「デカルトが座標を導入した」はホントかウソか?

要約:デカルトがフェルマーとともに、座標幾何、解析幾何の創始者の称号を持つのは確かなようだが、「座標」についてはどうかとなると、「座標」という用語自体の国、言語による概念の違いもあり齟齬が生じているようである。 今後の課題:デカルトの他の著書や書簡の検討。
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Rintaro N. @qu_cerca_trova

これがデカルトの1637年本の該当部分らしい。http://t.co/zu6KO931yV ざっと読んだ所、確かに世間で一般に言われている、座標系=デカルトは言い過ぎな気も。

2014-03-09 16:49:03
Rintaro N. @qu_cerca_trova

「幾何学的な問題の解決に(代数的な)計算を導入;それはデカルト座標系の誕生。」というこのページの評価は正統なようにも思える。記事を書いているのはフランスの Henri IVとLouis-le-Grand高校で教えていて、本も何冊か書いているAndré Warusfel氏らしい。

2014-03-09 16:58:31

この「該当部分」は核心部ではあるが、他にも大事な部分はあり、全体はこちら。
http://www.bibnum.education.fr/sites/default/files/binder2.pdf

「幾何学的な問題の解決に(代数的な)計算を導入;それはデカルト座標系の誕生。」の原文の引用
700ページの論文のレジュメという位置付けの文として書かれているらしい。
Résumé
Descartes introduit le calcul dans la résolution des problèmes géométriques ; c’est la naissance des « coordonnées cartésiennes ».

広範囲に渡って議論されている論文だが、デカルトと(狭義の)座標について纏まっている部分は以下の通り。

=====
L’usage systématique des coordonnées n’est pas la méthode restreinte aux mathématiques : c’est tout au plus une technique particulière dans le domaine de la géométrie, puissante mais qui n’a pas à occuper la première place dans sa construction d’une nouvelle science.

Nous verrons dans la suite de ce travail que cette découverte fut capitale pour lui permettre, au moins à l’aune de ses espoirs trop gourmands, de résoudre définitivement le dernier problème majeur des mathématiques connu à son époque : la résolution des équations algébriques. Ce sera de cela qu’il sera très fier, et de sa résolution des Problèmes de Pappus, mais non du bond en avant conceptuel que représentait ses couples (x, y).

デカルトにとっての大きなテーマは(x, y)形式の表記ではなく、パップスの問題などを代数的手法で解くことにあったとのこと。

デカルトとパップスの問題については日本語でこちらの資料が詳しい。

カポネくんのページ:http://www12.plala.or.jp/capone/より
「解析幾何学の起こり」http://www12.plala.or.jp/capone/History_Math_12_B5.pdf(PDF)

Rintaro N. @qu_cerca_trova

ジオットはルネサンスか?みたいな話かも、と一瞬思ったけどそれは安直にすぎるかも。こういう古いフランス語、音楽でも(デカルトも音楽書書いているけど)読む機会はあって少しずつは慣れているものの、やや難しい。

2014-03-09 21:46:50
Rintaro N. @qu_cerca_trova

デカルトと音楽の資料 ・一七世紀科学革命と音楽 一デカルト研究者の視点から 平松希伊子 http://t.co/EmQk4tIcaK ・デカルトの≪音楽提要≫ Compendium Musical de Descartes 石井 忠厚 http://t.co/KBPru3SFyb

2014-03-09 21:49:44

↑本題には関係無いです。

Rintaro N. @qu_cerca_trova

デカルト座標はデカルト起源か?という件だが、デカルト座標の仏語圏と英語圏の用法の違いも齟齬の原因の一つなのかも。仏語では必ずしも直交座標に限定せず用いられることがしばしばあるのに対し、英語では直交座標で用いられることの方が多そうな気が。統計取っていないのだけど。

2014-03-10 14:26:52
Rintaro N. @qu_cerca_trova

両者のウィキペディアが特徴的で、仏語ではデカルト座標の特殊なケースの1つが直交座標(ただしこれもデカルト座標と呼ばれることがあると注がついている)という書き方なのに対し、英語では直交座標の一般化として斜交座標が紹介されている。

2014-03-10 14:29:26

※ フランス語の文章では「デカルト座標」と書く時には多くの場合、それが直交座標に限定されるのか、斜交座標も含むのか注がつく場合が多い。多くの場合は、斜交座標も含む。直交座標に限定するときは、repère orthonorméという語が用いられることが多い。

