#傭兵鎮守府まとめその2

その2。 その1はこちらhttp://togetter.com/li/640433
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Akaya The Red @akaya_sousi

それでも大和は説得を続けた。組合員は大和を見ると無闇に撃つのを止めたが、黒服は撃ち続けている。「大和さん!いけません!そこをどいて!」組合員の一人が大和に声をかけている。……あいつはさっき話してたやつだ。「何故争うのですか!争う必要はありません!」大和は叫んだ。 #五弐番艦隊記

2014-02-23 15:42:14
Akaya The Red @akaya_sousi

「しかし!仲間が殺されたんですよ!」さっきの男……朴さんがまた叫んだ。無関係な争いではあったが、これで依頼金額上乗せしようかと思った瞬間だった。黒服達が急に大和へ向かって走り出した。「女神よ!ヤマトよ!我々の血と肉でアセンションを達成したまえぇ!!」 #五弐番艦隊記

2014-02-23 15:48:12
Akaya The Red @akaya_sousi

黒服の一人がそう叫ぶと、黒服全員が爆発した。「大……うわっ!」朴さんが巻き込まれて吹っ飛ぶ。血と内臓が辺りに撒き散らされ、港の一角を赤く染めた。大和は爆発の近くにいたが無傷だ。だが、立ち尽くして動いていない。少し心配になって大和に近づいた。 #五弐番艦隊記

2014-02-23 15:53:00
Akaya The Red @akaya_sousi

提督が立ち尽くす大和に近付く。大和は至近距離で爆発を受けたせいか、血と内臓などで真っ赤に汚れていた。提督―仮に、傭兵提督と呼称しよう―がまとわり付いた内臓などを掃っている。「なんで」「ん?」「なんで、争いが起きるんですか」大和は震えた声で、そう言った。 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:00:24
Akaya The Red @akaya_sousi

「知らないよ。あいつらが何をしたいかなんて俺は知らないし、何より争いは無くなるもんじゃない。お前が言ったことだ」「でも!」「落ち着け、少し興奮しすぎてる」「……分かってます」傭兵提督が色々と掃ってくれた事に気付いていなかったのか、大和は少し驚いた顔をしていた。 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:04:11
Akaya The Red @akaya_sousi

「ありがとう、ございます。汚れてしまってますよ」「気にするな。シャワー浴びればいい」「じゃあ、うちに来てください。シャワーと、話を聞いてくれたお礼だけでも」「……」どうするか、と傭兵提督は頭をかいた。艦に戻れば飯もシャワーもある、が。「……」 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:07:36
Akaya The Red @akaya_sousi

据え膳ではないが、彼は差し出された物は受け取る主義だ。一言艦に連絡を入れてからな、と大和のもとをから一旦立ち去った。「さっきの灯台で、待ってますから」大和の言葉を背に、停泊させている艦へと戻る傭兵提督。艦のメンテナンスがてら少しは滞在してもいいだろう、と。 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:11:19
Akaya The Red @akaya_sousi

「じゃ、そういう訳だ」艦に汚れが付着するのが嫌なのか、彼は金剛を呼び出しこれからしばらくのスケジュールを言い渡していた。「Rogerネ!浮気はNoですからネー!」金剛の陽気な声で陰気な気分も少しは晴れたのだろう、傭兵提督は少しすっきりした顔になっていた。 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:17:31
Akaya The Red @akaya_sousi

「待たせたか」「いいえ、大丈夫です」大和は灯台でバナナを頬張りながら待っていた。「じゃ、行きましょうか。……少し、生臭くなってしまいましたね」「そうだな。うろついたら臭くなってきたよ」「着替え、ありますか?」「持ってきた」「準備、いいですね」「うちのは優秀でな」 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:21:11
Akaya The Red @akaya_sousi

「ああ!提督さん!あんた大丈夫だった?」「朴さん、あんたこそ大丈夫か?盛大に吹っ飛んでたが」「なあに、組合員は強いのさ……あいたた」「無理はするなよ」朴は腰を押さえて痛そうにもがいている。「ああ、大和ちゃん上がるの?気をつけてね」 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:26:51
Akaya The Red @akaya_sousi

