【知のミクロコスモス発売記念】中世説教世界への招待 赤江雄一特別インタビュー!
- mafi__mushkila
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赤江:直接授業としてカリキュラムで説教を教えていたのではない。基本当時の大学生は全員聖職者なので(修道士じゃないにしても)、全員ミサとかに出ている。〔この後追えず。そういうところが説教の教育の場になっていたのではないか?ということか?〕 #知のミクロコスモス
2014-03-12 21:37:31ヨーロッパにおいても、説教研究が盛んになったのはここ30年ぐらい。比較的新しい分野で、文学研究などでもこぼれ落ちていた研究対象でもある。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 21:37:58坂本:中世説教研究の伝統というのはどれくらいあるのか? 赤江:ヨーロッパでも新しい学問領域。坂本:中世研究でトマス・アクィナスを読むというのであればわかりやすい。トマスの本を読んで研究しているということがわかる。しかし中世の説教研究者は何をどこで読んでるの? #知のミクロコスモス
2014-03-12 21:40:30赤江:たとえば有名な人物の日本語に説教が訳されたりとかしているけれど、そういうところで当時の民衆に最も届いた説教というのが必ずしも取り上げられているわけではない。無名の説教者の説教。こういうのが実は100とか200のレベルで写本として残っている。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 21:40:46高柳俊一(編)『シリーズ・世界の説教 中世の説教』(教文館、2012年) 「本巻では・・・教皇、修道士、スコラ学者、神秘主義者、宗教改革の先駆者など、さまざまな立場の説教者を網羅。 」#知のミクロコスモス http://t.co/bXXAzsnJ2f
2014-03-12 21:41:53坂本:それは多いんですか? 赤江:すごく多い。説教の写本というのは、大事に保管するものではなく、日常的に見本として使うもの。大量にあったと思う。週刊少年ジャンプみたいなものをイメージすればいい。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 21:44:52400万部とかすられているけど1500年後に何冊残っていますか?非常に特殊な図書館にしか入らないから、1冊しか残ってないかもしれない。実用的な写本だから捨てられてなくなっていく説教書というのはすごく多かったはず。#知のミクロコスモス
2014-03-12 21:45:00だからいま100とか200とか残っているということは逆に当時どれだけ膨大にあったのかを示している、というような議論をしている研究がある。#知のミクロコスモス
2014-03-12 21:45:09坂本:そういうのを図書館で読むのが研究になるわけですね。赤江:そうですね。ヨーロッパ中の文書館に行ったりマイクロフィルムを取り寄せて文字起こししながら読んだりしている。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 21:45:16坂本:さてでは前提を終えて内容に。この論文では、説教書でどういうことが言われているかということよりも、形式というかテクニックに強く着目していると思う。この着目の仕方のねらいは何なのか。#知のミクロコスモス
2014-03-12 21:46:30赤江:伝えるべき内容そのものがドラスティックに変わったわけではない。大学の中ではアリストテレスの哲学をどう解釈するかといったことが議論されたが、町のお肉屋さんとかにはそれは関係ない。どうやったら罪が赦されるか、天国に行けるか、ということが重要。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 21:49:01だから内容にだけ注目すると似たことが書いてあるという話でしかない。これが説教研究があまり注目されていなかった理由でもあるだろう。#知のミクロコスモス
2014-03-12 21:56:01しかし文書を読んでもそもそも説教って現代的な頭の使い方からは全然何やってるのかわからない。そういう現代とは違う中世後期的なものが、形式を見ることでヴィヴィッドに見いだされるのではないか、ということ #知のミクロコスモス
2014-03-12 21:56:15語的一致を主題にして書かれた世界最初の論考が『知のミクロコスモス』所収の赤江論文(「語的一致と葛藤する説教理論家――中世後期の説教における聖書の引用」)です!日本語で世界最先端の研究を知ることができます! #知のミクロコスモス
2014-03-12 22:02:48加藤:ご自身のなかで知のミクロコスモスのなかでこの論文をどう位置づけているか。インテレクチュアル・ヒストリーとの関連性とか。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 22:14:03赤江:文脈のなかに当時の思想を戻していくみたいなことが一つ重要だと思っている。コンテクストのなかに戻すと、字面だけではわからないことが見える。現在からはばかげたものに見えるようなことも、ちゃんと必然性がある。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 22:14:13もともとはマスメディアとしての、といったことに興味があったが、今回は思想のほうに引きつけられている。当時の説教が置かれている文脈に戻した時には、托鉢修道士の、学問もするけどポピュラライザーという引き裂かれたものという立場に注目しないといけない。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 22:15:23坂本:一見現代人には異質に見えるテクニックも、それによって何を達成しようかを考えると理にかなっているというか、ある種今とは違う思考様式をしているけど異星人ではないというか...
2014-03-12 22:15:31赤江:コンコルダンスというのは今で言うgoogleみたいなものだと思っている。そういうものとして機能していた。ものすごく現代的。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 22:16:42坂本:せめて(コンコルダンスで)ぐぐれるくらいの能力を説教者は持っていてほしい、ぐぐりもしないような説教者がいてはまずい、ということ?そういう危機感があったんですかね。 赤江:そういうことですね。 #知のミクロコスモス
2014-03-12 22:17:16