Rintaro N. @qu_cerca_trova

そういった背景もある程度考えるべきだけど、一番に検討すべきは中身かな、やはり。 デカルトのLa géométrieの現代語版 http://t.co/TynulxHN0O André Warusfel氏による分析(700ページ) http://t.co/3L06geVi5V

2014-03-10 15:32:21

このデカルト本の解説ページ(フランス語)も、現代の表記との違いなどを説明していて参考になる。
http://debart.pagesperso-orange.fr/geometrie/geom_descartes.html

Rintaro N. @qu_cerca_trova

フランスの高校1年生向けの座標平面の導入テキスト。ベクトル空間的なアプローチで斜交座標、縦横で目盛りの異なる直交座標、普通の直交座標が紹介されてから、(x, y)表記の説明。http://t.co/7RLj21SUYh http://t.co/vCu6SNxQmQ

2014-03-23 23:46:11
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Rintaro N. @qu_cerca_trova

座標は何かという話をするときに仏の教育と日本の教育とで背景知識は随分異なるはず。あと、英語では時代とともにabscissa, ordinate(横座標,縦座標)から「座標軸」へと用語が変遷したらしいが、フランス語では現在もabscisseとordonnéeが主流。

2014-03-23 23:56:36
Rintaro N. @qu_cerca_trova

デカルトは直交座標も負の座標も(x,y)という書式も発明はしなかったが、座標の考えの大元を作ったと言える。もちろん一人の業績では無いが。 http://t.co/z2vid83egG http://t.co/2S8Lt0Prj3 http://t.co/vPctfPExAQ

2014-03-24 00:22:32

数学の文化史 モリス・クライン (著), 中山 茂 (翻訳) http://goo.gl/CDEuLJでは「デカルトが数学から抽出し一般化した方法は、再び彼によって数学に応用された。そして新しい曲線の解析表示の道の創始に成功したのである。この創始は、今日座標幾何として知られ、あらゆる近代応用数学の基礎をなすものである。」とデカルトの功績を評価し、またフェルマーについても「彼(デカルト)とは無関係に座標幾何を発見した」と評価している。

どのような経緯で座標幾何が必要とされたか、その後どのような展開があったかの解析も重要で、それはデカルトの著作等をみているだけでは出て来ない。歴史の流れの中での評価が必要で、「数学の文化史 クライン/中山」は重要な著作。

光学、軍事、芸術、天文学、パップスの定理を始めとする射影幾何的な問題などの為に様々な曲線の解析への需要が高まっていたデカルト、フェルマーの時代には(x,y)という表記よりも、幾何と代数の融合が優先されたと考えられる。ただ、それが単なる曲線論のようなものに留まらず、座標幾何の創始と評価されるのは、unité(単位長)と原点の概念の導入が決定的と考えられる。(x,y)式の座標表記についてはデカルトは触れていないために、その起源をデカルトに求めることができるかどうかについては直接的な議論が難しいが、上でも紹介したAndré Warusfel氏の論文http://igmaths.org/spip/spip.php?article29ではその論点に多く触れている。またデカルトが負の座標について考えを持っていたかについても一応は触れているが、"Le problème des coordonnées négatives vit-il encore?"という項目タイトルからも、"Savoir à partir de quelle époque les coordonnées négatives ont été reçes comme parfaitement banales est un sujet difficile."という本文からも、この議論自体に意義を見出していないことを読み取ることができる。

参考図書(日本語)

幾何学 (ちくま学芸文庫)
ルネ デカルト (著), René Descartes (原著), 原 亨吉 (翻訳)
http://goo.gl/HDXhPk

デカルトの数学思想 (コレクション数学史)
佐々木 力 (著)
http://goo.gl/YWsV2p

数学の文化史 (KAWADEルネサンス)
モリス・クライン (著), 中山 茂 (翻訳)
http://goo.gl/CDEuLJ

はじめからの数学 幾何学 空間と形の言語(青土社)
ジョン・タバク(著) 松浦 俊輔(訳)
http://goo.gl/1McxlZ

コメント

nekosencho @Neko_Sencho 2014年7月29日
地図や海図だと、もっと前から緯度経度を描いたものがあった気はするけど、あれは座標扱いになるんだろうか
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Rintaro N. @qu_cerca_trova 2014年8月26日
Neko_Sencho それは難しい問題だと思います。きっと順序付きの数の組で場所を特定することの歴史というのは自然発生的になりすぎて系統的に述べるのが難しいと思います。解析幾何とのつながり、代数と幾何の融合など、数学史の文脈で語るしか無さそうに感じています。
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