さぁ僕が考えた熊の話をしよう。

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

ヘペレという作品 久々に刷った 。しかし今日整理したら三分の一カムイ(羆)でした いろんな表現してきたなぁ http://photozou.jp/photo/show/1036060/55056391

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

さぁ僕が考えた熊の話をしよう。あるアイヌのフチに「アレスカムイ」という話を聞いて作りました。アレスカムイとは私達育てた神という意味です。でわ始めます。

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

あれはまだ私が蕗の葉っぱに背が届かなかった頃の話しです。蒼暗いところで母のオッパイを呑んでいると母が「さぁヘペレ外の世界へ行きましょう」と言いました。「外の世界」と僕が聞き直すと

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

「外の世界」と僕が聞き直すと母は「明るくていろんな生き物がいて美味しい食べ物がたくさんありますよ」と言ったけれど僕には見たことないから思い浮かばなかったけれどなんかワクワクしてきた

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

母は僕をオッパイからどけると「ついておいで」と言って 四つん這いで何かを登り始めた。僕はおいてきぼりをくわないように母の足にしがみつきました。だんだんと僕の周りは明るい蒼になり

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

なんか嗅いだことのない臭いに包まれました、僕は母の足からずり落ちてしまいモタモタしていると母が一瞬居なくなりました。「どこぉ？母さんどこぉ」と泣いていると目の前に白い白い光が広がり僕の目に触ってきました

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

「まぶしい」と声をあげたら、その白い白い光の中から「ヘペレおいで」と母さんの声が聞こえました。よく目を凝らして見ると母さんが心配そうな顔をして此方を見ていました

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

僕はその光の方に向かって泣きなから「ごつごつ坂道よいしょよいしょ、やわらか母さんあっこあっこ」という歌をうたいながら一生懸命のぼりきると白い白い光の大きな世界がそこにありました

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

暗い世界と白い白い世界との真ん中に大きな木があり、その根本の小さな穴が今までいた蒼暗い世界のようです。そこから僕が顔を出すと母さんは「ここへおいで」と熊笹のたくさん生えた場所から僕に言いました。

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

いい臭いとたくさんの色、白い白い光は暖かい。足元には何か白いものがあちこちに、それに触って見ると「しゃっこい」と声が出るくらい冷たい。「それは雪というものよ、やがて全部溶けてあたり一面みどり色の世界になるのよ」

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

君の中に僕はいて僕の中に君がいるヘペレ へ http://photozou.jp/photo/show/1036060/55181335

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

(ヘペレ続けます)と母さんが言っていた。「どんなに綺麗な感じだろう」と母さんに言うと「来てみないとわからないわよ」というので穴を這い出てみようとした瞬間

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

僕はまっ逆さまに転げ落ちた「いったぁ？くない」春の土はブヨブヨで柔らかい。母さんは笑っていた。「なんて広いんだろう」と辺りをみまわすと頭の上に青い世界が広がっていた。青い世界のど真ん中に金色の光をくばる神様がいた

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

暖かいその金色の光を貰うとなぜか元気が湧いて来た。すると僕の目の前を白いヒラヒラしたものが鼻をかすった「母さんなにこれ？」というと「紋白蝶よ」と返してくれたが僕には「おもしろ蝶と聞こえた「おもしろ蝶、おもしろ蝶」って言いながら追いかけてみた

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

「あまりはなれないでね」蝶々を追いかけるぼくに母さんは言った「楽しいよ」僕は転げ回ったり走りまわったり、木登りしたり たまに母さんの方を見ると母さんは真剣な顔で周りをキョロキョロしている

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

僕は背中が痒くなって白樺にこすりつけたりしている、白い白い世界いや緑や青や金色の世界は広くて楽しいよ、そんな僕を心配そうに母さんは眺めている、そこへまたさっきのおもしろ蝶がやって来た。「アッチへ行ってみる」と僕が言うと

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

「待ってヘペレなんか人間の臭いがするような…」と母さんは言ったけど鼻を高くして嗅いでみたが草の臭いしかしなかった。「ヘーキヘーキ」と僕はおもしろ蝶を追いかけた『人間ってなんのことかな』僕はよくわからなかった

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

おもしろ蝶は仲間の蝶々に出会い楽しそうに高い所を飛んでいった「つまんないの遊んでくれないのか」僕は急に淋しくなり、母さんを振り返って見たら居ないので慌ててさっき来た道へ走った

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

母さんは立っていた「母さん」と言って抱きつくと母さん僕の上に覆い被さった、「母さん重いし暗いよぉ」と言ってズリずり這い出るとなんか眠そうな目をして倒れたまま僕に小さな声で話しかけた

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

「ヘペレよぉく聞いてください、お前に話してないことがあります、この世界には人間という生き物がいてとても賢い者たちがいます。山で生きるモノにとって覚悟を決めなくてはならない事がある

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

この人間という生き物を生かす為に私たちは体の肉や皮を差し出さなくてはならないというやくわり…」母さんは小さな息になっていった「母さんどうしたの眠いの」僕が聞くと

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

「後からアイヌという生き物が来ます。そのアイヌが私の事を粗末に扱ったらヘペレは逃げなさい、しかし丁寧な言葉と感謝をしてくれてるようなら…ヘペレそのアイヌに着いてゆきなさい」

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

母さんの息には止まった。僕はオッパイをまさぐったがいつものようにあのドックンドックンという優しい音は聞こえない「母さん母さん母さん」何度も叫んだ

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

僕が泣いていると不思議な事に母さんの耳と耳の間から雪解けの湯気のような母さんが出てきた。「母さん」僕が言うと、湯気のような母さんは僕に向かって歌を歌ってくれた穴の中で聞いていたあの歌を

熊穴ファンタ爺ゆうきこうじ @kuma0423

銀の心は山に置いて、金の心はヘペレに置いて…銀の心は…山に置いて、金の心はヘペレに置いて という歌を歌いながらあの金色の光のある空にゆっくりゆっくりあがって行きました