「あ、はい。何か異常があれば呼んでくださいね」「この提督さんの部隊がしばらくいてくれるみたいだから大丈夫そうだよ。ここ最近、大和ちゃん根詰め過ぎだからお休みあげるよ」「え、でも」「もらっとけ。うちのがしっかりここ守ってるから」「……分かりました」 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:30:13
Akaya The Red @akaya_sousi

二人は港の端にある一軒家に入った。「どうぞ、少し狭いかも……」「いや、大丈夫だ。シャワーは大和が先に使ってくれ。お前の家だろ」「はい、少し時間がかかるかもなので服を脱いでいたらどうですか?寒くはないですし、臭いでしょう」「そうだな。ビニールはあるか?」「ここです」 #五弐番艦隊記

2014-02-23 23:38:37
Akaya The Red @akaya_sousi

傭兵提督が行った後、金剛達は会議を開いた。恐らく提督が数日は帰ってこないことを全員に伝え、管理と運営を自分達でやることを伝えただけだが。まあ、それでもやらなければ引きこもっていたり何もせずダラダラとしているだけの艦娘がいるからだが。 #五弐番艦隊記

2014-02-24 22:22:16
Akaya The Red @akaya_sousi

そもそも艦娘は傭兵提督の指揮下で戦ってはいるが、全員が彼に忠誠を誓っている訳ではない。彼がそう望んでいるのもあるが、一部艦娘の異様な信頼を目の当たりにしてドン引きしているのもある。特に提督お気に入りの金剛がべったり(なのかは微妙だが)なのもあるが。#五弐番艦隊記

2014-02-24 22:32:34
Akaya The Red @akaya_sousi

ともかく彼女達は個々の自由を与えられてはいるのだ。外出禁止という点を除いては。その原因は艦娘法―艦娘の保護と管理の法律である―を提督が過敏に意識しているためではあるが、前任の提督が那珂に対して公然で虐待を行っていたことも原因である。#五弐番艦隊記

2014-02-24 22:39:21
Akaya The Red @akaya_sousi

しかし彼女達が不満を感じることは少ないように提督も配慮している。鎮守府(?)での犯罪を防ぐ為に酒保を完全無料化したり、娯楽スペースを大きく作るなどだ。それでいて給料もそれなりの額を支給されているため、艦娘は割りと満足した生活を送っていた。#五弐番艦隊記

2014-02-24 22:49:24
Akaya The Red @akaya_sousi

航海するようになってからも何故か変わらず酒保は無料で何でも揃い、娯楽も充実している。多少おかしい状況ではあるが、そこに突っ込むと碌な事にならないのを彼女達は知っているので触れていない。#五弐番艦隊記

2014-02-24 22:54:50
Akaya The Red @akaya_sousi

「で、提督は何処に行ったんですか?」「浮気ネ。最低ネ」「お姉様、まだそうと決まったわけじゃないですから襲ってもいいですか?」「Don't touch me、比叡」「そんなあ」「まあ、お出かけになったのはわかりますけど」彼の艦隊で最も権限があるのは金剛姉妹だ。#五弐番艦隊記

2014-02-24 22:58:16
Akaya The Red @akaya_sousi

次いで正規空母の一部だ。沖ノ島で活躍した経歴である。「とにかく、しばらくは皆を統制しないとネ。あと、港の防衛も」「え?艦の管理だけじゃないんですか?」「どうもここの人に依頼されたみたいですね」「あれ、確か大和さんが防衛してませんでした?」「ああ、提督の愛人ネ」#五弐番艦隊記

2014-02-24 23:07:49
Akaya The Red @akaya_sousi

「!?」「え、ちょっと待ってください姉様、大和さんが愛人?え?」「It's joke」「冗談ですか、びっくりさせないでくださいよ」「ねえ、霧島……姉様相当嫉妬してない?」「……しっ、言っちゃ駄目よ榛名、あれで気にしてないって自負してるんだから」「I hearよ」#五弐番艦隊記

2014-02-24 23:14:02
Akaya The Red @akaya_sousi

『アセンション、ですか。上昇、昇華……宗教的な意味合いですと、昇天という意味合いがありますね』そうか、と彼は返事をして通信機をしまう。大和はまだシャワーを浴びている。「また宗教がらみじゃないといいんだが……」彼は小さく、だが非常に低い声色で呟いた。#五弐番艦隊記

2014-02-27 23:32:07
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