“東京”を脱出してみたよ！（2006）

松永洋介／ならまち通信社 @narapress

そうなって、やっと奈良への引っ越しに同意してくれた。準備を進めているうちに、母親は肺炎にかかり、入院したと思ったら、間もなく亡くなってしまった。入所から一年半ちょっと。坂を転がり落ちるようだった。実家でお葬式をあげた。http://t.co/Bv6cikbv

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それから準備のやり直しをして、夏には父を奈良に呼んだ。びっくりしたのは、奈良の介護関係の充実ぶり。接した範囲では、みんな親切で、モチベーションが高く、融通が利く。さっさとこっちに来てれば、母親も死なずに済んだだろう。

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奈良市旧市街は何かと便利。大阪・京都・神戸へのアクセスも良好。生活も、文化的にも大充実。仕事も順調。親の介護も、とてもうまくいっている。引っ越しは大正解だった。

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奈良はすてきな場所だが、引っ越すとき、「電気は原発比率日本最大の関西電力と契約せざるを得ないからイヤだな」とは思った。原発の電気はイヤ。原発反対。

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2003年3月、奈良漆器の樽井禧酔師匠にお目にかかったのが奈良移住のきっかけだった。あれからちょうど10年か。奈良にアパートを借りたのが2004年の暮れ。2006年7月、相模大野の家を引き払って全面移住した。

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親を千葉から奈良に呼んだのが2008年7月。介護はそれなりに大変だけど、近くで見られるのはなにより。それに、千葉に置いといたら、震災時の混乱には対処できなかったかもしれない。呼んでおいてほんとうによかった。

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奈良移住のきっかけは樽井師匠だけど、首都圏転出の理由はその前にあった。首都直下地震が来たら、東京を横断して親を助けに行くのはまず不可能。そろそろ介護も視野に入っていたが、同居して面倒を見ていくには、千葉も相模大野も条件が合わなかった。第三の場所として選んだのが奈良だった。

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関西の楽しいのは、街によって特色の違いが大きいこと。首都圏はよくも悪くも画一的な街が広がっている。関西では、電車に30分乗ったら、ぜんぜん違う街へ行ける。

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うちが相模大野から奈良に引っ越した理由は複合的。否定的には、首都直下地震の都市災害の危険・厚木基地の騒音・親の介護に千葉も相模大野も選べず、等。肯定的には、奈良は楽しくて便利で介護も楽・関西各都市の多様性の魅力・丸亀の実家に近くなる、等。ともかく、引っ越して、まったく正解だった。

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うちが引っ越したのは東電の原発事故の5年前。その前に奈良にアパートを借りて、住みながら完全移住を決断した。いまの家も、住みながらじっくり探した。原発事故でエイヤで引っ越した人たちの行動力は、すごいと思う。

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相模大野に住んでたとき、寮美千子が、編集者とも絵描きさんとも一度も顔を合わせないで絵本をつくったことがあった。メールやFAXは距離に関係なくすぐ届く。色校とかも、クロネコで翌日到着なので、相模大野も奈良も距離的には等価。

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インターネットとクロネコ（代表的にはアマゾン）の発達で、便利さにおいて「東京郊外」と「地方都市」との差は、かなり小さくなっている。自分が移住後の生活に適応できるかどうかが不安で迷ってる人は、一度アパートでも借りて、しばらく別荘として使ってみたらいいと思う。

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本日発売！　元町夏央『東京を脱出してみたよ！脱出編』（小学館）http://t.co/dnp4buYXU0 コミックスを書店で買ったのは超ひさびさ。オンラインの書影にはない帯が強烈。 http://t.co/Hnjdqv1lKo

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