イマジナリーライン、あるいは「切り返し」について~過去のマンガ入門書を中心に

先行して、二つのまとめが@tomokityさんによって作られています。それを読んでもらうことを前提にして、その続編です。(このへんも@tomokity さんがまとめるつもりだったならすみません!) 【イマジナリーライン】を超えたマンガは最悪なのか http://togetter.com/li/641095 【イマジナリーライン騒動】はマンガ業界を変えるのか http://togetter.com/li/641938 主に3月15日にツイートされたもので、これも伊藤剛氏@GoITO、喜多野土竜氏@mogura2001が中心です。これまでの流れを受け、伊藤氏が古いマンガ技術書、入門書を紹介し、そこから議論が深まっています。 【関連】かかし朝浩先生によるイマジナリーライン解説 http://togetter.com/li/641711 続きを読む
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伊藤 剛 @GoITO

「会話している人物の立ち位置なんですが、何となく自分としては右にいる人間が語り手で、左側が受け手に回るという感覚があるんです。  ちなみにP8の三コマ目のベルダンディーは語り手なんですけれど、一コマ目と二コマ目の螢一の疑問を受けているので、受け手の左位置にいるんですよ(藤島氏)」

2014-03-15 06:59:16
伊藤 剛 @GoITO

この「P8」の三コマ目では、ベルダンディーはコマの左側に描かれ、顔は右を向いている。次の四コマ目では、コマの右側に描かれ、顔は左側を向いている(左側には、斜め後ろからとらえられた螢一の顔が置かれている)。つまり「切り返し」をやっている。 同、p.118

2014-03-15 07:01:14
伊藤 剛 @GoITO

とりあえず、手元にあってすっと出てくる資料を見た範囲ではこんな感じ。 どんな議論でもそうなんだけれど、どこでどういった形でその概念が語られているかに逐一あたってみることは重要だろう。一方で興味深いのは、マンガ技法書がほとんど相互の参照をしていないということ。

2014-03-15 07:03:16
伊藤 剛 @GoITO

実際に、マンガ技法書の書き手のひとに訊ねてみたこともあるのだが、先行する技法書を参照して書いたのではない、ということだった。実際、先行する技法書を参照して書かれることは少ないようなのだ。少なくとも、先行書の引用は見たことがない。

2014-03-15 07:04:57
伊藤 剛 @GoITO

マンガ技法書の書き手はマンガ家のほか、編集者などであることが多い(マンガ業界での実務経験のなさそうな書き手もいるが、それは脇に置く)。つまり多くが自分の経験と口伝的に聞いたことを元にしているということだ。

2014-03-15 07:06:50
伊藤 剛 @GoITO

しかし、であるのにもかかわらず、多くの技法書の内容は似通っている。

2014-03-15 07:07:37
糸杉柾宏 @masahiroitosugi

@GoITO 漫画技法書では「切り返し」という言葉が主に使われていて例の~ラインという単語を使ったものはない(なさそう)と考えてよいみたいですか?

2014-03-15 07:07:55
伊藤 剛 @GoITO

これは、マンガ表現の何をもって「技術」とみなすかという「対象化」「言語化」の水準がそろっていることを意味する。あるいは、相互の参照がなされないがゆえに、逆に対象化・言語化の水準がそろうという言い方もできるだろうか。

2014-03-15 07:09:03
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi はい。イマジナリーラインという語を用いて説明した例は見たことがありません。喜多野さんは何か意図があってあえて「切り返し」という語を避けておられるのだと思います。

2014-03-15 07:10:26
伊藤 剛 @GoITO

とりあえず、以上なんですが、「マンガ技法書」をテキストに、マンガ表現において何がどう「技術」として対象化・言語化されてきたか? という研究は面白いテーマだと思うんですよね。院生の誰か、やらない?

