京大・西山先生の「初修外国語を学ぶこと」

京都大学・西山先生の「初修外国語を学ぶこと」連続ツイートをまとめました。
19
西山教行 @jnnNishiyama

最初はどのように教えていいかわからなかったので,自分が習ったように教えていました。ところが,あまり習ったように教えることは実は一番よくないやり方だということに後で気がついたのです。というのも私が当時に習った先生は,さらに自分が習った時のように教えていたからなのです。

2014-02-25 15:09:30
西山教行 @jnnNishiyama

ということは私が教えていたやり方というのはおそらく戦前のやり方とあまり変わらないやり方だったことになり,最新の知見が反映されていないのです。

2014-02-25 15:09:32
西山教行 @jnnNishiyama

日本ではこれまでのフランスとの交流の中から,フランス語はフランスの言葉だというイメージが非常に強いのですが、世界の中で見るとこれは必ずしも一般的ではありません。むしろフランス語は,フランス以外のところで使わることが多いのです。

2014-02-25 15:11:35
西山教行 @jnnNishiyama

そして各国にはフランス語の様々なバリエーションがあって、フランスのフランス語だけが一番立派で正しいとは言えなくなっているのです。

2014-02-25 15:11:37
西山教行 @jnnNishiyama

アルジェリア人の中には,フランス語を戦利品であると称する人もいます。また,別のアフリカ人は,フランス語を植民地という廃墟の中から舞い上がったフェニックス(不死鳥)だと言っている人もいます。

2014-02-25 15:12:19
西山教行 @jnnNishiyama

いずれにしても支配者の言葉を使わざるを得ないということは、人間にとって非常に複雑な感情を招くものだと思います。

2014-02-25 15:12:21
西山教行 @jnnNishiyama

フランス人以外の人間がフランス語を使う時には,歴史の重みがそこに隠されているのだと思っています。 

2014-02-25 15:12:31
西山教行 @jnnNishiyama

人文科学や社会科学の一部、要するに数学を必ずしも基盤としない研究や、あるいはその学問が英語圏以外のところで生まれた学問を考えるとき、言語の違いがものの考える方に深く結びついていることがわかります。

2014-02-25 15:13:50
西山教行 @jnnNishiyama

ところが他の学問は、学問の創られた土地によって,何を問題とし,何を問題としないのか、これらの問題意識そのものもかなり変わってきます。

2014-02-25 15:14:15
西山教行 @jnnNishiyama

英語の世界、アングロサクソンの世界は、効率的な物事の見方に関心を寄せます。ところが,このことは他の言語や文化と比べて見なければ、アングロサクソンがいかに功利主義に傾斜しているのかよく分からないのです。

2014-02-25 15:14:40
西山教行 @jnnNishiyama

アングロサクソンの世界だけ見てれば、功利主義の所在もよく見えてこないのだと思います。

2014-02-25 15:14:42
西山教行 @jnnNishiyama

違う言語を学ぶことによって,英語がどれほど特殊であるかがよくわかると思います。

2014-02-25 15:15:03
西山教行 @jnnNishiyama

なぜ英語以外の言語を学ぶのでしょうか。英語以外の言語を勉強すると,英語の特質がよく分かります。これと同時に、他の言語は,英語とどれほど異なる論理にしたがって物事を考えているのかがよくわかると思います。

2014-02-25 15:15:26
西山教行 @jnnNishiyama

初修外国語学ぶことのもう一つの大切な意義は学びの学びに関係しています。

2014-02-25 15:16:34
西山教行 @jnnNishiyama

初修外国語を学ぶことは,単に文法の知識を学ぶことだけではなく、何かを学ぶ手法,学びを学ぶということと関係があります。

2014-02-25 15:16:45
西山教行 @jnnNishiyama

単に人から受験勉強として課題を与えられて,そこに到達することだけではなく,自分で目標を設定し、自分で勉強のリズムを身につける。そして,勉強の仕方を考えること,自分にあった勉強の仕方を学ぶこと。私はこれを外国語の学習を通じて学んでもらいたいと思います。

2014-02-25 15:17:12
西山教行 @jnnNishiyama

初修外国語を学ぶ意味とは,言葉を学ぶ、あるいはその他のなにか新しいことを学ぶことはどのようなことなのか,これを学ぶことも、つまり学びの学びもまた,外国語学習の重要なポイントだと思うんですよね。

2014-02-25 15:17:28
西山教行 @jnnNishiyama

自律学習とは,単に教師からならうのではなく,自分一人で進める独習という意味でもありません。自分で目標を立てて,自分でどのような教材を選んで,自分でカリキュラムを作って,自分で評価を行う学習です。自分の力で,自分に合った勉強の仕方を開発するのです。

2014-02-25 15:17:58
西山教行 @jnnNishiyama

西アフリカに日本のODAは多く投入されています。ところが,西アフリカはフランス語の地域が中心です。JICAではどちらかといえばフランス語のできる人達が少ないので、英語圏が中心の東アフリカに日本の援助が偏りがちになるようです。

2014-02-25 15:20:07
西山教行 @jnnNishiyama

ですので理系の学生で開発援助などに関心があるのならば、大学でフランス語などの初修外国語の基礎をしっかりと勉強することは実用にもつながることだと思います。

2014-02-25 15:20:09