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被告人意見陳述
斎藤環氏の感想
黒バス脅迫事件の被告が書いた文章を遅ればせながら読んだ。犯行動機や人生格差犯罪という表現は珍しいものではないが、ここまで予防的に自己分析を徹底して見せた犯人は珍しい気がする。「自分がだめなことは自分自身が一番よく知っている」という形式で維持される自傷的自己愛。
2014-04-06 22:47:56この文章が他罰的にみえるか自罰的に見えるかで、ひきこもりや生活保護に対する態度が変わってくるような気がする可能性を必ずしも排除しない。
2014-04-06 22:48:23失う物が何もない人、すなわち「無敵の人」がこれから増える、というのは確実だろう。地位も名誉も、家族も恋人も友人もいない。失って惜しい仕事もない。そもそも「ひきこもり」や「ヤングホームレス」の人々がまず最強に無敵だ。
2014-04-06 22:48:44だから言っておくけど「無敵の人」がみんな犯罪に走るわけじゃない。これを認めたら、14年前の「ひきこもりは犯罪者予備軍」の反復になる。無敵の人にとって最大の敵は常に自分自身なので、他罰に向かう人は少数派だろう。
2014-04-06 22:49:03彼は自殺の決意を何度も語ってみせる。これは自他に向けての「説得」だ。決意くらいじゃ死ねないから、宣言したり約束したり、決行せざるを得ない状況を無理やり作ったりするのがネット心中(それでも未遂が多いとか)。迷わずに死ねる人はほとんどいない。
2014-04-06 22:49:26僕の予測では、彼は誰かの「死なないで欲しい」の一言に、案外抵抗できないと思う。なんなら僕がそう言ってもいい。彼はそういう相手を容易に論破するだろう。死にたい論理は最強だから。それでも死ぬことは簡単じゃない。
2014-04-06 22:50:00無自覚なのかどうか、彼は文中で希望を語ってしまっている。「若い被留置者と話していて『こんなにかわいい弟がいれば、自分はやらかしていなかったろうな』とか『こんなに明るくて、カッコ良くて、ノリの良い友人が子供の頃にいたら、自分の人生も違っていたろうな』」とね。
2014-04-06 22:50:20彼の絶望と悪意は幸いにして、そんなに根が深くない。大切なパートナーがみつかったり、みんなと気楽なお喋りをしたり、そういうちょっとした、でも長らく縁がなかった経験さえ重ねられれば、そんな悪意は乗り越えられる。そのことを「自分自身への裏切り」と感じる必要はない。
2014-04-06 22:51:05僕はそうやって変わっていった「無敵の人」を何人も知っている、と思う。だってひきこもりの専門家だもの。僕はひきこもり経験のある犯罪者が、服役体験を経て「良くなった」ケースを知っている。合法的に対人関係を強制される経験が、そのまま治療になったのだ。
2014-04-06 22:51:30ここで重要なのは「強制」のほうじゃなくて、合法性と必然性。罪の意識を持って他人と関わることが、社会参加のきっかけになるということ。このタイプの犯罪に39条を適用すべきではないと強く思うのは、免責こそが最悪の罰(というか辱め)になり得るから。
2014-04-06 22:52:30服役体験が最初の社会的包摂になるケースは、今後多少は増えるかもしれない。そうなる手前で防ぐべきなんだろうけど、現実的には、少年院や刑務所が治療的環境になり得る人々が少なくない、という認識を広げるほうが先なのかも。
2014-04-06 22:53:28