「非正規雇用」という言葉をめぐって

野川忍・明大大学院教授(@theophil21)が「労働法制上、『非正規雇用』というのは存在しない。色んな雇用形態で各々法的に規定されている」と呟いたところ、「その言葉が独り歩きして『非正規雇用』は正社員より格下ってことになっているのでは?」と@U26ajlc氏が応じて起こった一連の遣り取り。
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theophil21 @theophil21

「非正規雇用」という概念は、労働法制には登場しない。有期、派遣、パートタイマーはそれぞれかなり異なる雇用形態であるし、それぞれについて一定の法律(派遣法、パート労働法)や告示(有期労働契約基準)が示されている。「非正規雇用」という一括りにする基準を明確にする必要がある。

2010-11-02 17:16:25
Uちゃんねる @U26ajlc

「非正規雇用」というのは、統計上の概念だと思います。職場の呼称である「正社員・正職員以外」をすべて「非正規雇用」 と定義し、統計を分析するのに用いる概念。なぜそのような概念が必要かというと一般的に非正社員が差別されているから(続く)RT @theophil21: 「非正規雇用」

2010-11-03 03:40:53
Uちゃんねる @U26ajlc

(続き)被差別身分である「非正規雇用」の数的規模を知ることが求められます。ただし、そのようなレッテルを貼り、「非正規雇用」という言葉が一人歩きすることで、ますます差別が増長される面もあります。 RT @theophil21: 「非正規雇用」

2010-11-03 03:45:36
Uちゃんねる @U26ajlc

そもそも「正社員」というのは職場の呼称に過ぎない。正社員であっても、有期契約であったり、短時間労働であったりするケースが存在するし、「非正規雇用」であっても無期契約フルタイム労働であるケースが存在する。統計概念の「雇用形態」とは、職場における「身分」であり、身分差別が前提である。

2010-11-03 03:50:14
Uちゃんねる @U26ajlc

雇用形態による差別が存在する国にのみ「非正規雇用」という概念は存在し得る。欧州には「非典型雇用」という概念は存在するが、必ずしも被差別身分ではない。

2010-11-03 03:57:40
theophil21 @theophil21

おっしゃる通りで、難しいのは、非正規雇用という概念が、中身は明確でないのにみんなわかったような気になって、その結果、何の法的根拠もないのに「非正規なのだから処遇は正規より低くて当然」という意識が労使に根づいてしまっていることでしょう。RT @U26ajlc

2010-11-03 10:11:29
theophil21 @theophil21

大陸ヨーロッパでは、「短時間正社員」は珍しくない。たとえば職場の中に、週40時間労働の人と35時間労働の人がいる、という場合、35時間労働の人はおおむね40時間労働の人の八分の七の給与でその他の処遇には相違はない。もちろん、横断的賃金制度など日本とは異なる事情があることが前提。

2010-11-03 10:30:29
theophil21 @theophil21

正規雇用という概念は、「手厚い処遇」と「雇用の安定」が中心。高度成長期から今までこれらの両立が可能だった要因の一つは、「雇用の核は青壮年男性」の意識が定着していたこと。全員参加の雇用社会の中で、多様な雇用形態が必然になった現在、処遇の手厚さと雇用の安定も両立しにくくなっている。

2010-11-04 09:52:24
ユニオンちれん @uniontiren

@theophil21 大学の嘱託職員です。専任職員と嘱託職員が、正規職員としての扱い。しかし正規雇用の概念から言うと嘱託はとても「手厚い処遇」とは程遠い。他に、契約職員、派遣職員、臨時職員・・・いろいろ複雑です。

2010-11-04 15:26:10
theophil21 @theophil21

正規雇用の中心的な概念は変わらなくても、その内実に大きな変化が出ていることは間違いないでしょうね。他方で非正規雇用も多様で、内部での格差も大きい。問題は、そうなのになぜ、「正規」と「」非正規」の区別がこれほど強固に意識されているかでしょう。RT @uniontiren

2010-11-04 15:34:25
theophil21 @theophil21

「同じ正規雇用でも中身は多様で一口にいえない」「非正規雇用も中身はいろいろあって格差も大きい」というのが実際でしょう。それなのに、一般の議論は「非正規に対する差別」というように「正規」か「非正規」かの区別が決定的であるという前提に立っています。なぜか、を確認すべきでしょうね。

2010-11-04 15:37:40