バルトーク133歳おめでとうございます!

3/25はバルトークの誕生日。 その日から続く、ぱぷりりかさんのツイートのみをまとめさせて頂きました。 まとめ不慣れなので、何かありましたらどなたか修正して頂ければ幸いです。
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ぱぷりりか @papririka

バルトークの弦楽四重奏曲第5番でも対称性が楽曲の構成原理となっています。5楽章からなり、第1楽章と第5楽章、第2楽章と第4楽章がそれぞれ対になっています。中心には第3楽章が据えられ、楽曲全体としてはABCB'A'というアーチ形式になっています。

2014-03-26 01:12:46
ぱぷりりか @papririka

バルトーク「弦楽四重奏曲第5番」http://t.co/v2RU7iJ9F2 バルトークはこの時期から分かりやすさ、明確さを意識するようになります。過激な不協和音は減り、はっきりとした調性が聞き取れる部分も増えます。それでもなお、バルトークにしか書けない音楽です。

2014-03-26 01:17:33
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ぱぷりりか @papririka

弦楽四重奏曲第5番の第1楽章はやはりソナタ形式で、再現が反行形によってなされたり、提示部とは逆の順序で再現部が構成されるなど、対称性が厳格に形式を規定しています。対となる第5楽章は第1楽章の主題が再帰するほか、主題とその反行形、逆行形、逆行系の反行形全てを使った展開がなされます。

2014-03-26 01:35:01
ぱぷりりか @papririka

弦楽四重奏曲第5番の第2楽章と第4楽章は静謐な緩徐楽章で、互いに変奏の関係になっています。点描的な傾向にある書法はウェーベルンを連想させるかもしれません。第2楽章は「夜の音楽」とされますが特に抽象的で、ほとんど純粋な緊張と弛緩が原動力であるように感じられます。

2014-03-26 01:49:01
ぱぷりりか @papririka

第3楽章はスケルツォ−トリオ的な性格です。中心にあるためにこの楽章は他の楽章からやや独立したような格好をしています。「ブルガリア風に」と書かれているもののそれは拍子のみであり、それ以外の要素はブルガリアとは全く関係ありません。バルトークは民謡を解体して要素を取り出し再構築します。

2014-03-26 01:56:49
ぱぷりりか @papririka

バルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」は必ずと言っていいほど傑作として挙げられる曲です。http://t.co/LKjwxVnswC 弦楽五部は左右に分割して配置され、その間に打楽器群、ハープ、ピアノ、チェレスタが置かれるという特殊編成です。

2014-03-26 02:14:32
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ぱぷりりか @papririka

緩急緩急からなる全4楽章構成で、交響曲に匹敵する規模を持ちます。第1楽章はフーガ、第2楽章はソナタ形式、第3楽章はABCBAの五部形式、第4楽章はほぼロンド形式です。

2014-03-26 02:26:00
ぱぷりりか @papririka

(やれやれ弦チェレについて何を書いたものか)

2014-03-26 02:34:29
ぱぷりりか @papririka

楽曲全体を支配する原理としてアーチ形式は採用されなかったものの、どの楽章にも第1楽章の主題が変形して登場することで全体の統一が図られます。また、厳格な音楽に始まり、特有の緩徐楽章を経て、エネルギッシュな舞曲に終わるという構成は相変わらずです。

2014-03-26 02:41:08
ぱぷりりか @papririka

第1楽章は神秘的なフーガで、主題は五度圏を巡りながら次々と登場します。主題はAから入りますが、続いて完全五度上のE、完全五度下のD、さらにH、G、Fis、Cと五度圏を互い違いに進んでいき、Aの反対側であるEsでクライマックスを迎えます。

2014-03-26 02:46:02
ぱぷりりか @papririka

大変印象的な、しかしエーテル楽器のイメージを完全に剥ぎ取られたチェレスタのアルペジオとともにこのフーガは静まっていきます。Esから再び五度圏をめぐり、Aに消えます。

2014-03-26 02:48:42
ぱぷりりか @papririka

第2楽章はソナタ形式です。しかしこれほどまでに野生的なエネルギーを秘めつつも冷徹な音楽がソナタ形式で書かれようとは。バルトークの音楽は格好良いのです。左右に分けられた弦楽器群の掛け合いが楽しい楽章でもあります。

