大阪大学助教授赤尾光春氏インタビュー第1部

ウクライナ政変の底流としてある反ユダヤ主義の実像に迫る
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IWJ 実況ch1 @IWJ_ch1

1.3月23日(日)に行われ、昨日4月7日20:00から再配信された、岩上安身による大阪大学助教赤尾光春氏インタビューの第1部を報告ツイートします。ユダヤ学がご専門の赤尾氏に、ウクライナ政変の底流としてある反ユダヤ主義の実像に迫るお話をうかがいます」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:47:49
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2.岩上「ウクライナ政変。当初の民主的な抗議行動から、極右や過激派を中心とした勢力による政権打倒までが第1幕。その直後にロシアがウクライナ南部のクリミア半島に介入し部隊を展開させる一方、ロシアへの編入が住民投票で承認されました。ここまでが第2幕」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:48:37
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3.岩上「そして今、第3幕に入ろうとしています。ウクライナにはウクライナ系とロシア系の住民が住んでいる。それから重要なのは、ユダヤ人が多く住んでいて、しかも反ユダヤ主義が勃興した時期があること。今度の政変には反ユダヤ主義を標榜する極右の存在があります」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:50:24
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4.岩上「赤尾さんはユダヤ学がご専門」。赤尾「もともとロシア文学から入り、東欧やロシアのことを研究するうちにユダヤ人の圧倒的存在感に魅せられました。ユダヤ人作家に関心を持つようになり、それで本格的にユダヤのことをやり始めたわけです」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:51:17
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5.岩上「今回の政変は現代の出来事ですが、ウクライナにはウクライナ系とロシア系住民が混在し、反ユダヤ主義を掲げる極右勢力の存在など、ユダヤ人と周辺民族を含めたヨーロッパ全体の歴史を知らないと理解できない点が多々あります。歴史を溯ってお話をうかがいたい」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:51:54
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6.赤尾「そもそもユダヤ人が自分たちをユダヤ人と意識をした時点で既にディアスポラと言えると思う。父祖アブラハム自身が生誕の地を離れ、神に促され『約束の地』パレスチナに移住しますが、そこではよそ者だった。『離散した民』というアイデンティティが作られた」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:56:28
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7.赤尾「イスラエル王国は南北に分裂。北は紀元前721年にアッシリアに滅ぼされ、南のユダ王国は587年にバビロニアに攻められ神殿が崩壊する。住民がバビロニアに囚われの身となったことをバビロン捕囚と呼びます。これがいわゆるディアスポラ、民族離散の起源」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:57:11
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8.赤尾「その後ペルシアがバビロニアを攻め、ペルシアがユダヤ人のパレスチナ帰還を許可、もう一回ユダヤの王国が再建された。その後ローマ帝国が拡大し、ユダヤ王国は属国に。その時ユダヤ人の、今の言葉で言うとナショナリストたちがローマ帝国支配に反旗を翻す」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:58:31
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9.岩上「ローマ帝国に抵抗したユダヤ戦争中に『マサダの戦い』というエピソードがありますね」。赤尾「紀元70年にエルサレムがローマ軍の攻撃によって陥落。熱心党と呼ばれる何が何でも戦って独立を守るという、今のウクライナでいうと極右的な人たちが(続く)@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:59:07
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10.(続き)マサダという死海に浮かぶ要塞に立て籠もり、3年近く徹底抗戦。しかし兵糧攻めで全員自害。女子供老人も手にかけ、降伏するよりは自ら死をという、シオニズムにも似た、絶対に負けないという思い。今のイスラエル国防軍の宣誓式がマサダで行われます」@iwakamiyasumi

