「千の想いを」~幕間ノ章・動作環境~
- mamiya_AFS
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そもそも『ください』と言ってぽんと誰にでも使える代物でもない。 脳波で遠隔操作やAIと会話を行うのが主流の現行機を用意するには、当たり前の事ながら膨大な時間をかけてモニタリングを段階を踏んで行い、その艦娘用に造っていかなければならないのだ。 天才ならどの機体でも操れるけども。
2014-02-21 00:41:37きょとんと伊吹が首を傾げて目をぱちくりとする。 「あ~…そこからなのね。どう説明したものかしら…。 とりあえずここじゃ航空機はもらえないわ。えっとね」 どこから話そうかと考える。自分で使っておいてなんだけど、あたしもそこまで詳しくはないのだ。元々は空母じゃないし。
2014-02-21 02:19:07人差し指を顎に当てて、しばし考える。 「あー、伊吹。今度一緒に提督のとこ行って申請書もらってこよ? 多分登録自体はされてて後回しにされてるだけだと思うから。最近は工廠の人達も忙しいしね」 実質的に全体の指揮を執っていた副局長が捕まったのだから、当たり前だけど。
2014-02-22 19:17:31そう言えば工廠に工学で博士号を取った期待の若手が入ってくるとか来ないとか噂を聞いたけど、あれどうなったんだろう。トラブルで手続きが進まなくなったんだっけな。 まぁ、いいや。 「とりあえず寝なさい。部屋まで送るから」 伊吹の小さな背中を押して先を促す。
2014-02-22 19:21:20元気良く頷いてから、伊吹が空になった缶をえいやっ、と放り投げる。 「こらっ…何して…。…お」 距離にしてほんの5メートル程度だろうか。回転を伴わない缶は、販売機の脇に置かれた空き缶入れの丸い穴を綺麗に潜り抜けて見せた。 「お…、おおー…」 将来有望かもしれない。
2014-02-22 19:27:06中でからんからんと空き缶同士の触れる音を立てたゴミ箱を指差し、伊吹が嬉しそうに自慢げな笑顔で見上げてくる。 「はいはい、凄いけどマナーは悪いわ。人がいる時にやっちゃダメだからね?」 いなければ良いわけでもなかろうに。本音は褒めたいけども、躾けるのも先輩の役目だ。
2014-02-22 19:33:49伊吹の今の技術が空母の才能に当たるのかはわからないけども、赤城さんは10メートル離れたコイン投入口に100円玉を指で弾いて入れた、という噂は聞いた事がある。 センスというのはこういう行動からも芽を見せるのかもしれない。 じゃあやっぱりあたしはセンスが無いんだろう。
2014-02-22 19:41:36褒めてもらえると思っていたのか、伊吹が目に見えて凹みだす。 「…今度良い石探して水切りやろっか。知ってる? 水切り。 それ上手くできたなら提督にも自慢できるわよ」 腕を水平に振るうジェスチャーをしてから、後輩の瞳を覗き込む。水切りならお姉に勝てるあたしの数少ない特技だ。
2014-02-22 19:47:30顔は笑みのままだけど、わずかに瞳を翳らせていた。 この表情を、あたしは知っている。 「…あーあ、伊吹温存作戦もそろそろ潮時かなー。提督ったら伊吹を大事にし過ぎだからなー。明日から大活躍してもらうしかないなー」 この子はきっと強くなる。根拠は無いけどそう思った。
2014-02-22 19:59:49「ほんとほんと。ちゃんと早寝早起きできるいい子だったらね」 寮に続く道をはしゃぐ伊吹と並んで歩く。 お姉は心配だけど、あたしも明日は多忙だし休んでおくべきだろう。後輩を部屋に戻した後、自室に向かう。 シャワーをする事はできたけど、気を失うようにあたしは眠りについた。
2014-02-22 20:07:43【今章での感情点の増減】 【会話者】 夕張(同艦隊) 伊吹(同艦隊) 戦+2 摯+1 食+1 【現在値】 戦2 摯3 慧1 姉3 愉0 色1 食2 飾1
2014-02-22 20:11:28