忍殺二次創作「メリー・クリスマス・○○○○○」
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ドリームキャッチャーです」不気味な男のニンジャがオジギをする。ニンジャスレイヤーはそれに応える。「ドーモ、ドリームキャッチャー=サン。ニンジャスレイヤーです」 1
2014-03-03 00:48:23キョート城はオヒガンへと消滅したが、ザイバツ全てが地上から消え去ったわけではない。司令塔が消え、テンカンホーの効果も去った今、組織だった行動が行える者など居まいとフジキドは考えていた。だが……はぐれ物は何処にでも居るものだ。 2
2014-03-03 00:49:30「オヌシもオヒガンへと送ってくれる。あの城の様にな」「オヒガンへと送られるのは何方かな?」そう言うや否や、謎のムーヴを行うドリームキャッチャー。踊りの様な動きをする老人……いや、男、或いは少年。ドリームキャッチャーの輪郭はぼやけ始める。正体が掴めない。 3
2014-03-03 00:50:31(((グググ……あれはユメミサセル・ジツ……相手を幻の楽園へと閉じ込める……だが所詮、子供騙しの幻燈遊びよ……)))ナラクの声がする。(((知っているのかナラク?)))(((実際気にする必要は無い……もし心配ならば、ワシに身体をよこせ……)))(((黙れナラク))) 4
2014-03-03 00:52:05だが、世界は暗転する。『ニンジャスレイヤー=サンが行くのは、ニンジャの実際居ない世界……さすれば、ニンジャスレイヤーはニンジャをスレイ出来ず自己崩壊重点……』フジキドの意識が消失する直前、そんな囁きがニューロンに聞こえた気がした。 5
2014-03-03 00:53:22「ここは……何処だ?」目を覚ましたフジキドは、起き上がり、辺りを見回した。草の生えた地面。身体にダメージは無い。息を吸うと、違和感を感じた。空気が澄んでいる。見上げた先には微かな星空。「ガイオン表層か……あのまま眠らされたのか?」 8
2014-03-03 00:58:09なんというウカツ。だが、命は有る。(((ナラク……ナラク?)))呼びかけれど、ナラクの応答は無い。もしや、ナラクが自分の身体を無理矢理使ったのだろうか?その結果、休眠状態が訪れた……それならば、確かに辻褄は合う。 9
2014-03-03 00:59:41だが、フジキドはそれよりも遥かに遠い喪失を感じていた。そして、己の身体にも違和感を覚える。原因は直ぐに判明した。ニンジャ装束ではなく、トレンチコートにハンチング帽。「忍」「殺」の文字が刻まれたメンポも装備していない。 10
2014-03-03 01:00:54……暫くの後。フジキドは周囲を歩きまわり、現在地を確認する事にした。目覚めた場所は公園であった様だ。周囲には街の明かりが見える。都市の中心にぽっかりと穴の空いた様な緑地空間。フジキドは鎮守の森を思い出していた。 11
2014-03-03 01:02:34公園の出口。『日比谷公園』と書かれたプレートが打ち付けられた門。フジキドにとっては聞き覚えの無い地名であった。「……何処なのだ、此処は」「キャッ!」だが、フジキドの思考はすぐに中断された。 12
2014-03-03 01:07:23上の空だったフジキドは、迂闊にも通りがかりの女性と衝突してしまったのだ。女性の抱えていた買い物袋の中身が道へ飛び散る。「すいません、お怪我は?」倒れた女性へ手を差し伸べるフジキド。……だが、彼の動きはそこで止まった。 13
2014-03-03 01:08:51フジキドは女性の顔を見て驚く。彼女が美しかったからではない。「ナンシー・リー……?」その顔に見覚えが有ったからだ。「……失礼ですが、何処かでお会いした事がありましたか?」女性は驚いたような表情で、フジキドを見つめていた。 14
2014-03-03 01:10:07「……いえ、人違いでした」「同じ名前に同じ顔。そんな人間が何人も居たら困るわ。間抜けな探偵さん?」どうやらナンシーはフジキドを探偵だと勘違いしている様だ。「どうせ、何処かの取材先が嫌がらせに送り込んで来たんでしょうけど……」 15
2014-03-04 01:06:49「スミマセン」だが、フジキドはそう言って散らばったナンシーの荷物を拾い集め始めた。「……ありがとう」「……いえ」ナンシーも礼を言って、荷物を拾う。「探偵さん、貴方のお名前は?」「……イチロー・モリタ」 16
2014-03-04 01:07:31フジキドは咄嗟に、慣れた偽名を名乗る。「森田一郎さん?」散らばった品物の最後の一つ。フジキドとナンシーの手が同時に伸び、ぶつかった。「いいお名前ね」フジキドの目がナンシーと遭う。 17
2014-03-04 01:08:10フジキドとナンシーは立ち上がり、歩き始めた。それは偶然にも同じ方向だった。「誰に言われて、私を調べてたの?」「目が覚めると、知らない場所に居た。それだけだ」「嘘が下手ね」二人は歩きながら会話を続ける。 18
2014-03-04 01:08:49フジキドは、この『ナンシー・リー』という女性との距離感を掴めずに居た。「探偵さん、悪い人じゃないみたいね」「……何故そう思う?」「人を見る目には、すこしだけ自信があるから」ナンシーはそう言って微かに笑った。 19
2014-03-04 01:10:26数百メートル程歩いた頃。「少し待ってて」そう言って立ち去り、ナンシーはバイクを転がしながらすぐに戻って来た。それはロードキル・デトネイターではなかった。「バイクに乗る女はお嫌い?」「いや」フジキドはバイクを見た。 20
2014-03-04 01:11:32「ニンジャ……」そのスポーティな車体に刻まれたエムブレム。そうだ。自分には使命がある。復讐がある。だが、彼は言葉の続きを押し殺した。「詳しいのね」ナンシーはそう言った。 21
2014-03-04 01:12:39「今日はクリスマスだし、もう少し買い物をしようと思って。折角だから、付き合って」そう言ってナンシーはフジキドに予備のヘルメットを手渡した。 22
2014-03-04 01:14:53