#傭兵鎮守府まとめその2

その2。 その1はこちらhttp://togetter.com/li/640433
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Akaya The Red @akaya_sousi

艦娘の量産、それが完全な軌道に乗ったこと示す証拠だった。それから、希望者・死体に関わらず、移植は繰り返された。適応した者は艦娘となり鎮守府に配属され、非適応者は処分された。死体からも艦娘が生成可能というのは彼らにとって朗報だった。数が揃えられる。 #五弐番艦隊記

2014-02-19 23:25:58
Akaya The Red @akaya_sousi

では、何故あの隼鷹が異質だったのか。それは彼女にフェイルセーフが無いからだ。何故か。彼女が深海棲艦だったからに他ならない。あの戦闘で、五隻の艦娘が沈んだ。同時に、機関も五つ。それを取り込んだ駆逐級に影響を与えた。彼らは増殖する、それに伴い機関も。 #五弐番艦隊記

2014-02-19 23:43:48
Akaya The Red @akaya_sousi

それから、駆逐級など深海棲艦を撃破したときに艦娘へと変化する個体が増えた。その艦娘達は総じてフェイルセーフを持たない存在だ。白雪、初雪、深雪、叢雲、磯波。彼女らの鼓動を機関に抱いている。そして、もう一つ。それらの艦娘は、深海棲艦への可逆性を持っている。 #五弐番艦隊記

2014-02-19 23:50:00
Akaya The Red @akaya_sousi

台湾近海にタムズを停泊させ、ユグドラシルで大きい港に着岸した。すぐに作業員が近寄ってきてくれたが、初めて目にする艦のためか戸惑っていた。「ああ、係留作業等は結構です、組合員の方はいますか?」はい、と作業員は返事するとすぐに散って行き、各々の作業を再開した。 #五弐番艦隊記

2014-02-21 01:34:07
Akaya The Red @akaya_sousi

「ああどうもぉ、私がここの組合の責任者です。話は聞いてますよ」しばらくして現れた日系の男はどうも、と手を差し出してくる。握り返すと、少し笑っていた。「早速だけど、取れた金を見せてもらえるかな」勿論。これですよ「おお!思ったより凄い量だね。これ全部貰うよ?」どうぞ。 #五弐番艦隊記

2014-02-21 01:38:52
Akaya The Red @akaya_sousi

男は部下に金を運ばせると、今から載せる荷物を見せてくれた。「情報に嘘は無いよ。これ全部ハワイの真珠湾まで運んでくれればいい」真珠湾?そこは軍港じゃ?「そうなんだけど、注文なのよね、米軍の」ほう、なんかやるつもりなのかね? #五弐番艦隊記

2014-02-21 01:44:32
Akaya The Red @akaya_sousi

「噂じゃあ本土沿岸のシンカイセイカンを殲滅するって話だけどね」やっぱ向こうさんもやられてるんだな「そうね。ここもあの子がいるからいいけど、いなかったら今頃お陀仏だよ」あの子?「ほらあそこ、灯台の辺りにいるよ」男の指差す方を見ると、そこにいたのは――― #五弐番艦隊記

2014-02-21 01:47:51
Akaya The Red @akaya_sousi

灯台の下、黄昏ている女がいた。「……誰?」はじめまして。「……?」挨拶ぐらいしようぜ、日本語は分かるだろ?「……はじめまして」君の名前は?「大和です、大和型1番艦、大和」おいおい、とんでもない奴がこんなとこにいるとは。どうした連合艦隊旗艦。「……」#五弐番艦隊記

2014-02-21 22:44:23
Akaya The Red @akaya_sousi

だんまりか。少しは喋ってくれないかね?「話すことはありませんよ」……はあ。隣、いいか?「どうぞ」大和の隣に座り、市場で見繕ってきたバナナを食う。「……なんなんですか?」いやね、ここの防衛を任されてる艦娘がどんなやつか知りたかっただけだけどさ、なんか落ち込んでるし? #五弐番艦隊記

2014-02-21 22:54:04
Akaya The Red @akaya_sousi

「少し、疲れているだけです」そうか。バナナ食うか?「……頂きます」大和は房からバナナを一本もいで食い始めた。「気付いたら、ここにいたんです。あの時……沖縄特攻の時、私は無念にも、米軍の攻撃に敗れました。皆が沈んで行くのを見ながら、動けなくなるまで」 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:06:34
Akaya The Red @akaya_sousi

