防衛日記まとめ

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シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

3/19/ 曇天 本日の作戦内容は通常通り、訓練を兼ねた塹壕掘りと通信の安定化の為の設備設置。 午後からは装備点検後、各班交代での警戒任務に移る。 #防衛日記

2014-03-19 13:28:58
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

警戒とは言っても、非戦闘員の寄せ集めみたいなこの部隊で出来るのは味方の死体をいち早く発見し、奴らがここまで侵攻していることを知らせるくらいである。 自分達はそれまで殺されないことが役割だ。全く、何故昼飯の後に死体探しをしなければならないのか。 #防衛日記

2014-03-19 13:29:21
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

隊長殿がお呼びだ。またこんなことを、書いたのがバレたら殴られるのだろう。憂鬱だ。 #防衛日記

2014-03-19 13:29:39
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

やっぱり殴られた。 曲がった鼻を治すのも慣れたものだが、鼻の奥がつんとするのにはどうにも慣れることがない。 地べたを転がる羽目になったが、眼鏡を外す余裕を貰えたのが救いだった。 #防衛日記

2014-03-19 13:34:49
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今日は散々だった。 この日記も開示義務はない、ストレス緩和の為のものなのに取り上げて見られるわ、その内容が気に入らないと顔面を殴られるわ、午後の警戒任務で○○が死体を見つけるわの盛り沢山。 幸い、死体を検分したところ餓死の可能性が高いと分かったので一安心だ。 #防衛日記

2014-03-19 19:40:09
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3/20 雨 霧の様な雨が降り続いている。 この天気だから各々雨合羽を着込んでの作業となるが、以前それで敵の接近に気付けなかったという隊長殿の方針でフードは耳に被さるところだけが切られている。 ダサいし寒い。 #防衛日記

2014-03-20 15:44:07
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雨の日の装備点検は憂鬱だ。 ただでさえ手先が器用でないのに湿気にも気をつけなければならない。前の部隊に居た時は同期の×○が手伝ってくれたのだが、再編成の時に違う部隊になってしまったので人のを見ながらやるしかない。 考えながら作業していると指を挟む。 今週で十回目だ。 #防衛日記

2014-03-20 15:49:37
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こうした作業ばかりだから夕方には油と泥とで指先がガサガサになる。 せめて何か手に塗る物があれば違うのだろうが、ここにそんな贅沢品は無いし、手に何か塗ってあれば機材についてしまうのでどのみち使えない。 #防衛日記

2014-03-20 15:56:20
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うんざりするよな、と同期ではないが歳の近い□○に言うと笑われた。 「お前でもそんな女みたいなこと言うんだな」 よく見ろ、軍服のボタンの位置がお前とは逆だろうが。 「冗談だって」 □○はこういう雑談を出来る数少ない相手だから助かるが、些か明る過ぎるところがあった。 #防衛日記

2014-03-20 16:02:31
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こういう調子でいられる自分に対して自信にも近いものを抱いているらしく、いつでもそうあろうという姿勢はいっそ尊敬出来るものだった。 午後の任務で退却して来た兵を励まそうと話しかけて殺されたが、最期まであの調子だったのだから大したものだ。 #防衛日記

2014-03-20 16:07:38
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一週間に一人は任務と関係の無い死人が出て、二日後には新しい仲間が増える。 大抵そいつらの目は虚ろで、配属されて一時間は使い物にならない。 同じ日に配属されて来たのは□○で最後だったからあとは先に生き残っていた連中か、後から来た連中だけだ。 #防衛日記

2014-03-20 16:13:15
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3/31/青天 明日から合同任務が始まる為、隊員同士の顔合わせが行われた。 といってもこちらは少数、道中で数も減ってしまったしあちらは大半が人ではない、艦娘と呼ばれるそれだ。 艦娘が可能なこと、不可能なことを説明され、任務の動きについての説明に移る。 #防衛日記

2014-03-31 11:24:52
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撤退支援作戦、とでも呼べばいいのだろうか。 前線の兵達を回収して海軍の船で安全な場所まで迂回して撤退。 自分達はそれのサポートだ。 以上、質問は?という軍人の声に挙がる手はなく、そのまま作戦準備へと移ることとなった。 #防衛日記

