ポイやん
2014-02-22 01:06:02その後にやって来るのが、まぁ〜古典的なトリックと、どんなキック力やね〜ん級の超絶脱力トリックの組み合わせだもんなぁ〜。 文明論をやりたいのだったら、それこそ笠井潔並みに徹底しなくちゃなんだよな。無駄にサービス過剰なのが、その論を濁らせてるし、ミステリとしても残念な結果に……
2014-02-22 01:12:52ちなみに『水晶のピラミッド』の文庫本の解説もアチャ〜である。何だ、こりゃ。 やっぱり、ピラミッドという題材がアレなんだよね。文明の繁栄を想起させるモノより、先にミステリーやオカルトが頭に浮かんじゃうもんね。御手洗潔の言説でもそのイメージは崩し難いもんなぁ〜
2014-02-22 01:13:43あっ、『水晶のピラミッド』のレオナは好きですよ。 何か世界でがんばっている日本人って感じで、素直に応援したくなるし、御手洗潔に揺れる乙女心もイイね。(ただしラストだけはダメだ。あの詩……、あれはいけない(>人<;))
2014-02-22 01:14:59ちなみに、水晶のピラミッドを建造した大富豪。もしアレが目的だとしたら、えーと、……こいつ、アホちゃうかΣ(゚д゚lll)
2014-02-22 01:15:40さて、ほぼ日刊御手洗潔レビューその17『眩暈』の番がやってきたぜ! 1992年9月発売。 これは発売一週間以内くらいで買ったなぁ〜。ハードカバーの装丁が超カッチョよかったんだよねぇ……。 えっ、内容? ……(>人<;)
2014-02-25 00:20:07『眩暈』は難解だよ。 前の長編二作とは違って、作品の眺めを見通すための中心軸が皆無であること、や、内容を容易に解釈するための何らかの補助線を引くことができないんよね。 正直言ってコレ、何がやりたかったんだろう? はい、あまり好きじゃないんですよね。ディスるよ〜♫
2014-02-25 00:21:04まず、僕らはその後の御手洗潔シリーズの流れを体験しているので、『眩暈』での挑戦が11年後『ネジ式ザゼツキー』で花開くことをすでに知ってるが、リアルタイムでの92年の読書時にはかなり戸惑ったのよ。 プレネジ式〜という評価を抜くと、今年の再読においても印象はそれほど変わらなかったわ。
2014-02-25 00:21:59松崎レオナというキャラクターを配置することで、シリーズ物としての加速感を感じさせた『暗闇坂の人喰い木』と『水晶のピラミッド』 しかし、続く『眩暈』では、その潮流は一旦堰き止められるわけなの。 『眩暈』で御手洗潔が挑むのは、謎の芸能人一家の謎。 うーん、うーん(>人<;)
2014-02-25 00:22:35謎の芸能人の謎としては、 ①奇妙な手記 ②秘密マンションの秘密 の二段構えだが、①と②の謎の有機的な絡みを考えると、かなりのブッタ切り感を感じるのである。混じり合っていない。①で起きた事柄が②に確かに影響を与えてるはずなのだが、それらを結びつける力技が稀薄すぎるのだ。
2014-02-25 00:23:14完全にネタバレの領域だが、作中内でのプライベートジェットが万能アイテムすぎるわΣ(゚д゚lll) 実際はいろいろ障害があるはずなのに、そこらへんの言及や説明が全くの皆無で、プライベートという属性のみが突出している。 いやいや、あの計画は無理だろ。
2014-02-25 00:25:50