ゴールドラッシュ・オブ・ザ・デッド #03
「あ、ごめん。ちょっと質問」 ウィルは空気を読まずに挙手してみた。 「なんだ、オイ!? 役立たずの人質はプルプルしてろ、この変態彼氏が!」 「いや変態でも彼氏でもないんだけど……さっきから話に出てる、その黄金の銃弾? って何?」 25
2014-03-28 17:42:50子供の頃に聞いたことがある気もするのだが、いかんせん昔のことなのでよく覚えていない。置いてけぼりになるのもアレなので、思いきって訊いてみた。 26
2014-03-28 17:43:07「そんなことも知らねえのか!? 黄金の銃弾ってのは対フライングデッド用の奇跡の銃弾のことだ! 奴らに銃は効かねえが、黄金の銃弾の一撃だけはお話が別だ! 黄金の銃弾はゾンビの不死を無効化する!」 27
2014-03-28 17:43:18「つまりアタシら開拓者がゾンビ共を斃せる唯一の武器、それが黄金の銃弾なんだよ! 分かったかこのスカポンタン! ケツの穴に弾丸ぶち込んでガタガタ言わすぞ!?」 「え!? フライングデッドの不死を無効化する銃弾!? そんなものがあったのか……っ」 28
2014-03-28 17:43:32目から鱗だった。開拓者の知識や常識が七歳で止まっているので、仕方ないと言えば仕方ないのだが、 「そんなものがあるなら俺、隠れ里で修業なんてしなくてよかったんじゃ……」 29
2014-03-28 17:44:00ショックで途方に暮れそうになる。が、黄金の銃弾がそこまで便利なものならば、開拓者がジリ貧に追い詰められるはずもない。 ソフィアと女頭領の話にあるように、誰にでも扱えるものではないのだろう。 それよりも、一つ分かったことがある。 30
2014-03-28 17:44:23「つまり、強盗団の仲間がフライングデッドに襲われていて、女頭領の人はそれを助けたいんだな?」 「な……っ!?」 驚いた顔をする女頭領。ウィルは続いてソフィアの方を向く。 31
2014-03-28 17:44:41「ソフィア、この人たちは敵じゃない。君が守るべき開拓者の仲間だ! 彼女たちは今、フライングデッドの脅威に脅かされている。騎兵隊の君の出番だ!」 「な、何言ってやがる! テメエ、ふざけてんのか!?」 32
2014-03-28 17:45:23「……ハア。ま、そんな気はしてましたけど」 「な、なにぃ!? そんな気がしてたとはなんだ、女ガンマン!?」 ブロンドの髪を梳いて、彼女は嘆息。 33
2014-03-28 17:45:55「黄金の銃弾を奪ったんなら、溶かして延べ棒にでもしようとするのが普通です。それを銃弾のまま使いたいというなら、理由なんて一つしか考えられない。……仕方ないですね。降伏するというなら話を聞いてあげます」 34
2014-03-28 17:46:15「このまま続けても結果は見えてますし、幸か不幸か、今あなたの目の前にいるのは、対フライングデッド戦の専門家ですよ?」 「む、むう……っ」 35
2014-03-28 17:46:34気圧されるように呻くと、女頭領は倒れた部下たちに目を向ける。 そしてしばらく迷うように沈黙した後、女頭領――先ほどケヴィンと名乗った彼女は話し始めた。 36
2014-03-28 17:46:51