【第二部-九】木陰の夕立 #見つめる時雨

時雨×夕立 ※R-17
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誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

寮の二階の廊下から、夕立の走る姿を見つめる。今日の走る速さは、比較的ゆっくりだった。 「少しは落ち着いてるのかな。…よかった」 何だか安心して見ていられる。先日扶桑に事情を話し、なるべく夕立を夜戦演習に入れて貰えるようにお願いした。以前の事もあり、扶桑は快く聞き入れてくれた。

2014-04-13 21:30:11
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扶桑にはまたあの時のように夕立が辛そうにしているという旨を伝えた。僕と夕立がした事までは…言っていない。そこまで言う必要はないと思った。…いいんだ。あれは僕の意思でやったことだから。夕立を助けたい、それは嘘偽りない本心だから。夕立が夕立でなくなってしまうことが、一番怖い。

2014-04-13 21:35:09
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…でも、夕立はあの夜以降、僕をどうこうすることは頑なに拒んだ。あっても、キスをお願いしてくるくらい。それ以上はしてこない。大丈夫だから、時雨には出来るだけ迷惑かけたくないからって。夕立は必死になって戦っている。そして、上手くコントロールできている。…夕立。

2014-04-13 21:40:10
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…僕が夕立を恋人として抱くことができたら、きっと夕立はもっと楽になれるのだと思う。苦しませずに済むのだと思う。だからあの時、夕立に「好き」って言った。でも夕立は、僕が夕立を助けるためにそう言ったことに感づいた。…僕は、夕立を更に傷つけてしまった。

2014-04-13 21:45:09
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…どうして夕立に好きって言われるたび、山城の顔が浮かぶんだろう。…僕は山城を好きでい続けることを選んだ。例え実ることはなくても、僕はそれでいいと思った。それで苦しむのは、僕だけだろうから。でも、それが夕立を苦しめる結果になっている。

2014-04-13 21:50:09
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多分、誰もが考えるだろう選択肢。それは山城への気持ちを断ち切ること。そして夕立の気持ちに答えてあげること。僕の山城への気持ちは、実る見込みなどないのだから。でも、それが出来ないから、こんなにも苦しい。

2014-04-13 21:55:11
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夕立は助けたい。でも夕立の気持ちには答えられない。…僕はなんて酷いことをしているのだろう。夕立はこの鎮守府に着任して以来、ずっと一緒だった。苦楽を共にした…大切な存在だ。だからこそ、感情の暴走から夕立を助けたい。でも、それが夕立を苦しめる。

2014-04-13 22:00:25
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…僕はどうしたらいいんだろう。どうしたら…。 「……あれ、夕立?」 いつの間にか、夕立の姿がなくなっていた。走り始めた地点に置いてあったタオルと飲み物もなくなっている。走るのを切り上げたのかな。直に戻ってくるだろうとは思ったけれど、やっぱり気になって迎えに行くことにした。

2014-04-13 22:05:11
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歩いていればそのうち出くわすだろうと思っていたけれど、どこにも夕立の姿はなかった。夕立が走っていたコースを回ってみたが、見つからない。もしかしてすれ違っちゃったのかな。一旦部屋に戻った方が良さそうかな…ん? 「…ふ…ぁ…」 木陰から何か聞こえたような…。

2014-04-13 22:10:11
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「…ん…ぅ…時雨…」 僕の名前を呼ぶ声。これは…夕立かな。よかった、すれ違ってなくて。でも何をしてるんだろう。声は木の裏側から聞こえてきていた。僕は近づいて、そこを覗きこんだ。

2014-04-13 22:15:10
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「夕立、何して……」 瞬間、木の影に座り込んでいた夕立と目が合った。夕立は僕の姿を見て、完全に固まった。…僕も。 「…え…時雨…?」 ハーフパンツと下着を膝まで下ろし、大事な部分に手を忍ばせていた夕立の顔が、見る見るうちに真っ赤になっていった。

2014-04-13 22:20:10
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「あ…あぁ…ち、違…これは…」 夕立が泣きそうな顔になりながら必死に首を振る。夕立…これってまさか…え、あの、えっと…え? 「ゆ、夕立…?」 段々と次第に状況が飲み込めてきた。でも正直、飲み込めないほうがよかったかもしれない。

2014-04-13 22:25:10
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ええと、その、つまり…夕立はここで、ひとりで…。頭の整理が付いてくると同時に、僕の顔も熱をもち始めた。 「あ…ご、ごめ…ん…」 「あ…あっち向いてよ…そんなに見ないでよぉ!! 夕立に叫ばれ、僕は慌てて後ろを向く。ど、どうしよう…この状況…。