大和は続ける。「そして、光に包まれたんです。それからの記憶は曖昧ですけど、気付いたらここにいました。しばらくしてから、深海棲艦が攻めてきて、私は戦えることを思い出したんです。そうしたら、艤装が出てきて、あいつらをやっつけてました」ほう、艤装とかの事は知ってるのか #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:12:43
Akaya The Red @akaya_sousi

「ええ、前にここに来た人が教えてくれました。深海棲艦のこと、艤装のこと、そして今の世界のこと。……未来なんですね、ここは」そうだ。お前達が戦った時代から随分と時が経った。戦争はまた始まったけどな。「それは……残念なことですし、悲しいことです」 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:16:12
Akaya The Red @akaya_sousi

「でも、戦いはいつの時代も無くなる事は無い、人間の業です。しょうがないんですよ」そう思いたくは無いけどな。戦いの無い世界があってもいいはずだ「じゃあ、私達艦娘というのは、艦は何故存在するんですか!戦うためにあるんでしょう!」そうだ。だが、戦わない選択肢もある。 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:18:40
Akaya The Red @akaya_sousi

「詭弁です!!なら、この砲は何のためにあるのですか!!」大和が立ち上がり、艤装を展開する。流石、大和型の艤装は大きい。「これは!敵を殺すためにあるものなのです!!使わずして何が兵器ですか!!」使わずに保管しておくという手もある「詭弁だと言ったではないですか!!」 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:22:05
Akaya The Red @akaya_sousi

詭弁だというのなら!!深海棲艦が出る前の世界を知っているのか!!「……知る訳がないでしょう!!」そうだ。お前は知る訳がない。お前達が散った後の平和な時代をな!「それは……!!」その時代でもな、兵器はあったよ。艦もあった。けどな、実戦なんてなかったんだよ。 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:25:10
Akaya The Red @akaya_sousi

兵器は使われてはいたよ。展示されたり、一般公開された演習のためにな。けどな、人間相手に戦う事はなかったよ。それが正しいかどうかは知らない。俺は神様じゃねぇんだ。「そんな世界、あるものですか」あったんだよ、確かにな。でもぶっ壊れた。深海棲艦のせいでな。 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:29:14
Akaya The Red @akaya_sousi

「すみません、取り乱して」艤装を収納し、大和は再び俺の隣に座った。「でも、私たちは兵器なんです。必要とされれば使われなければならない、そんな存在なんです」それを否定したかったわけじゃないんだ。すまない。「……あの時、沢山の英霊が黄泉へ旅立ちました」 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:35:05
Akaya The Red @akaya_sousi

英霊、か「私は彼らの想いを強く受け取りました。家族のこと、友人のこと、大切な人のこと。悲しみ、怒り、妬み。思い出すと、胸に突き刺さります。過去は変えられません。それをなかったことになど出来ないと判っていても、後悔してしまうんです。もう少し上手くやれたら、と」 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:40:05
Akaya The Red @akaya_sousi

それは、「それは、叶うはずの無い願いです。だから、私は決めたんです。ここにいて、お世話になった人たちを、今を守ろう、と」……それは、お前自身の意思か。「そうです。あなたは、何故戦うのですか?」……ある意味、それに悩んでるから今世界を渡り歩こうとしてるのかもな。 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:46:27
Akaya The Red @akaya_sousi

「そう、ですか。あなたは、」大和がそう言いかけたところで、銃声がした。「なんでしょう、小競り合いでしょうか」組合同士の喧嘩かもな「見に行ってみましょうか」危険じゃないか?「大丈夫ですよ、私は組合に顔が利きますから」大和は灯台のある堤防から飛び降りると走っていった。 #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:51:05
Akaya The Red @akaya_sousi

―アセンションは始まる、福音は今鳴り始めた― #五弐番艦隊記

2014-02-21 23:59:52
Akaya The Red @akaya_sousi

走り去った大和を追いかけると、組合員数人と何やら黒い服を着て、顔を覆うように黒いマフラーを巻いた奴らが銃撃戦を繰り広げていた。「やめなさい!こんな所で争ってはいけません!」艤装を展開しつつ、両者の間に割って入る大和。無茶をする、拳銃とはいえ当たれば痛いはずだ。 #五弐番艦隊記

2014-02-23 15:37:51
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