2014-03-31 11:27:07
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作戦準備が進む中、隊長の姿が見えないと誰かが言った。 次に、前線から来るはずの伝令がないと誰かが言った。 次に、艦娘の一人——一隻から隊長の名前を尋ねられたが、誰一人として答えられる隊員が居なかった。 #防衛日記

2014-03-31 17:38:29
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ざわつく隊員を軍人が取りまとめることとなり、ひとまず撤退だけは滞りなく行えるようにと物資の運び出しが始まった。 何かが、おかしかった。 #防衛日記

2014-03-31 17:40:08
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「○○」 名前を呼ばれ、振り返ると軍人が深刻そうな顔でそこに居た。 どうしましたか、隊長は見つかりましたか。 軍人は首を振って、それから少し言い淀むと口を開いた。 「なぁ、○○。お前、私を本当に覚えていないのか」 #防衛日記

2014-03-31 17:42:13
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

本当に、とは。 「…あの子は、元気か?」 軍人の言うあの子が、誰のことなのか今度はわからなかった。 ×○のことですか、と言いかけるとそうではないと首を振る。 「お前の秘書艦をしていた、綾波型の、あの娘だ」 …お言葉ですが、自分は秘書付きになったことなどありません。 #防衛日記

2014-03-31 17:45:08
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

自分は陸の兵です。艦娘を秘書にできるような—— 「成る程、合点がいった」 は…? 軍人を見るとその眉は顰められ、口元は音がしそうな程に噛み締められていた。 「——特務部隊への志願異動と聞いていたが、成る程。探りを入れておいて正解だったようだ」 #防衛日記

2014-03-31 17:48:52
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

「…こういう仕事をしているとな、○○。死んだはずの人間との再会なんてそう珍しい話ではない」 あの、何の話をなさっているのか。 「まぁ、聞けよ。そういうのは大体諜報のような特務の連中が名前だけ殺されていることがほとんどなのだが——」 #防衛日記

2014-03-31 17:52:20
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

刹那、軍人の手元に輝きを見たかと思えば、自分は反対の腕に引き寄せられた勢いで地べたに転がっていた。 慌てて起き上がると軍人の手にはぎらりと光る軍刀が握られており、その刃は対峙する者の腹を逆袈裟に斬り開いていた。 #防衛日記

2014-03-31 17:53:11
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

「よもや、お前が死んでいなかったとはな。××」 ——軍人が斬ったのは、隊長だった。 隊長は斬られた腹を抑えると、へなへなと膝をついてしまう。 制帽を目深に被ってはいるものの、苦悶の表情を浮かべているのが見えた。 #防衛日記

2014-03-31 17:54:55
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

何をするんですか!これは、こんなことは…! 「よく見ておけ。そして正気に戻れ。 ——あの時は明言出来なかったが今こそ示してやろう。我々が斃さねば成らぬ、大いなるクズ共のことを」 軍人の言葉がやけに大きく頭に響く。 隊長の傷は浅いのか、滲むような出血しか見られない。 #防衛日記

2014-03-31 17:55:58
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

軍人は憤怒の声を押し殺し、低く震える声で自分に告げる。 「あれが、敵だ」 軍人が払った軍刀の刃には、どす黒く濁った油がしたたっている。 「あれが我々の命を、文明を、尊厳を脅かし踏み躙る、海の底からこちらを見ていた者だ」 #防衛日記

2014-03-31 17:58:55
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

——隊長の制帽が地に落ちて、その風貌が夕日に照らされる。 #防衛日記

2014-03-31 17:59:48
シダケイジ🏢・😺⚓️ @shi_dakg

——覚えている。その拳骨は硬く、厳しくはあったが、訓練の後に隊員皆を飯屋に連れて行って好きなだけ食わせてくれた、よい大人の手本の様な人だった。 隊の皆の、憧れのような人だった。 #防衛日記

2014-03-31 18:00:31
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