2014-04-13 22:30:11
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「夕立…えっと…だ、大丈夫…?また、辛くなったとか…」 「…今日は前よりは楽だけど…でも、全然、大丈夫じゃないっぽいぃ…」 夕立のすすり泣く声が、僕の中の罪悪感を膨らませていく。 「ごめん…本当にごめん…」

2014-04-13 22:35:10
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「ぼ…僕、部屋に戻ってるね…。僕は何も見てないから、何も知らないから…」 そう言ってその場を去ろうとした時、服を後ろから引っ張られた。え…? 「ゆ…夕立…?」 後ろを振り向いていいものか迷う。…悩んでいると、夕立が一言呟いた。 「…責任、とって…」

2014-04-13 22:40:09
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夕立に言われ、木陰に向かい合わせになって座る。夕立は耳まで真っ赤になりながら、チラチラと僕の方を見ては俯いた…。 「夕立…」 少しずつ夕立が顔を上げ、熱っぽい視線で僕を見る。さっきから心臓の音が煩い。身体が、熱い。 「…時雨」 夕立が身を寄せ、そして…唇を重ねてきた。

2014-04-13 22:45:11
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「ん…ふ…」 夕立の熱い吐息が、唇の感触と共に伝わってくる。しっとりとした夕立のそれは、ぴったりと僕の唇に密着していた。僕の両肩に置かれた夕立の手が、僅かに震えている。 「ふ…あ…はぁ…」 夕立が、ゆっくりと顔を離した。涙で滲んだ瞳に、僕が映る。

2014-04-13 22:50:10
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「…責任って、どうすればいいのかな…?」 偶然とはいえ、夕立の慰めを見てしまい、泣かせてしまった僕の責任。さっきは忘れてすぐに去ろうとしたけれど、このまま部屋に戻ったところで、気まずくなるのは目に見えていた。…夕立が視線を外しては、上目遣いで僕を見る。

2014-04-13 22:55:10
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「言って…?」 そう言うと、夕立が俯いた。心なしか、耳のようにハネた髪の元気もない。まるで、叱られて落ち込んだ子犬のよう。…僕は、そんな夕立の頭に手を置いて、優しく撫でた。夕立が驚いたように、肩を跳ねさせる。 「……」

2014-04-13 23:00:16
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夕立の頭を撫でていた僕の右手に、夕立の手が添えられた。そしてゆっくりと下に降ろされ…僕の掌が、夕立の胸の上に置かれる。手が、夕立の胸に…沈む。シャツが薄いこともあり、夕立のしているブラの形が、はっきりとわかった。 「夕立…」 「…時雨に…して欲しいの…」

2014-04-13 23:05:10
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「…こ、こう…?」 両手を夕立の双丘に置き、指に軽く力を乗せる。すると、夕立の口から熱い息が漏れた。 「はふっ…ん…もっと…強くして欲しいっぽい…」 僕の手の動きに合わせて、夕立がか細く喘ぐ。目をキュッと閉じ、何かに耐えるような夕立の表情が、僕の心をざわつかせた。

2014-04-13 23:10:11
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「んっ…んっ…ぁ…ま、待って…」 夕立が僕の手を制止する。どうしたんだろうか…。ひょっとして、痛くしちゃったのかな…。そんなことを考えていると、夕立が右手を自分の背中に回した。夕立のブラが、シャツの下でズレる。 「…もっと…」

2014-04-13 23:15:10
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汗を吸い、夕立の肌に張り付いたシャツから、桃色の突起が透けて見えていた。僕は、おそるおそるそれに…手を乗せる。 「んっ…!あっ…んんっ…!!」 夕立が口を手に当て、声を必死に抑えている。しかしシャツの下で固くなっているものを押すたび、夕立はくぐもった声を漏らした。

2014-04-13 23:20:10
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「は…ぁ…あ…」 いつの間にか呼吸が荒くなっている自分に気づく。僕は夕立に触れているだけなのに…僕自身が何かされているわけじゃないのに…どんどん、変な気分になっていってる…。 「ふっ…あっく…んっ…時雨…」 夕立の甘い声が、僕の頭を犯していく。そんな感覚さえ感じた…。

2014-04-13 23:25:09
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夕立の手が僕の肩に伸びてきた。夕立の蕩け切った顔が、僕の目に映る。 「あ…ぁ…あぅ…」 夕立が物欲しそうに口を喘がせている。僕は夕立が欲しがっているものがわかった。僕は顔を近づけ…夕立の唇を舌先で舐めた。すると夕立は、焦らされるのは御免だとばかりに…深いキスをしてきた。

2014-04-13 23:30:09