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ザ・ビートルズの「ハイレゾ」と「ニセレゾ」 (or "Help!" & "Rubber Soul" Remixes Forever?)

いま一部で話題の「ハイレゾ」と「ニセレゾ」。ビートルズも無縁ではありません。 1987年の初CD化の際に例外的に作成され、2009年音源大改定(リマスター)以降もオリジナルを退けて使用され続けている"Help!"と"Rubber Soul"のリミックス・バージョンを中心に語ります。
音楽 ハイレゾ ビートルズ
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野良(野咲良) @nora_fabs
【はじめに】 これから「ザ・ビートルズのニセレゾ」というテーマで長い連続ツイートをしていきます。フォロワーの方は、タイムラインが埋まってしまうと思いますのでご注意ください。
野良(野咲良) @nora_fabs
【謝辞】これは @himagine_no9 さんと @fixerhpa さんのツイート、@fixerhpaさんのブログ http://t.co/FQXMRuqpu3 に着想を得たものです。お二方に感謝致します。またBBSの方に貴重な情報をお寄せいただいた叶さんにも感謝致します。

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野良(野咲良) @nora_fabs
【ザ・ビートルズのニセレゾ】 ザ・ビートルズのコア・カタログが「ハイレゾ」(原音に似せると「ハイリズ」)でリリースされたのが、2009年の林檎型USBドライブだ
野良(野咲良) @nora_fabs
しかしその中には、電子情報技術産業協会(JEITA)がこの度決定したハイレゾの定義からは外れる音源がある。65年製作・発表のHelp!とRubber Soul(以降RSと略)だ。 http://t.co/Ss36KItgZ8
野良(野咲良) @nora_fabs
87年にビートルズが初CD化された際に、監修役を務めたジョージ・マーティンの意向によりこれらのアルバムはマルチトラックテープからリミックスが行われた。そして、この時にこの二作だけをリミックスしてオリジナルと差し替えたことが、望ましからざる余波を後々まで生じさせることになった。
野良(野咲良) @nora_fabs
両作のリミックスは、EMIが提供したディジタル変換後のマルチトラックテープを使い、マーティン所有のAIRスタジオで行われた。ミックスに使用された機材はMTR:三菱X-850とコンソール:SSL4000Eのようだ。
野良(野咲良) @nora_fabs
ミックス後、Sony PCM-1610を用い16bit/44.1kHzのディジタルマスターが作成された。媒体はUマチックテープである。このため、この2枚だけはSPARSコードが「ADD」(録音がA=アナログ、ミキシングとマスタリングがD=ディジタル)だった(他作はAAD表記)。
野良(野咲良) @nora_fabs
このマスターはその後22年間(オリジナルのアナログ・マスターとほぼ同じ年月)使用され、そこでお役御免・・・とはならなかった。22年目にようやく行われた大々的なマスター変更以降も使い続けられ、原典たるオリジナル・マスター以上の長きに渡り製品として市場に提供されることになった。
野良(野咲良) @nora_fabs
2009年にビートルズの全コア・カタログがディジタル・リマスター版として再発さ れた。「原則的に」87年版CD用のディジタル・マスターは使用せず、アナログのマスター・テープに立ち返り、最新機材で24bit/192kHzにて新たにディジタル化されマスタリングされている。
野良(野咲良) @nora_fabs
しかし原則から外れたアルバムがあった。Help!とRSである。この2作だけは65年版オリ ジナル・ミックスではなく、87年版CD用のリミックスを引き続き使用する選択がなされたため、80年代後半に作られた16bit/44.1kHzスペックのディジタル・マスターがソースとなった。
野良(野咲良) @nora_fabs
アラン・ラウズ(リマスタリング・チームの代表)の言では、「5人目のビートル」であるマーティンの87年時点での決定を神聖で不可侵なものと考え、それを変えることで「神」の機嫌を損ねることを畏れ、直接本人に意向を確認することはせずにリミックス版マスターの使用を決定したのだという。
野良(野咲良) @nora_fabs
