【第二部-八】止まらない血の滾り #見つめる時雨

夕立×時雨
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とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「最近は落ち着いてたけど…いつかはまたこんなことになるんじゃないかなって、予感はあったんだ。でも大丈夫。僕が傍にいてあげるから…」 時雨が夕立の髪を…そっと撫でた…。 「…好きだよ、夕立。だから、一人で抱え込まないで…」 …時雨が、言ってくれた。好きって…。

2014-04-08 01:15:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…でも、こんな形で聞きたくなかった…。だって、その言葉は夕立を助けるためでしょ? 夕立の気持ちを知ってるから、少しでも夕立の罪悪感を減らそうと思って、そう言ったんでしょ? そんなの…違うよ…。違う…。 「時雨…ごめんなさい…ごめんなさい…」 自分の中のこの衝動が、憎い…。

2014-04-08 01:20:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…きっとこの戦いが終われば…夕立のその衝動もなくなるから…ね?一緒に、頑張ろう…」 仰向けになっている時雨の胸に抱き寄せられた。…夕立、多分初めて…こんな戦い、早く終わってしまえばいいのにって、思った。…うん、夕立、頑張る…。でも…時雨はこんな頑張りいらない…!

2014-04-08 01:25:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「ダメ…時雨は、そんな夕立に縛られるようなことしちゃダメ…!」 「縛られるだなんて…そんな…」 首を振る。時雨の言葉を否定する。 「夕立のこれは…夕立が何とかする。時雨に助けて欲しい時もあるかもしれないけど…でも、それだけ。…夕立を助けるために…好きだなんて、言わないで…」

2014-04-08 01:30:25
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「そんなの…嬉しくもなんともないっぽい…。ただ辛いだけ…。だから…」 涙がまた、流れて落ちた。時雨の指が、夕立の目尻の涙を…掬うように撫でた。 「…ごめん、夕立…僕は…」 「…ううん…気持ちは嬉しいっぽい…。夕立のこと、大切って言ってくれた…助けてくれた…。そこは嬉しい…」

2014-04-08 01:35:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

時雨の胸に頭を預ける。…気づいたら、だいぶ楽になってた。…時雨のおかげ、っぽい。 「…もしまた夕立がこうなっちゃったら…少しだけ、時雨を頂戴…。今は、それでいい…」 「…夕立が、それでいいなら、僕は…いいよ」 時雨は夕立の頭を撫でながら、言ってくれた。

2014-04-08 01:40:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「えへへ…これって、身体だけの関係ってやつっぽい…?」 夕張から借りた本にあった言葉を引用する。言葉の響きに、ちょっとドキドキした。 「…変な言い方しないでよ…もう…」 「うん…うん…」 時雨の胸に頬ずりをする。柔らかい…

2014-04-08 01:45:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…そうだ。 「時雨…もう一回、キス…してもいい?」 「…うん。いいよ」 時雨が身体を起こし、夕立に顔を近づける。時雨の少し紅潮した顔が、夕立の目に映る。…時雨に、身体を近づけた。やがて唇が、触れ合う。 「…ん…ふ…」

2014-04-08 01:50:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…ゆっくりと、口を離す。…ちょっと思ってたのとは違ったけど…でも、嬉しい。…夕立のファーストキス、時雨にあげられたよ。 「…もう大丈夫? だったら、そろそろ部屋に戻ろう。風邪引いちゃうよ」 「…うん」 時雨の手を借りて、立ち上がった。

2014-04-08 01:55:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

こそこそと二人で廊下を歩く。その間、夕立はずっと時雨の腕に抱きついていた。時雨は少し恥ずかしそうにしてたけれど、気にしない。そうして…何かが満たされた気持ちと、どこか寂しい気持ちを感じながら、いつもの毎日が待つ、部屋へと向かった――

2014-04-08 02:00:23