2014-04-08 12:59:32
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11.岩上「マサダの砦のようにもう二度と滅ぼされまいと。一歩も引かずと。イスラエル建国にあたって、もうこの地を離れないぞと。二度と誰かに手渡したりしないぞというような強固な意志をここで確認するんだそうですね」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:00:07
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12.岩上「キリスト教はユダヤ教から分派していって、別の宗教になっていく。キリスト教が広まる過程で本家本元のユダヤ教と反目し合うような関係へ。それが反ユダヤ主義の根っこの一つになっていく、ということでよろしいでしょうか?」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:00:56
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13.赤尾「ヨーロッパ世界では、古代から中世にかけて、ユダヤ人が我々の主であるキリストを殺したという『キリスト殺し』の汚名を被せ、それが反ユダヤ的な民衆の感情を培うような面はあったと思います」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:01:27
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14.赤尾「近代に入るまでユダヤ人が世界中に離散しても、ユダヤ人意識を保ち続けた最大の理由は聖書とタルムード。特にタルムードは口頭で伝えられた伝承です。新しい状況の中でもユダヤ教の戒律を日々守れるシステムが、テキストと儀礼として存在していた」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:04:00
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15.岩上「キエフ・ルーシというのはロシア、ウクライナ共通の祖先の国と思われているわけですけど、それらが南下してコンスタンチノープルが出てくる。それがビザンツ帝国に接触して、いわばキリスト教化していくということですね」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:05:50
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16.赤尾「ロシアの聖なる正教の伝統の大元はクリミア半島から始まる。ロシアのロシア人のクリミア意識っていうのは基本的に近代のロシアの膨張主義というか、帝国主義の延長ではありますが、たぶん文化的にはその流れがあると思います」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:06:08
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17.岩上「ウクライナ、ロシアの人たちが西と東スラブに分たれるのは、どういうところが一番の差異なのでしょうか? 言葉でしょうか? 文化でしょうか?」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:07:06
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18.赤尾「元々、西スラブと東スラブは共通スラブ語としての共通性はありながらも、だいぶ違う。分かれて暮らして長かったのか。文化的に違っていた。最大の違いは、やはり宗教ではないかと私は思います」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:07:19
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19.赤尾「つまり、ポーランドはカトリックが国教ですが、キエフ・ルーシは東方正教。イデオロギー性、政治的な面と宗教的、文化的な面で分化が進んでいく。そして戦争ばかり起こりますから、互いに不信感を増幅させていく。ウクライナがまさにその狭間です」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:07:40
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20.岩上「狭間なんですね」。赤尾「ウクライナでは、正教世界、ロシア世界とポーランドカトリック世界の狭間で揉まれるというのが、もう千年近く続いている」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:07:54
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21.赤尾「キエフ・ルーシがタタールにやられ、その残党が北に行ってモスクワ大公国を作るのが13、14世紀。当初はかなり小さい国でしたが、後に力をつけイワン雷帝やビョートル大帝を輩出。ロシア帝国が成立し、現在のロシアに連なる国家の基盤が出来る」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:08:15
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22. 赤尾「キエフ・ルーシの末裔たちが極東までロシアを作っちゃう、すごい歴史です。やはりロシア人の意識には、そういう帝国的な意識が強のでは」。岩上「いや間違いなくありますよね」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:08:49
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23.赤尾「それに対して、ポーランド人の意識は、中世から近世にかけて大王国を作って、当時の第一級国。しかし、これがどんどん領土を取られて、最後はなくなる」。岩上「分化されてしまう」。赤尾「過去の栄光が20世紀に完全に隣国に分捕られる、そのルサンチマン」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:09:09
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24.赤尾「ウクライナ人は度々国家建設のチャンスもありましたが、ほぼ1991年の独立まで、まともな国家を形成できなかった。そのコンプレックスもあるでしょうし、国家建設の経験が浅い」。岩上「統治ができない。国家に所属している国民としての意識も足りない」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:09:24
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25.赤尾「例えば20世紀初頭に入って独立の機運がウクライナエリート、知識人のなかで芽生えますが、ほとんどが農民。ポーランド貴族の旦那のもとにいた。自分がウクライナ民族として国家を支配する側に立つという意識がなかなか定着しにくかった」@iwakamiyasumi

2014-04-08 13:09:41