「千の想いを」~第三章・境界・固定イベント「円陣」~
- mamiya_AFS
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【第三章『境界』固定イベント『円陣』開始】 【港湾部 三日目 0945】 【介入制限:第十五支援艦隊のみ】
2014-03-22 18:55:19やっばい、遅れたわ。 食パンを齧りながら走る。曲がり角で誰かとぶつかるフラグでないのは間違いない。 「えびふっ」 ぶつからない代わりに、何者かに完璧な足払いを掛けられる。完璧過ぎて空中で一回転して足から落下するくらいに。 しゃがみ込んで相手を見上げる。 「なんだ樫野か」
2014-03-22 18:59:40感情や思考が読み取りづらい瞳の下にクマをつくったピンク頭が、不機嫌そうにあたしを見下ろしながら呟く。 「ふぉふぁよ。…むぐ。…例の奴、できた?」 空を飛ばされながらも落とさなかったパンの残りを飲み込み、問う。期待半分、諦め半分だ。
2014-03-22 19:02:57肩をすくめてぶっきらぼうに告げられる。 むぅ、流石に無理があったか。まぁ、そりゃそうよね。仕方が無いわ。 「そか。ありがと、ごめんね」 そもそも本当にあたしに使いこなせるのか怪しい発想ではある。ヘマするくらいなら、逆に無くて良かったかもしれない。
2014-03-22 19:04:48「へ?」 もっさりと大きく太く、でも銃身は異様に短い大砲と、真っ黒に塗り潰された艦載機を2機受け取る。艦載機の方もずんぐりもっさりと、本当に飛べるのかこれってくらい重苦しいフォルムをしている。 「う、うおぉ…。ありがと樫野、感謝し切れないわ!」 ってか重っ、これ。
2014-03-22 19:08:41あくび混じりに適当に返される。一発きりの弾が込められた秘密兵器その1を腰の後ろに、鉛の塊かと疑いたくなる秘密兵器その2をとりあえず両太腿に装着し、そう言えば遅刻してるんだったと思い出して慌てて走り出す。 「本当にありがと、樫野! 今夜辺りに何かお礼持っていくわ!」
2014-03-22 19:12:19急ブレーキ。既に距離が空いてしまっている相手へと振り返る。距離からして本当に樫野が呟いた声か確信を持てなかった。寝不足から来る幻聴かもしれなかった。 半眼であたしを見る給兵艦に、親指を立てた右手を向ける。 「がんばるっ!」 しっしっ、とばかりに手を振ってくる。
2014-03-22 19:16:37海を見渡せる港湾に辿り着き、ひたすら集合場所を目指して走る。 …むぅん? 観客多過ぎないかい? 普段の演習でも観戦する者は常にいるものだけど、今日は異様に多い気がした。 お偉いさんや、提督職の方に艦娘達。更にはドッグや工廠の職人の人達までいる。 陸奥さん効果かしら。
2014-03-22 19:21:11ゆっぴー提督を中心に、我が第十五支援艦隊の仲間達が集まってるのをようやく発見する。常盤が最初に気付き、あたしに手を振ってくる。それに伴い、面々も顔を向けてくる。 「ごっめーん、寝坊したわ!」 ずさー、と滑り込む。てへへ、と笑いながら頭を搔く。うし、可愛いから許してくれるはず。
2014-03-22 19:23:54「悪かったわよ。…って、あんたこそ昨晩の訓練サボったでしょーが! あんたこそ言うべき事あるんじゃないの!」
2014-03-22 19:34:18「大体あんたの事だからまたわけのわかr…え?」 天龍の顔をじっと見詰める。気まずそうに逸らされる。 「え? 今、謝った? あんたが?」
2014-03-22 19:37:18あたしの知る限りでは初めて聞く天龍の「謝罪」だった。 驚きも収まり、楽しくなってきてにやにやと顔を見ていたら無言で叩かれた。 いったー…。
2014-03-22 19:39:38