2014-03-15 07:12:03
糸杉柾宏 @masahiroitosugi

@GoITO いろいろ眺めながらすごく感じたことはあの単語が全ての元凶ではないかと。映像論の「原則」が「右から左へ(上から下は外します)」という漫画の基本に添い、そのため、上手、下手、という単語も偶然にも合致し、映像の原則を漫画の原則と同じだと錯覚させたのではないか…と。

2014-03-15 07:14:14
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi 元は「切り返しはやってはいけない」なんですよね。1970年代に小池一夫氏が発案したものだとして(ツイッターにご本人がおられるので訊ねればいいんですが、申し訳なくてできずにいます)、(続く)

2014-03-15 07:18:50
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi (続き)やはり映画的手法の側にマンガ表現を寄せるうえで出てきた発想なんじゃないかと思います。と同時に、1970年代に編集者から「読者が混乱する」と言っておこられた、といった話がすでにあるわけで(続く)

2014-03-15 07:21:38
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi (続き)この時期にマンガ表現が一気に複雑化・多様化をはたし、そのある種の反動で出てきたものという双方の要素があるのではないかと考え始めました。すると、映画の180度ルールのマンガへの(やや強引な)適用というだけではなさそうです。

2014-03-15 07:22:39
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi このへんじっくり研究してみたいのですが、ほかの研究課題に取り掛かってしまったので、当面できないですね。だれかどっかの院生あたり、やってくれないかしら。

2014-03-15 07:23:30
糸杉柾宏 @masahiroitosugi

@GoITO なるほど。180度ルールという単語もまたやはり~ラインと同じく映像論の用語ですよね。最初から「切り返し」をすると混乱する、だから「映像論ではこういうルールがあるから当てはめられるよ」くらいにしておけばここまでの混乱はなかったと思うのです。

2014-03-15 07:25:07
糸杉柾宏 @masahiroitosugi

@GoITO 是非院生にけしかけて論文を書かせてください。みんなのヒーローになれますw

2014-03-15 07:26:06
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi そうですね。まとめると喜多野さんの言い方はよくない、になってしまうんですよね。。。

2014-03-15 07:27:00
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi この件だけにかぎらず、マンガ研究にはまだ「手つかず」のテーマがいっぱいあるので、みんなやればいいのにと思ってます。

2014-03-15 07:29:12
糸杉柾宏 @masahiroitosugi

@GoITO 個人的には「レイアウト」についてもっと掘り下げたいのですけど、伊藤さんやってください(ウソ)。要は「読みやすさを追求する」という目的は誰もが等しく持っていて、「混乱させない手法」がいくつかある。そのうち何を選択すると有利か、という話だと思うのですよ。

2014-03-15 07:31:31
ささきゆうすけ @sasakiyusuke

伊藤剛さんのマンガ技法書をテキストにした研究のお話は、いまちまちま進めている映画入門書のカメラワーク・ディスクール分析と共通する部分がいろいろありそう。 http://t.co/rzcE9XevAT

2014-03-15 07:31:50
リンク http://qspds996.hatenablog.jp/ 揺動メディア論 イントロダクション - qspds996 1 安易な手ぶれ映像 映画批評や感想サイトなどでしばしば見かけるのが、「安易な手ぶれ映像」というような言葉である。このことは、「安易な固定映像」という言葉を見かけることがないことと併せて、手ぶれ映像の置かれた状況を象徴している。手ぶれ映像を語ろうとしたとき、わたしたちはあまりにも貧しい言葉しか持ち合わせていないことに途方に暮れてしまうだろう。ここで世界各国の映画研究を参照することはできないが、少なくとも日本国内においては、今のところ手ぶれ映像独自の表現を体系的に記述した論考やまとまった議論は見当たらない。
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi まとめるとそうなりますね。「レイアウト」はまた難しくて、アニメを参照している部分が当然あるわけですが、映画論の援用だけではおそらく上手くいかないでしょう。という具合に「手つかず」の領域がたくさんあるということですね。ぼくの手には余るかなーw

2014-03-15 07:34:01
糸杉柾宏 @masahiroitosugi

@GoITO 冗談です冗談ですスミマセン(汗)個人的なテーマとして、私がいつか誰かに説いて回る伝道師になります☆

2014-03-15 07:35:19
伊藤 剛 @GoITO

@masahiroitosugi いえいえ。こういう話はたのしくやるのがいちばんですからw 

2014-03-15 07:40:04
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