映画「家族の灯り」の原題は「ジェボの影」。ラストの選択は、父親ジェボは悪人である息子を自分の影、つまり自分自身の姿であることを認めたことによるのだと思う。息子の盗みはある意味、父親から搾取された金を取り返したともいえる。
2014-03-31 14:19:28「家族の灯り」(オリヴェイラ監督)は4月4日金曜日まで!!!おススメです。学生は最終回1200円。月~土:11:30(~13:10)/14:00(~15:40)/16:30(~18:10)/19:00(~20:40)神保町・岩波ホール
2014-04-03 05:37:00(1)「家族の灯り」は、20世紀初頭のポルトガルが舞台。年老いたジェボは帳簿係をして、家族を養っている。仕事を持ち帰って働くも、生活は貧しい。質素で単調な毎日を送っている。楽しみは、コーヒーを飲みつつ近所の友人たちと語らうことだ。 #家族の灯り
2014-04-03 08:00:00(2)この語らいの場面が、とても好きだ。美しいランプの灯りを囲み、芸術や人生について、おしゃべりをする。ジャンヌ・モローはいたずらっぽい目で軽妙な相槌をし、シンドラは笛を吹く真似をしながら歌う。カルディナ―レの飲むコーヒーは、とくべつにおいしそうだ。#家族の灯り
2014-04-03 08:00:21(3)この映画のなかの人は、本当によくコーヒーを飲む。20世紀初頭、ポルトガルは植民地ティモール(1974年に放棄)で、コーヒー豆の巨大プランテーションを展開していた。彼らの飲んでいるコーヒーは、植民地で作られ送られてきたものだと考えられる。#家族の灯り
2014-04-03 08:01:03(4)つまり、この人たちは植民地で作られたコーヒーを飲みながら、自分たちの貧しい生活に、何か良い変化が訪れることを期待しているのだ。そして、その変化は、植民地政策と同様、誰かを犠牲にすることでしか、実現しない。そういうシステムが、コーヒーのある風景によって見えてくる。#家族の灯り
2014-04-03 08:01:25(5)ジェボの妻ドロテイアは「他の人たちを見てよ。お金を稼いで幸せになってる」と、夫をなじる。「ジョアンは貪欲に生きている。そこは私に似たのね」と、行方知れずになっている息子ジョアンを評価し、戻ってくることを夢見ている。ジョアンは、ドロテイアの希望であり、期待なのだ。#家族の灯り
2014-04-03 08:02:01(6)だが実際は、ジョアンは犯罪者になっている。そして、そのことを、父親も息子の嫁も、母親に言わない。ドロテイアが泣こうが、なじろうが、息子の現在を、徹底的に秘密にする。なぜなのか。#家族の灯り
2014-04-03 08:02:32(7)それは、息子がドロテイアの希望そのものだったからでは。ジョアンは母親の夢の代行者として、家を飛び出し、金を求める犯罪者となった。「すべて話して。私は母親なんだから」とドロテイアは言うが、息子は答えない。夢が破綻していることを、母は受け入れないと知っているのだ。#家族の灯り
2014-04-03 08:03:36(8)結局、帰ってきたジョアンは、再び行方をくらます。父親が会社から預かった大金を持って。彼はこの盗みが、父親と家族を窮地に陥れることを知っていただろう。それでも、彼はこの犯罪をやってのけた。とんでもないやつである。#家族の灯り
2014-04-03 08:05:30(9)だがある意味、ジョアンは父親が受け取るべきだった金を、会社から取り返したとも言える。この大金は、ジェボのような「誠実にやってきた」人間を、搾取してきたことによって、生まれたものだからだ。(もちろんさらにその下には、植民地の人々がいる…。)#家族の灯り
2014-04-03 08:06:07(10)ラスト、父親ジェボはある決断をする。感想をみていると、この決断についての評価が割れている。唐突だと思う人もいるし、甘い家族愛だと思う人もいる。私も最初、「それって息子を本当に愛してることになるのか?」と思った。色々みんなの考え解釈をきいてみたいポイントの一つ。#家族の灯り
2014-04-03 08:07:38(11)前にちょっと書いたけれど、ラストについて今は、「ジェボは、ジョアンという影法師を直視したのではないか」と思っている。金という豊かさを求める気持ちは、息子のものであり、母親のものであり、そして自分自身のものだったとわかったのではないか。#家族の灯り
2014-04-03 08:08:41(12)ジョアンは「魂を持った犯罪者もいれば、持たない善人もいる」と言っていた。ジェボは誠実生きること、正直であることを重んじてきた。息子ジョアンとは正反対だ。だが、ジョアンとジェボは、表裏一体だった。ラストの決断は、そういう意味だったのではないだろうか。 【終】#家族の灯り
2014-04-03 08:10:49ネタバレってどの程度までかわからず、ちょっと心配だけど、ちょっと感想を呟いてみました。会話中心の室内劇だけれど、見所だくさんの、さまざまに解釈できる魅力的な映画だと思う。公開終了まで時間がないけれど、ぜひ観てほしいし、感想がききたいです…( ・_ゝ・) #家族の灯り
2014-04-03 08:19:18ホントしつこいけど回し者ではありません。「家族の灯り」(オリヴェイラ監督)は4/4金まで!!!学生は最終回1200円。11:30(~13:10)/14:00(~15:40)/16:30(~18:10)/19:00(~20:40)神保町駅・岩波ホール #家族の灯り
2014-04-03 08:31:52