2014-03-26 02:55:14
ぱぷりりか @papririka

第3楽章は「夜の音楽」です。真夜中の森の中に佇むかのような緩徐楽章は、むしろ情景描写と緊張感の表現がほとんどを占めているのではないでしょうか。技法としてのクラスターはけたたましいカエルの大合唱か木々のざわめきか、フォルティッシモで静寂を表現するために用いられているとも取れます。

2014-03-26 03:15:13
ぱぷりりか @papririka

第4楽章は打って変わってお祭りのようです。「ペトルーシュカ」の広場の場面を連想させるような…。コルレーニョは手拍子、主旋律は踊り手。舞曲を前面に押し出した快活なフィナーレです。

2014-03-26 03:15:47
ぱぷりりか @papririka

バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」http://t.co/jhoaAyBGCd ますます聴きやすさを増していくバルトーク。4人のソロとトゥッティという編成から、コンチェルトグロッソを思わせる場面もしばしば聴かれます。

2014-03-26 03:21:58
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ぱぷりりか @papririka

(アメリカ行けなかった…でも寝よう)

2014-03-26 03:27:20
ぱぷりりか @papririka

バルトーク「ヴァイオリン協奏曲第2番」http://t.co/xfES83CGmY 古典的な3楽章制の協奏曲も、バルトークの手にかかるとアーチ形式に従う変奏曲となります。主題には実に10音から12音が用いられ、バルトークは12音の使用に独自の工夫を凝らしています。

2014-03-26 03:32:23
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ぱぷりりか @papririka

バルトークの「ヴァイオリン協奏曲第2番」もまた高度な技法によって支えられており、古今東西の音楽が詰め込まれているとさえ言われます。ヴァイオリンソロには即興的な要素が求められているように感じます。

2014-03-26 03:36:45
ぱぷりりか @papririka

響きが明るく澄んでゆく傾向にある中、緩徐楽章は「夜の音楽」から”歌”へと変質したように見えます。ヴァイオリン協奏曲第2番の緩徐楽章は変奏曲で、息の長い旋律が様々に形を変えます。

2014-03-26 03:43:30
ぱぷりりか @papririka

すでにお気づきかもしれませんが、バルトークは一連の作品に自身の個人的な感情の発露や政治的な意図の明確な表現などを一切持ち込みません。それぞれの作品は絶対音楽として自立し完結しています。作品の原動力は音と音の力関係がもたらす緊張と弛緩であり、テキストは退けられています。

2014-03-26 11:34:36
ぱぷりりか @papririka

バルトークは大規模で緻密な曲を書く一方で、教育的作品も手がけました。ピアノ向けに「ミクロコスモス」、ヴァイオリンのための「44のデュオ」、合唱は「児童と女声のための27の合唱曲集」。私達はバルトークの音楽を自分で弾いて触れることができます。なんて素晴らしいことでしょうか。

2014-03-26 11:46:06
ぱぷりりか @papririka

ピアノ練習曲集「ミクロコスモス」は、バルトークが息子ペーテルにピアノを教えることをきっかけに生まれました。特に第1巻、第2巻はピアノを始めたばかりの子供を対象に想定していますが、その内容はまるで音楽史を俯瞰するかのようです。「ミクロコスモス」に学べば近現代音楽への扉が開かれます。

2014-03-26 11:52:26
ぱぷりりか @papririka

「ミクロコスモス」は”練習曲集”といえど、”小品集”としても大変充実しています。つまり、単に機械的な練習ではなく音楽的表現にも妥協がありません。(特に第5巻以降は)コンサートで演奏しても良いような作品として書かれています。

2014-03-26 11:58:45
ぱぷりりか @papririka

ヴァイオリンのための「44のデュオ」も練習曲集であると同時に立派な小品集で、しかもほぼ全てのメインテーマが民謡から採られています。ヴァイオリン2挺だけという編成ゆえ旋律主体であり、自由自在な和声が書かれていることが特徴です。特に第1集はヴァイオリン初学者でも楽しめます。

2014-03-26 12:07:13
ぱぷりりか @papririka

バルトークのこうした練習曲集の他、民謡編曲作品の多くはむしろ比較的易しく書かれており、ピアノで弾いたりあるいは編曲して演奏したりと、自分の手で弾いて楽しむことができます。

2014-03-26 12:12:08