- repunkuratuy
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その次に出てきたのは、顎に長い白いモノをぶら下げたしわしわの人間だった。今度は私を抱えている人間が丁寧に「エカシ(長老)ただいま着きました。立派なカムイが山で私達に命を捧げてくれました
2010-11-05 21:24:15とても雄壮にゆっくり倒れ、私達は誰しも怪我する事なく狩りができました」するとエカシと呼ばれた白い顎の人間は「うむっ、キチンと感謝を捧げてきたか」と言い
2010-11-05 21:28:58私を抱えた人間は「はいっ」と答えていた。私は懐から覗き込んでいたけれど、またあのおもしろ蝶々の時のようにどうも白い長いものが気になり?ついつい手でソレを触ってしまいました
2010-11-05 21:33:09エカシは「アチカラホイイテテっなんだべなんだべ」と言って大きな声を出しました。するとミチィと言われる僕を抱える人間は「すみません伝え忘れてましたが
2010-11-05 21:36:38カムイにはコッコが居たので、連れて帰りました」と白い長いヒラヒラに絡まった僕の爪を外しながらエカシに言うと「たまげたなぁ」と笑いながら白い長いものを大事そうに撫でていました
2010-11-05 21:41:15小さな人間でポンムィと呼ばれた人間は「見せて見せて」と何度も言ってるうちに たくさんの人間があっちこっちのカタマりの中から「お帰り」とか「ご苦労様」とか言いながら集まって来ました
2010-11-05 21:45:24僕はたくさんの人間達に撫でられたり抱っこされたり、小さな人間達も集まって僕を代わる代わる覗いて行く。「いやいゃめんこいこと言いながら。
2010-11-05 23:31:56僕はその村と言われる中でも一番大きなチセ(家)と呼ばれるカタマりの中に入った。広くて暖かい場所だった。ミチィと呼ばれる人間は懐から僕を出した
2010-11-06 22:51:26僕はなぜかチセの中を走り回った。ハポ(母)って小さな人間から呼ばれる、人間が「メンコイなぁ」と言って暴れている僕の首のところを持ち上げ「お腹が空いてるの」と言って母さんのように
2010-11-06 22:57:02お乳をくれた、なんかとても母さんの臭いに似ていて僕は夢中で飲んだ、するとポンムィと呼ばれる人間は「ハポ。へんなの」と言うと
2010-11-06 23:01:25「変じゃないよ、ポンムィ。私のおばぁちゃんもこうやってお乳をあげてたのよ」と言っていた。ポンムィはじっと僕を見ていた、見るなよって言いたいけれど、人間の言葉が話せないから我慢した
2010-11-06 23:20:21お乳を飲んだあと僕はまたチセの中を走り回った。ポンムィもいっしょに走り回った。ミチィは笑っていた。ハポも笑っていた。広いなぁ広いなぁチセは広くて楽しいなぁ
2010-11-07 08:31:24と走り回っていたら『ヘペレ、ヘペレ』と僕を呼ぶ声がした、ミチィを見てもハポを見てもポンムィを見ても僕に話しかけてない『誰っ』と言うと
2010-11-07 08:35:31チセの真ん中から聞こえてくる。あの山でも見たユラユラの紅い温かい所から声がしたんだ。僕がジィーっと見ていると『ヘペレ私はアペというカムイだよ、このチセの中にいる火の神だよ…
2010-11-07 08:41:25人間には、私の声は聞こえないんだよ。私は人間の声を沢山の神々に伝える力を持ってます。私は人間たちがこうやって生きていく、最初の時代から共に生きてきたのだ…
2010-11-07 08:47:13人間のことなら何でも知っているわからなくてこまる事があったら私に聞きなさい、あと私の側にいたら人間の言葉もわかるようになるよ』と言いました。じっと見ていると
2010-11-07 08:52:40ユラユラは、優しい顔の女のひとに見えてきました。僕がじっとしているとポンムィが「僕といっしょにモコロ(寝ましょ)モコロしよ」と言いました
2010-11-07 08:57:17僕はミチィの懐でたっぷり寝ていたから眠れなかった、隣でポンムィは小さな寝息をたてていた。僕が寝返りうつとアペカムイがユラユラ笑ってた『眠れないのかいヘペレ』僕はうなづいた
2010-11-07 10:28:52『母さんの事を思い出しなさい』とアペカムイは言った、僕は山の穴の中での沢山話してくれた母さんの言葉を思い出していた。自分達熊は、強い生き物だけどソレを自慢してはいけない
2010-11-07 10:33:09強さを自慢すると他の生き物がいちいち逃げちゃう事や木の実は丸呑みするとそのまま出てくるからまた大きな木になる事や、沢山の話を思い出していた。するとアペカムイは
2010-11-07 10:37:46『ヘペレ、今から母さんの声をお前に届けよう』僕は起き上がりアペカムイを見ているとユラユラはゆっくり渦をまき、煙は静かに大きく立ち上がった。びっくりした事に白い母さんがそこにいた
2010-11-07 10:42:06母さんは僕に向かって『ヘペレお利口さんだね、母さんは月からずっとヘペレを見ていたよ。ヘペレ母さんが言うことをしっかりきいて欲しいのだけど、できるかな』と言ったので僕はうなずいた
2010-11-07 10:46:13『ヘペレお前に教えてあげる事が少なかったので、他のカムイ(羆)のようにお前はキムン(山)のカムイとしては生きられないの、山には悪いものもいるから小さなヘペレをいじめる生き物もいるしね
2010-11-07 10:51:08僕は考えた、そして母さんは『お前はキムンカムイと呼ばれずアレスカムイ(人間育てたカムイ)になるのよ、私達キムンカムイも私みたいに人間を生かす為に肉体を捧げる役を担うカムイとなるものもいるけれど
2010-11-07 10:57:39たいがいは山で生きる。お前を可愛いがってくれるアイヌたちのもとアレスカムイとしての生き方をするのですよ』と言うと煙は消えてしまった
2010-11-07 15:00:38