マーティンの息子ジャイルズは後にこのマスター選択に疑問を抱き、彼らがオリジナル・マスターを使ったら不愉快だったかを父に問うた。リマスター・チームに神のように畏怖されたそのプロデューサーは、自分が当時リミックスを行ったことを覚えてさえいなかった、と息子は語っている。
野良(野咲良) @nora_fabs
これが、この喜劇的な悲劇の経緯だ。しかし、リマスター・チームの一人であるエンジニアのショーン・マギーは、これは現場ではなく上層部が決定したことと言っている。
野良(野咲良) @nora_fabs
決定したのが誰であれ、モップトップ時代の完成期にしてビートルズ全史においては過渡期・転換期だった65年に発表されてから無数の人々に愛聴され、サウンドプロダクション的にも興味深いこの2枚のアルバムだけは、後年になって改変され今では規格が劣るミックス/マスターが出発点となった。
野良(野咲良) @nora_fabs
ビートルズ唯一のハイレゾとも言われているUSBには、CDよりも上位の24/44.1の音源が収録されている。では、元が16/44.1というCD規格のマスターであるHelp!とRSはどのようにして24/44.1にアップコンバートされたのだろうか?
野良(野咲良) @nora_fabs
アナログマスターは、[1] 24/192でディジタル化しプロ・トゥールズに保存(その後ノイズ等を修正)、[2] アナログ変換してEQ、[3] 24/44.1で再度ディジタル変換(その後リミッティング)という過程を経ている。(その後にCD用16/44.1マスターが作成された。)
野良(野咲良) @nora_fabs
この2作については[1]からではなく、[2]か[3]の工程から行われた可能性もある。しかし、エンジニアのガイ・マッシーは「将来的にBlu-RayやDVD-Audioといった高音質フォーマットが必要になった時にはプロ・トゥールズ・マスター(24/192)がある」と述べている。
野良(野咲良) @nora_fabs
よって両アルバムも24/192に変換されている可能性がある。それでも元は16/44.1のマスターである。USBには24/44.1で収録されていて、聴感上の違いがあっても、一般的な見解やJEITAの定義に照らして、それは「ニセレゾ」である。(その音への嗜好についてはここでは措く。)
野良(野咲良) @nora_fabs
09年当時、主にミックス選択の観点から、87年版がこれからも定番とされることに筆者は違和感を覚えた。09年リマスターは、これから何年・何十年にかけてビートルズ・ミュージックの標準として聴かれていく音源を選択する重要な機会だった。
野良(野咲良) @nora_fabs
最初の4枚のアルバムについては、87年当時のジョージ・マーティンの選択を退け、ステレオ版が新たな標準とされた。特に、二つのトラックに別々の音声を収めたツイントラック録音を概ねそのままステレオ・ミックスにした最初の2枚のアルバムは、マーティンが極度に嫌っていたものだ。
野良(野咲良) @nora_fabs
モービル・フィデリティ社が79年から発売した独自カッティングLPにその2枚のステレオ版が含まれていた時に彼は激怒したという。そして公式CDとしてそれらのステレオ版が発売されようとしていた時には、マーティンが猛反対し、続く3-4作目も含めてモノラル版に急遽変更されたこともあった。
野良(野咲良) @nora_fabs
それから約20年後、最初の2枚に対するマーティンの意見は省みられなかったのに対して、Help!とRSについてはマーティンの当時の判断が絶対であるかのような選択がなされたわけである(ラウズの言を信じれば)。
野良(野咲良) @nora_fabs
筆者が考えるに、ディジタル技術の発達初期に作られたリミックスを使い続けるよりも、あくまで60年代のマスターを原典として用い、それとは別に新たにマルチトラックから作成したリミックス・シリーズを発売するのが望ましい。もちろん「ニセレゾ」ではない真の「ハイレゾ」リリースも併せて。(了)
野良(野咲良) @nora_fabs
【参照】Record Collectors(英)、Sound & Recording 1987.07・2009.10、 http://t.co/olAWUNoVmphttp://t.co/pt28Gfyj6Ghttp://t.co/SHTeVPzrtO
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コメント

野良(野咲良) @nora_fabs 2014年4月15日
「ビートルズのハイレゾとニセレゾ」― 作成していたまとめを公開状態にしました。
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